フィンランドのサイケ/フォーク・バンドHEXVESSELの4thアルバム”All Tree”が2019年2月にリリース

 

Mat McNerney率いるフィンランドのサイケ/フォーク・バンドHEXVESSELが前作”When We Are Death”(2016)から3年ぶり、4枚目のアルバム”All Tree”を2019年2月15日にリリースするとアナウンスしました!収録曲”Old Tree”のPVが公開されています。

神秘的なペイガン・フォーク・バンドとしてスタートした彼らですが、前作”When We Are Death”では一転、60s~70sサイケ・ポップ/ロックに接近。ファンの間では賛否両論の1枚となりました。今回のアルバムはフォーク路線への回帰となるのでしょうか・・・?

発売元はバンドの自主レーベルSecret TreesCentury Media Records

”All Tree”(2019)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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前作”When We Are Death”(2016)リリース時のインタビューはこちら。

https://peckinpah.jp/wp/2016/02/01/interview-hexvessel/

Column: Rest In Pain…「10 Great acoustic songs by Doom, Sludge bands/musicians」

2014年07月 著者:梵天レコード

Doom Rock(Metal),Sludge Coreといえば、重い! 遅い!が信条の音楽。

デス・メタルやグラインド・コアと同じくエクストリーム・ミュージックに分類されるジャンルだが、70 年代、もしくはそれ以前のロック、ブルース等に根差している為、ヘヴィさがすべてではない―ルーツ・ロックが根底にあるからこそ、Doom,Sludgeにはアコースティックという、もう一つの魅力的な一面があるのだ。

The Obsessed他のWinoBuzzov.enKirkなど、ドゥーム、スラッジ・バンド / ミュージシャンがアコースティックの活動を行っているケースも多い(この辺は後述)。日本ではEternal Elysiumの岡崎幸人氏が弾き語りライブを行っていることが記憶に新しい。

エクストリーム・ミュージックの歴史は、機材の発達と演者たちによる極限のヘヴィネスの追及の歴史であると言える。
Sunn O))) のライブに行けば”眼玉が震える”程の轟音が体感できるだろう。
だが、然るべき人間の手にかかれば、囁くだけで、アコギを爪弾くだけで、心に迫る “真のヘヴィネス” が生まれるのだ。

去る6月29日に西横浜 Bar El Puenteで行われたアコースティック・イベントに国内のDoom系ミュージシャンが複数参加していたので、そのレポートと併せて今回のコラムでは、アコースティックというDoom,Sludgeのあまり取り上げられることのない一面を紹介していこう。

 

Sad Smile vol.2@ 西横浜 Bar El Puente

一番手は今回のイベントの企画者でもあるInside Charmerの もっさヒロ 氏。

Inside Charmerは、重い! 遅い! 尺長い!というまさに王道ドゥーム。この日はそのInside Charmerでも光るメロディ・センスを存分に生かしたライブとなった。

オリジナル2曲とInside Charmerの曲を1曲披露。 個人的には Wino の弾き語りに近い印象を受けた。

三番手に登場したのが梵天レコードよりリリースしたドゥーム・コンピレーション“All The Witches’ Day”にも参加してくれたスラッジコア・バンドZothiqueのヴォーカル & ギターのシモナカ氏とドラムのウエノ氏(本ライブではギター)。

David Alan Coe – “River”、Hank Williams III – “Gone But Not Forgotten”、中島らも – “いいんだぜ”という、“アウトロー”・アーティストのカバー三曲を披露。

四番手の錐針(すいばり)はオルタナ~シューゲイザーの影響も感じさせるドゥーム・バンドBlack Creek Driveのギタリスト、Kusumi氏と東京のスクリーモ・バンドBackstitchのヴォーカル、蓮理氏のユニットで、この日唯一の女性ヴォーカル。ポップな楽曲を挟みつつも、女の情念渦巻くダークな楽曲を中心とした構成。歌謡曲的なドロドロした感じではなく、オルタナ~グランジ風の乾いた“黒さ”を強く感じた。
この日のライブ動画はこちら。

 

 

10 Great acoustic songs by Doom, Sludge bands/musicians.

Trip Thru Recordsの選ぶDoom, Sludge系バンド/ミュージシャンによるアコースティック・ソングBEST10(順不同)

 

Acid Bath – “Bones of Baby Dolls” from “The Kite String Pops”(1994)

Acid Bathといえば、メロディとヘヴィネスが融合したサウンド(なんてチープな表現!)が魅力ですが、解散後にギタリストのSammy Duetが結成したGoathwhoreとヴォーカルのDax Riggsが結成したバンドやソロを聴き比べると、各人のAcid Bathでの役割が見えて面白いですね。
2ndアルバム収録のアコースティック・ナンバー“Dead Girl”も名曲。こちらはDaxのバンド、Agents of Oblivionのアルバムにロック・ヴァージョンで再録されています。
Daxの書く歌詞も素晴らしいので、是非聴きながら読んで頂きたい。

