Disc 2
1.Enemy Disappear 08:54
2.Ondorogerosu 04:47
3.Die in the Space 16:39
4.Preparation of Festival 01:04
5.Asid in My Brain 05:08
6.Polar 04:15
7.Nightfall New Year 03:05
8.The Extreme North 04:06
9.Meat Pressure 12:38
10.Deamon 03:08
11.Reborn 08:40
Total:01:12:24
Kvohst名義でCODE、Dødheimsgard、VOIDなど数々のブラック、デス・メタル・バンドで活動してきた英国人ミュージシャンMat McNerneyがフィンランド移住後に結成したHexvessel。ドゥームやプログレを内包した、聴き手を森の奥深くへ誘うようなサイケデリック・フォークでLee Dorianをはじめ数多くのミュージシャンをも魅了している。そんな彼らが3枚目となるアルバム”When We Are Death” をCentury Mediaから1月29日にリリース。
本作では60s~70sサイケ・ポップ/ロックに大幅に接近しており、バンドにとって大きな転換点となりそうな作品だ。Matその人に話を聞いた。
――応じて頂きありがとうございます。Hexvessel結成までの経緯を教えてください。
Mat McNerney (Vocals, Guitar)
恋に落ちるような感じだったよ。僕は家でプライベートな曲を作っていたんだ。リリースするつもりのないラブ・ソングやスピリチュアルな歌を。ある時、友人がそれらをレコードにするよう勧めてくれた。それで、ミュージシャンの友人の助けを借りて”Dawnbearer”をレコーディングした。だけど、それはセッション・メンバーと作ったソロ・レコードという感じだった。
自分の結婚式で、妻がアコースティック・ギターを弾いてそれらの曲を初めてプレイした。僕はギターがあまり巧くないし、とてもナーバスになっていたんだ。だから、バンドと一緒にHexvesselの曲をプレイすべきだと気付かされた。本物のバンドとね。マジックが生まれるような人たちと。Captain Beefheart’s Magic Bandにあったマジックのような。
結婚式ではDark Buddha Risingというバンドと一緒にプレイした。僕は彼らの魔術的なオーラに魅了されてしまった。彼らはヒッピーだけど、ダークな宝石だった。その時、僕の曲をプレイしてもらうバンドは彼らでなければならないと気付いた。
結婚式のあと、彼らに僕のバッキング・バンドを務めてもらえないかと頼んだら、彼らはとても驚いていた。なぜなら彼らは、彼らの次のレコードで僕に歌ってもらえないかと頼もうとしていたからだ。
それで、僕は彼らの3枚目のレコードで歌って、彼らは僕の2枚目のレコードに参加してくれた。
そんな中で、ベースのNiiniとキーボード、ヴァイオリン、トランペットのKimoと出会って、僕たちは本物のバンドになった。それぞれ出自は完全にバラバラだけど、愛から生まれた本物の家族みたいだ。
――Hexvesselというバンド名の由来、意味は何ですか?
Mat
僕にとっては”スピリチュアルな旅”を意味している。Hexvesselは魔法を運ぶ者。スピリチュアルな旅行をするための自動車なんだ。君を悟りへと導く人生の魔術的な業の具現化。希望、夢、宇宙の意味を探求することを意味している。
――Hexvesselをまだ聴いたことのない読者のために、どんなサウンドか説明して頂けますか?
