2014年 10月 インタビュー・文:梵天レコード
スウェーデンのサイケデリック・ドゥーム・トリオSalem’s Pot。今年4月、アルバム “Lurar ut dig pa prarien” をリリースし、そのレトロでドラッギーなサウンドはここ日本でも (一部で) 話題を呼んだ。それから僅か5ヶ月後の9月に2曲入り7インチ “Ego Trip/Yer Doom” をリリースしたのだが、これは以前のアルバムとはまったく異なる作風であった。これが彼らの新機軸となるのか? それともおふざけに過ぎないのか? ミステリアスなイメージを打ち出しているだけに好奇心を駆り立てられる作品だ。そんなバンドの実像に少しでも迫ろうとインタビューを申し込んだところ、メンバーの誰かはわからないが快諾してくれた。
――まず初めに、Salem’s Potの歴史を教えてください。
Salem’s Pot
バンドの歴史は閉鎖的な町で、二人の友人同士と絶望から始まった。
何か一緒にやろうという話になって、俺たちは古くて安っぽいホラー映画とBlack Sabbathの大ファンだったから、自然とコンセプトが決まった。
二人の友人に頼んでベースとドラムをプレイしてもらって、 “Sweeden” デモをレコーディングした。
その時からもドラムが変わり続けていて、今も正式なドラマーはいない。
アルバムでドラムを叩いているThe Eagleは元々ギタリストで、今はバンドのセカンド・ギタリストになっている。
――4月にアルバム “Lurar ut dig pa prarien” をリリースしましたが、レコーディングは大変でしたか? それとも容易でしたか?
Salem’s Pot
その両方だね。あまりリハーサルをしていなかったし、時々ある種の緊張感があったけど、どれも自然な状態と言えるものだった。全体的に見れば順調だったよ。
――レコーディングをした場所、機材について教えてください。
Salem’s Pot
機材は基本的に、その時持っていたものを使用した。ドラムとパーカッションにはリボンマイク。ガールフレンドが持っていたシュルティ・ボックスと祖母の古いアコーディオン。
場所は俺たちがリハーサルに使っている場所と同じ、古い精神病院で。
あの場にいたのは俺たちだけではなかったと思うね……。
――アートワークやPVにはB級ホラー、グラインドハウス映画を思わせるものが多いですね。映画や文学などがあなたの音楽性に影響を与えているのでしょうか? 不気味なマスクを付けたプロモ写真は 『ラスト・ハウス・オン・デッド・エンド・ストリート』 を思い出しました。
Salem’s Pot
バンドを始めた頃、楽器 (ギター) を弾いていたのは一人だけで、残りのメンバーはヴィジュアル面のことばかり考えていたよ。
映画は俺たちのコンセプトの半分を占めている。好きな作品は多いけど、特にジャーロ、マカロニ・ウェスタン。文学だとハンター・S・トンプソンとチャールズ・ブコウスキー。 『ラスト~』 は素晴らしいね。プロモ写真は “Alice, Sweet Alice” からだよ。
――アルバムはRidingEasy Records (旧名: Easy Rider Records ) からのリリースですが、これはどのような経緯で実現したのですか?
Salem’s Pot
Ljudkassettからリリースした “Watch Me Kill You” のカセットをDaniel Hall (RidingEasy Records オーナー) が手に入れて、俺たちにヴィニール盤をリリースしたいと言ってきた。そこからEasy Rider Recordsが生まれて、後はご存知の通りだよ!
――9月には “Ego Trip/Yer Doom” をリリースしましたが、アルバムから短い期間でのリリースで、尚且つスタイルの異なる楽曲が収録されていますが、このスタイルは次のアルバムにも反映されるのでしょうか?
Salem’s Pot
イエスでもあり、ノーでもある。俺たちは7インチを出したかっただけで、そのためには曲を短くしなければならなかった。
メンバー間の理解もより良く深まっているし、同じリフを20分演奏する以上のことができるんだ。
リフはまだまだあって、今はもっと良い形に纏めようとしているところだよ。
――ミュージシャンとしてどんなバンド、アーティストに影響を受けていますか?
Salem’s Pot
音楽的にはMerle HaggardからNgozi Family、Howlin’ WolfからDead Moon、ウディ・ガスリーからHawkwindまですべてだね。
それにジャーロ、エクスプロイテーション、マカロニ・ウェスタン、奇妙なホラー、奇妙な映画すべて。
もちろんGoblinとエンリオ・モリコーネからも大きな影響を受けている。
――古い作品についていくつかお聞かせください。 “Sweeden” は精神病院だった廃墟でレコーディングされたというのは本当ですか?
Salem’s Pot
ああ。俺たちがリハーサルに使っている建物は1969年まで精神病院だった。
―― “Watch Me Kill You” にはWicked Ladyのカバー “Run The Night” が収録されていますが、あなたはオブスキュアな70年代音楽を掘り下げているのですか? もしそうなら、70年代音楽の何が特別なのでしょうか?
Salem’s Pot
その通りだよ。70年代の音楽には歌詞と生々しいプロダクションの両方に、多くのフラストレーションと誠実さがある。
たとえば歌詞だと、 “Enough with the flowers, my friends are dying from overdoses and There’s a war going on” とかね。
――あなたたちがstonedするのが好きなのは間違いないと思うのですが、好きなブランド、吸い方などはありますか?
Salem’s Pot
真夜中に目覚めて、もう一度眠りに落ちる前に、ラス・メイヤーの映画を観ながら灰皿の吸い掛けのジョイントを吸うのが好きだ。
――知っている日本のバンド、映画はありますか?
Salem’s Pot
ファーラウト、ブルース・クリエイション、外道、そしてもちろんフラワー・トラベリン・バンドを知っているよ。
メンバーの何人かは 『銀牙 -流れ星 銀- 』 、 『SF西遊記スタージンガー』 、 『スペースコブラ』 といった作品を観て育っていて、今でも観ているよ。
園子温は素晴らしい監督だし、古い作品だと 『鉄男』 、 『太陽を盗んだ男』 、 『地獄』 、 『ハウス』 とか挙げ始めたら切りがないね。日本映画は大好きだよ!
――Roadburn 2015への出演が決定していますが、Salem’s Potのライブ体験をどのように説明されますか?
Salem’s Pot
おそらく俺たちが好きな古い映画みたいなものだ。曖昧で、震えがくるような、失われたパートと誰にも理解できないような結末が待っているだろう。
――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
Salem’s Pot
ファンがいるのか? 日本に? ドモ、アリガト!! 君たちに会える日が来るのを楽しみにしているよ。俺たちに日本へ来て欲しかったら連絡してくれ。サーカスがやってくるだろう。ありがとう!!
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