Mat
フォークと60、70年代のコズミック、サイケデリック・ロックの超自然的な融合。ブルースの血とプログレッシヴ・ロックのスピリット、Beefheart, Bo Hanson, The Doors, Camel, Ultimate SpinachとMahavishnu Orchestra, Bob Dylan、初期Steeleye Spanからの影響に駆り立てられている。もしオブスキュアでレア、ヴィンテージな音楽を掘り下げていたら、僕たちのやっていることをより理解できるだろう。
それは錬金術であり、魔術である。僕たちが信じる音楽の力を変容させて、君たちに届けるんだ。すべては繋がりについて、この世界と別の世界の繋がりについてだ。
Mat
きっかけは音楽の純粋さについてだった。死者を再び歌わせるんだ。フォーク・ミュージックは純粋な歌について。物語なんだ。僕らの心の中にある物語と歌。人間とは何か、そしてより壮大な物語、宇宙の本質へと向かっていく。
ブラック・メタルをやり始めたころは、旅の途中だった。僕はこの旅と探求を続けたかった。若くて、向こう側へのブレイクスルーを求めているなら、ブラック・メタルはよい機会だよ。音楽の、心の中にある音楽のコンセプトを理解する助けとなる。
人々は”ブラック・メタル・フィーリング”について話している。そのフィーリングとは音楽的な悟りであり、神々へと達するんだ。そして、それはあらゆる良い音楽の核となるものだ。だけど、ブラック・メタルはそこへ速く到達するための一つの方法にすぎない。
僕はもっと先に進みたかったんだ。より純粋な形で音楽の根源へ向かうため、そして言いたかったことやインスピレーションの精霊に近づくためには、僕の内面にある歌はフォークに根ざしていると感じた。古びた骨、古代の木々、動物の内臓など、民俗(フォーク)楽器は自然そのものから作られている。それらは死者を歌わせ、自然の歴史を物語る。まるでDNAの音のようだ。それがフォーク・ミュージックに僕が魅かれる理由だと思うね。それが君の望む死だとしても、そのすべて、それ以上がある。どちらも暗くて、だけど明るくて、より触発されるんだ。
Mat
間違いなく影響を受けている。フィンランドにはとても美しい景色がある。僕は自然を、人々と自然の繋がりを愛しているんだ。ヨーロッパで最大の面積があるけど、人口はとても少ない。広大な森に囲まれて隔絶されている。ボーイスカウトやイギリスの田舎でキャンプをしたり、アイルランドにある叔父の農場で長い夏を過ごしていたころから、僕は森と田舎に夢中なんだ。自然の世界は僕の想像の中の世界にとても近いことに気がついた。当時も今も、自然は僕の夢と現実が出会う場所だ。子供のころ、テリー・ブルックス(アメリカのファンタジー作家)の” Magic Kingdom For Sale Sold”という本を読んだことがあるんだけど、この本は僕の人生そのものだ。イギリスは僕にとっての現実で、フィンランドはブルックスの本に出てくる魔法の王国なんだ。
――フィンランドの音楽シーンはどのようなものですか?
Mat
サイケデリック!(笑) 今のサイケ・ロック・シーンはとても強力だと思うよ。Circleというバンドが支配していたんだけど、そのあと、Pharaoh Overlord, Death Hawks, Oranssi Pazuzu, Dark Buddha Rising, Domovoydが出てきた。フィンランドの音楽シーンはとてもオープンなんだ。どんな音楽のファンでもお互いのショウを観に行く。他の国のように断絶していないんだ。Hexvesselのショウに来れば、ゴス、ヒッピー、ブラックメタラー、フォーク・ファン、それに奇妙なやつら、あらゆる変人が共存しているよ。
Mat
スピリチュアルな探究。スピリチュアルな冒険についての文化を探究することだと思う。古のオカルティスト、シャーマン、異教徒たちがいかにして自然と宇宙の構造を内包した神秘主義を見出したかが好きなんだ。聖書のでっち上げのお話よりもね。魔法が存在することを、音楽と繋がっていることを本当に楽しんでいるよ。
オカルトやクロウリーの本などをたくさん読んだ。僕の異教の祖先やケルトの伝統を継ぐもの、英国とアイルランドのルーツにも深い関心を抱いている。すべてが意味しているのは、僕の人生にはもっと何かがあるという予感なんだ。現実のトンネルを破って、深淵を掘り下げれば、何かが見つかるかもしれないという予感が好きなんだ。
Mat
どちらのバンドも大好きだし、サポートしたいと思ったんだ。それが彼女たちに参加をオファーした理由だね。両バンドには僕らと共通する部分があると思う。才能ある強い女性が作曲をして、バンドをリードするというアイディアも好きだ。これは僕らのシーンにとってとても良い変化だと思う。僕らには二人の女性が参加しているし、お互い助け合っているよ。
――”Iron Marsh”にはオノ・ヨーコのカバー”Women of Salem”が収録されていますね。これはみんなを驚かせたと思います。なぜこの曲をプレイしようと思ったのですか?
Mat
僕はいつだって彼女に魅了されているんだ。彼女はミュージシャンとして最も過小評価されているアーティストだと思うよ。彼女はJohn Lennonの最も偉大な曲やアルバムのプロデュースを助け、ほかの誰よりも彼に大きな影響を与えた人物だと思う。僕が彼女のバック・カタログを掘り下げ始めたときに聴いた”Feeling The Space”というアルバムの曲が大好きなんだ。あの曲をもっと違う方法で仕上げられると感じた。これは良いカバーの印だね。曲に異なる方向性と新たな生命の形を与える。僕らはそれを成し遂げたと思うよ。
サウス・バンクが彼女の音楽の影響力を祝うイベントを開催したのは興味深いね。彼女はアバンギャルドな音楽文化における大きな一部であるという僕の意見を補強するものだった。彼女は挑発的で、芸術と音楽における日本人のイメージを変えた。
彼女は扉を開いて、創作のため、世界の平和のために活動する人々に大きな影響を与えたんだ。
――ほかに日本人のバンド、アーティストを知っていますか?
Mat Flower Travellin’ Bandは大好きだ。ジョー山中は僕のお気に入りのシンガーの一人だよ。それとAcid Mothers Temple。坂本龍一のような作曲家からは大きな影響を受けている。ススム・ヨコタの音楽も大好きだ。ミニマリズムが好きなんだ。黒澤明、宮崎駿監督の大ファンでもある。Monoというバンドも好きだ。どうやら僕は日本の音楽が大好きらしい!
日本を訪れたとき、高尾山に登ったんだ。僕のお気に入りの場所だよ。とても美しかった。日本には良い思い出がたくさんあるよ。
――新しいEPとアルバムのリリースが控えていますが、詳細を少し教えて頂けますか?最新のバイオグラフィには「新たなフェーズへ進む」と書かれていますね。公開された新曲”Earth Over Us”は60年代のサーフ・サイケを思わせるものでした。
Mat
ああ、新しいアルバムは”When We Are Death”というタイトルだ。これは僕らにとっての新たな一歩だ。60sポップス、サイケ、フォーク、それからドゥーム、プログレの要素がある。ヘヴィでディープ、スロウでハード、美しくて、悲しい。だけど究極的な高揚感があるんだ。アルバムのメッセージは幸福と悟りについて。これは最もディープで、偉大で、そして最も正直な作品だ。僕らはこの作品を創るためにかつてないほどの作業をした。意欲的な作業で、僕らがバンドとしてその作業を愛していることを示せたと思う。
今すぐ死んでもいいぐらいだよ。このレコードが僕の遺言になれば幸せだ。
――最近はどんなバンドの作品を楽しんでいますか?読者にお勧めがあれば教えてください。
Mat
最近のリリースをあまり深く掘り下げてはいないんだ。きっとたくさんのクールな作品を聴き逃しているだろうな。だけど、そのおかげで僕の生涯におけるベストの作品2枚を創ることができた。ひとつはHexvesselの、もうひとつは僕の別バンド、Grave Pleasuresだ。狂ったようにツアーをして、Marjaと共に美しい小さな男の子(息子さんのことと思われる)をこの世界に齎した。
これが僕の2015年によく聴いた作品のリストだよ。
DØDHEIMSGARD – A Umbra Omega (彼らの最高傑作。文句無しの1位だ)
UNCLE ACID – The Nightcreeper (fuzzy Beatles worship。まだ聴き足りない。今でも本当にこのバンドを楽しんでいる)
FUZZ – II (Witch以降で最高のSabbathian fuzz rock)
SATURNALIA TEMPLE – To The Other (Deep drone worship! このアルバムのサウンドが大好きだ)
DEATH HAWKS – Sun Future Moon (フィンランドのクラウト・ロック。とてもレイドバックしていて、トリッピーなレコードだ)
WAND – 1000 Days (クラウト要素のあるガレージ・ロック。 素晴らしい曲とリフ)
JOHN KRAUTNER – Fun With Gum Vol1 (びっくりするぐらいキャッチーな楽曲!危険なほどにね。夏の間、ずっと頭にこびりついて離れなかった)
DARK BUDDHA RISING – Inversum (フィンランドで最もヘヴィなバンド。オーディオ・ドラッグだ)
Kvohst名義でCODE、Dødheimsgard、VOIDなど数々のブラック、デス・メタル・バンドで活動してきた英国人ミュージシャンMat McNerneyがフィンランド移住後に結成したHexvessel。ドゥームやプログレを内包した、聴き手を森の奥深くへ誘うようなサイケデリック・フォークでLee Dorianをはじめ数多くのミュージシャンをも魅了している。そんな彼らが3枚目となるアルバム”When We Are Death” をCentury Mediaから1月29日にリリース。 本作では60s~70sサイケ・ポップ/ロックに大幅に接近しており、バンドにとって大きな転換点となりそうな作品だ。Matその人に話を聞いた。
――応じて頂きありがとうございます。Hexvessel結成までの経緯を教えてください。
Mat McNerney (Vocals, Guitar) 恋に落ちるような感じだったよ。僕は家でプライベートな曲を作っていたんだ。リリースするつもりのないラブ・ソングやスピリチュアルな歌を。ある時、友人がそれらをレコードにするよう勧めてくれた。それで、ミュージシャンの友人の助けを借りて”Dawnbearer”をレコーディングした。だけど、それはセッション・メンバーと作ったソロ・レコードという感じだった。 自分の結婚式で、妻がアコースティック・ギターを弾いてそれらの曲を初めてプレイした。僕はギターがあまり巧くないし、とてもナーバスになっていたんだ。だから、バンドと一緒にHexvesselの曲をプレイすべきだと気付かされた。本物のバンドとね。マジックが生まれるような人たちと。Captain Beefheart’s Magic Bandにあったマジックのような。 結婚式ではDark Buddha Risingというバンドと一緒にプレイした。僕は彼らの魔術的なオーラに魅了されてしまった。彼らはヒッピーだけど、ダークな宝石だった。その時、僕の曲をプレイしてもらうバンドは彼らでなければならないと気付いた。 結婚式のあと、彼らに僕のバッキング・バンドを務めてもらえないかと頼んだら、彼らはとても驚いていた。なぜなら彼らは、彼らの次のレコードで僕に歌ってもらえないかと頼もうとしていたからだ。 それで、僕は彼らの3枚目のレコードで歌って、彼らは僕の2枚目のレコードに参加してくれた。 そんな中で、ベースのNiiniとキーボード、ヴァイオリン、トランペットのKimoと出会って、僕たちは本物のバンドになった。それぞれ出自は完全にバラバラだけど、愛から生まれた本物の家族みたいだ。
――Hexvesselというバンド名の由来、意味は何ですか?
Mat 僕にとっては”スピリチュアルな旅”を意味している。Hexvesselは魔法を運ぶ者。スピリチュアルな旅行をするための自動車なんだ。君を悟りへと導く人生の魔術的な業の具現化。希望、夢、宇宙の意味を探求することを意味している。
――Hexvesselをまだ聴いたことのない読者のために、どんなサウンドか説明して頂けますか?
Mat フォークと60、70年代のコズミック、サイケデリック・ロックの超自然的な融合。ブルースの血とプログレッシヴ・ロックのスピリット、Beefheart, Bo Hanson, The Doors, Camel, Ultimate SpinachとMahavishnu Orchestra, Bob Dylan、初期Steeleye Spanからの影響に駆り立てられている。もしオブスキュアでレア、ヴィンテージな音楽を掘り下げていたら、僕たちのやっていることをより理解できるだろう。 それは錬金術であり、魔術である。僕たちが信じる音楽の力を変容させて、君たちに届けるんだ。すべては繋がりについて、この世界と別の世界の繋がりについてだ。
Mat きっかけは音楽の純粋さについてだった。死者を再び歌わせるんだ。フォーク・ミュージックは純粋な歌について。物語なんだ。僕らの心の中にある物語と歌。人間とは何か、そしてより壮大な物語、宇宙の本質へと向かっていく。 ブラック・メタルをやり始めたころは、旅の途中だった。僕はこの旅と探求を続けたかった。若くて、向こう側へのブレイクスルーを求めているなら、ブラック・メタルはよい機会だよ。音楽の、心の中にある音楽のコンセプトを理解する助けとなる。 人々は”ブラック・メタル・フィーリング”について話している。そのフィーリングとは音楽的な悟りであり、神々へと達するんだ。そして、それはあらゆる良い音楽の核となるものだ。だけど、ブラック・メタルはそこへ速く到達するための一つの方法にすぎない。 僕はもっと先に進みたかったんだ。より純粋な形で音楽の根源へ向かうため、そして言いたかったことやインスピレーションの精霊に近づくためには、僕の内面にある歌はフォークに根ざしていると感じた。古びた骨、古代の木々、動物の内臓など、民俗(フォーク)楽器は自然そのものから作られている。それらは死者を歌わせ、自然の歴史を物語る。まるでDNAの音のようだ。それがフォーク・ミュージックに僕が魅かれる理由だと思うね。それが君の望む死だとしても、そのすべて、それ以上がある。どちらも暗くて、だけど明るくて、より触発されるんだ。
Mat 間違いなく影響を受けている。フィンランドにはとても美しい景色がある。僕は自然を、人々と自然の繋がりを愛しているんだ。ヨーロッパで最大の面積があるけど、人口はとても少ない。広大な森に囲まれて隔絶されている。ボーイスカウトやイギリスの田舎でキャンプをしたり、アイルランドにある叔父の農場で長い夏を過ごしていたころから、僕は森と田舎に夢中なんだ。自然の世界は僕の想像の中の世界にとても近いことに気がついた。当時も今も、自然は僕の夢と現実が出会う場所だ。子供のころ、テリー・ブルックス(アメリカのファンタジー作家)の” Magic Kingdom For Sale Sold”という本を読んだことがあるんだけど、この本は僕の人生そのものだ。イギリスは僕にとっての現実で、フィンランドはブルックスの本に出てくる魔法の王国なんだ。
――フィンランドの音楽シーンはどのようなものですか?
Mat サイケデリック!(笑) 今のサイケ・ロック・シーンはとても強力だと思うよ。Circleというバンドが支配していたんだけど、そのあと、Pharaoh Overlord, Death Hawks, Oranssi Pazuzu, Dark Buddha Rising, Domovoydが出てきた。フィンランドの音楽シーンはとてもオープンなんだ。どんな音楽のファンでもお互いのショウを観に行く。他の国のように断絶していないんだ。Hexvesselのショウに来れば、ゴス、ヒッピー、ブラックメタラー、フォーク・ファン、それに奇妙なやつら、あらゆる変人が共存しているよ。
Mat スピリチュアルな探究。スピリチュアルな冒険についての文化を探究することだと思う。古のオカルティスト、シャーマン、異教徒たちがいかにして自然と宇宙の構造を内包した神秘主義を見出したかが好きなんだ。聖書のでっち上げのお話よりもね。魔法が存在することを、音楽と繋がっていることを本当に楽しんでいるよ。 オカルトやクロウリーの本などをたくさん読んだ。僕の異教の祖先やケルトの伝統を継ぐもの、英国とアイルランドのルーツにも深い関心を抱いている。すべてが意味しているのは、僕の人生にはもっと何かがあるという予感なんだ。現実のトンネルを破って、深淵を掘り下げれば、何かが見つかるかもしれないという予感が好きなんだ。
Mat どちらのバンドも大好きだし、サポートしたいと思ったんだ。それが彼女たちに参加をオファーした理由だね。両バンドには僕らと共通する部分があると思う。才能ある強い女性が作曲をして、バンドをリードするというアイディアも好きだ。これは僕らのシーンにとってとても良い変化だと思う。僕らには二人の女性が参加しているし、お互い助け合っているよ。
――”Iron Marsh”にはオノ・ヨーコのカバー”Women of Salem”が収録されていますね。これはみんなを驚かせたと思います。なぜこの曲をプレイしようと思ったのですか?
Mat 僕はいつだって彼女に魅了されているんだ。彼女はミュージシャンとして最も過小評価されているアーティストだと思うよ。彼女はJohn Lennonの最も偉大な曲やアルバムのプロデュースを助け、ほかの誰よりも彼に大きな影響を与えた人物だと思う。僕が彼女のバック・カタログを掘り下げ始めたときに聴いた”Feeling The Space”というアルバムの曲が大好きなんだ。あの曲をもっと違う方法で仕上げられると感じた。これは良いカバーの印だね。曲に異なる方向性と新たな生命の形を与える。僕らはそれを成し遂げたと思うよ。 サウス・バンクが彼女の音楽の影響力を祝うイベントを開催したのは興味深いね。彼女はアバンギャルドな音楽文化における大きな一部であるという僕の意見を補強するものだった。彼女は挑発的で、芸術と音楽における日本人のイメージを変えた。 彼女は扉を開いて、創作のため、世界の平和のために活動する人々に大きな影響を与えたんだ。
――ほかに日本人のバンド、アーティストを知っていますか?
Mat Flower Travellin’ Bandは大好きだ。ジョー山中は僕のお気に入りのシンガーの一人だよ。それとAcid Mothers Temple。坂本龍一のような作曲家からは大きな影響を受けている。ススム・ヨコタの音楽も大好きだ。ミニマリズムが好きなんだ。黒澤明、宮崎駿監督の大ファンでもある。Monoというバンドも好きだ。どうやら僕は日本の音楽が大好きらしい! 日本を訪れたとき、高尾山に登ったんだ。僕のお気に入りの場所だよ。とても美しかった。日本には良い思い出がたくさんあるよ。
――新しいEPとアルバムのリリースが控えていますが、詳細を少し教えて頂けますか?最新のバイオグラフィには「新たなフェーズへ進む」と書かれていますね。公開された新曲”Earth Over Us”は60年代のサーフ・サイケを思わせるものでした。
Mat ああ、新しいアルバムは”When We Are Death”というタイトルだ。これは僕らにとっての新たな一歩だ。60sポップス、サイケ、フォーク、それからドゥーム、プログレの要素がある。ヘヴィでディープ、スロウでハード、美しくて、悲しい。だけど究極的な高揚感があるんだ。アルバムのメッセージは幸福と悟りについて。これは最もディープで、偉大で、そして最も正直な作品だ。僕らはこの作品を創るためにかつてないほどの作業をした。意欲的な作業で、僕らがバンドとしてその作業を愛していることを示せたと思う。 今すぐ死んでもいいぐらいだよ。このレコードが僕の遺言になれば幸せだ。
――最近はどんなバンドの作品を楽しんでいますか?読者にお勧めがあれば教えてください。
Mat 最近のリリースをあまり深く掘り下げてはいないんだ。きっとたくさんのクールな作品を聴き逃しているだろうな。だけど、そのおかげで僕の生涯におけるベストの作品2枚を創ることができた。ひとつはHexvesselの、もうひとつは僕の別バンド、Grave Pleasuresだ。狂ったようにツアーをして、Marjaと共に美しい小さな男の子(息子さんのことと思われる)をこの世界に齎した。 これが僕の2015年によく聴いた作品のリストだよ。
DØDHEIMSGARD – A Umbra Omega (彼らの最高傑作。文句無しの1位だ)
UNCLE ACID – The Nightcreeper (fuzzy Beatles worship。まだ聴き足りない。今でも本当にこのバンドを楽しんでいる)
FUZZ – II (Witch以降で最高のSabbathian fuzz rock)
SATURNALIA TEMPLE – To The Other (Deep drone worship! このアルバムのサウンドが大好きだ)
DEATH HAWKS – Sun Future Moon (フィンランドのクラウト・ロック。とてもレイドバックしていて、トリッピーなレコードだ)
WAND – 1000 Days (クラウト要素のあるガレージ・ロック。 素晴らしい曲とリフ)
JOHN KRAUTNER – Fun With Gum Vol1 (びっくりするぐらいキャッチーな楽曲!危険なほどにね。夏の間、ずっと頭にこびりついて離れなかった)
DARK BUDDHA RISING – Inversum (フィンランドで最もヘヴィなバンド。オーディオ・ドラッグだ)
IL
The Re-stonedはサイケデリック・ストーナー・ロック・パワートリオ(guitar, bass and drums)だ。ラインナップについてはいつも自由に考えている。時々、ヴォーカルも入れるが、基本的にはインストゥルメンタルだ。アルバムによってサウンドは異なる。ハードなものもあれば、アトモスフェリックなものもある。考え抜かれた構成の曲やジャムをやっているよ。
――あなたはどこ出身ですか? The Re-stonedの現在の拠点は?
IL
俺たちはロシアのモスクワ出身だ。
――ロシアのDoom/Stoner Rockシーンについて説明していただけますか?もし好きなバンドがいたら、いくつか名前を挙げてください。
IL
難しい質問だな。俺たちの国で音楽を作るのは容易じゃない。常になんの報酬も無いまま、自分がやっていることのファンでいなければならない。だから、バンドは長続きしない。状況は年々キツくなっている。
素晴らしいバンドはいるよ。俺たちはBrand Band, The Grand Astoria, Without God, Reserve De Marcheと一緒にプレイした。
――どんなバンド、アーティストから影響を受けましたか?
IL
多くから影響を受けているけど、最も強く、顕著なのは、Black Sabbath, Jimy Hendrix, Led Zeppelin, King Crimson。
IL
ありがとう! リリースは後だけど、Re-session V.2(※3)はPlasmaより前にレコーディングしたんだ。ウェールズのSendelicaのロシア・ツアーの時に俺たちは何度か一緒にギグをやって、PeteとGlenにスタジオでのジャム・セッションをレコーディングしないかって提案した。マテリアルはなにも用意していなくて、俺たちはただスタジオに入ってプレイした。とても興味深い経験だったよ。彼らには彼らのスタイル、文化があるからね。
IL
俺の妻、Veronika Martynovaが歌っている。去年、Fruits De Mer labelからリリースされるThe Holliesのトリビュート盤用にヴォーカル入りのカバーを一曲レコーディングしたんだ。今はThe Re-stonedのヴォーカル入りの新曲を準備中だよ。秘密だけど!
――どんな機材を使いましたか? レコーディングはどこで?
IL
ドラムはたまたま、モスクワにある別のスタジオでレコーディングして、ギターとベースは俺の家のスタジオで。Gibson SG Custom 1972を使った。これは俺のメイン・ギターでスタジオでのレコーディングやギグで使っている。テレキャスター(一曲で)、12弦ギター、カスタム・ベースも使った。ギター・アンプはHiwatt Hi Gain 100。
モスクワにある会社U-soundとそこのエンジニアOleg Vorokhaとの実り多い提携は語らなければいけないな。U-soundはギターのsmall batch boutique stomp boxesを作っている。俺とOlegとの友人関係は、俺のサウンドとそのクォリティに深い影響を及ぼしていると思うよ。俺たちは二つの方向で仕事をしている。俺はペダルのデザイン、時にはコンサルタントとして。Olegの作ったFuzzは、本来は俺のために作られたものだったと誇りを持って言えるよ。二つのペダルには俺のアルバム(Return to the Reptiles EPとPlasma)のデザインが使われているんだ。
IL
信じないかもしれないけど、その質問をしたのは君が初めてだよ、ハハ。
ギグの前は、絶対にやらない。プレイや反応に支障が出るからね。これを聞いて、みんなが俺たちの音楽に幻滅しないことを願うよ。
ギグの後は……もう長いこと、音楽と観客とのエネルギッシュなやりとりがあれば、クスリ抜きで感覚を回復するには十分なんだ。俺たちの人生における主なクスリは音楽だ(サイケデリックな体験を試したことが無いわけではないよ)。重要なのは、何故やっているかを理解することだ。多くの人はサイケデリックなトリップと、それが齎す強烈な結果に対して準備が出来ていないと思う。
――The Re-stonedのライブ体験についてどう説明されますか?
IL
前に他のインタビューでも言ったけど、ライブはミュージシャンと観客にとって、シャーマンの儀式のようなものだ。音源を聴くだけで同じように感じることは難しい。その場の状況から即興で生まれるものだからね。どのライブも異なった精神、マテリアルで、常に何らかの方法でオルタナティヴだ。また、俺たちがプレイしたジャム(去年を通して、俺たちのセットではジャムをやることが恒例になった)を、もう一度繰り返すのは困難だろう。
――日本のバンドを知っていますか?
IL
ああ、日本には素晴らしいミュージシャン、バンドが多くいるね。Boris, Church of Misery, Zeni Gevaを聴いたことがあるよ。
――2014年の予定はありますか?
IL
いつも通り、多くの予定があるよ。今は新しいスタジオ・アルバムを仕上げている。ほとんど準備出来ていて、もうすぐミキシングが始まるところだ。
いくつかヨーロッパのフェスでもプレイする。可能なら、日本にも行きたいと思っているよ!