 

Cathedral – “Solitude”(Black Sabbath cover)from “Masters of Misery”(1997)

フルートを加えた、ComusMellow Candleが大好きなLee DorianらしいアレンジのBlack Sabbathカバー。
何よりLeeのディープな歌声が素晴らしい。

 

Wino – “Adrift” from “Adrift”(2010)

ドゥーム神ワイノ。もはや説明は不要ですね。聴いて咽び泣け!
Conny Ochsとのコラボ盤も必聴。

 

K. Lloyd – “Never Try” from “Solow”(2010)

スラッジコア・バンドBuzzov.enのヴォーカルKirk Lloyd FisherのBuzzo.ven解散後のソロ(Buzzov.enは2010年に再結成)。Buzzov.enとはまた一味違った、やさぐれ感たっぷりの彼の歌声を堪能できるアウトロー・ブルース。Kirkは、Eyehategod, Down, The Mystic Krewe Of ClearlightのJimmy Bower、Soilent GreenのBrian Pattonらと共にサザン・ブルース・プロジェクトK. Lloyd & The Disciplesとしても活動。

 

Waldsonne – “Pain of Senses” from “Wanderer”(2008)

ロシアのヘヴィ・サイケ・ストーナー・バンドThe Re-stonedのギタリスト、Ilya Lipkinが在籍するアシッド・フォーク・バンド。歌っているのはIlyaの奥様Veronika Martynova。The Re-stonedはEarthless辺りを思わせるインスト・バンドだが、Jefferson Airplane – “Today”、Pink Floyd – “Julia Dream”をアシッド・フォーク風にカバーしている(“Plasma”(2013)収録。こちらも歌っているのはVeronika Martynova)。

 Weedeater – “Woe’s me” from “16 Tons”(2002)

Sourvein,Bongzilla,Buzzov.enの“Dixie” Dave Collins(Vocal, Bass)がBuzzov.en解散後に結成したバンド。
バンド名通りの怪しい煙がモックモクのスラッジコアから唐突に現れるブルース・ナンバー。
右手にウィスキー、左手にジョイントを構えて聴きたくなるような一曲。

 

Magnus Pelander – “Stardust” from “Magnus Pelander”(2010)

「これ、60年代の作品じゃないの?」と思わせてしまうほどヴィンテージな作風で衝撃のデビューを飾った、スウェーデンのドゥーム・ロック・バンドWitchcraftのヴォーカル、MagnusがWitchcraft停滞中に発表したソロ。
Witchcraft史上最もサイケ色の強い3rdアルバム”Alchemist”の日本盤ボーナストラックに収録されたRoky Erikson(アメリカのサイケデリック・バンド、13th Floor Elevatorsの元フロントマン) – ”Sweet Honey Pie”のカバー路線をさらに推し進めたような牧歌的アシッド・フォーク。2012年発表のWitchcraftの4thアルバム“Legend”は、一転してメタル色を強めた作品となっている。

 

 

Corrupted – “月光の大地” from “Se Hace Por Los Suenos Assesinos”(2004)

 

 

 

 

 

 

 

仙人が俗世を憂いているかのようなHevi氏の歌声と物悲しいアコギのみで構成された、17分に及ぶCorrupted史上最も異色なナンバー。正座して聴きましょう。
2011年リリースの4thアルバム“Garten Der Unbewusstheit”ではこの曲をアレンジした“Gekkou no Daichi”が収録されている。こちらはアコースティックなのは最初と最後の数分間のみ。

 

Southern Isolation – “Southern Man I Am” from “Southern Isolation” (2001)

Downの“Where I’m Going”にしようかと思ったが、意表をついてこちらで。
Pantera, Down, Superjoint Ritual等のPhil Anselmoと、Philのブラック・メタル・プロジェクトViking CrownNecrophagiaでキーボードを担当していたStephanie Weinsteinによるユニット。Philはプロデュース、作曲はすべてStephanieが担当。 「南部の男(ひと)、その手で私を連れ去って」 「俺は南部の男さ」と惚気るデュエット・ナンバー。いやあ、いいカップルだねえ。離婚したけど。
Philにアコースティックでアルバムを作って欲しいと思うのは筆者だけだろうか。

 

Trouble – “Rain” from “Unplugged”(2009)

初期はドゥームメタルの最重要バンドであり、90年代以降はハード・ロック色を強め、”Manic Frustration”などのマスターピースを創り上げたTroubleのアコースティック・アルバム。この曲は“Manic~”収録曲の再録ヴァージョン。
Eric Wagnerは脱退し、現在のヴォーカルは元Exhorder他のKyle Thomas。Eric WagnerはBlackfingerを結成して活動中。

 

番外編 EXTRA

Doom, Sludgeではないが、その界隈とも繋がりがあるバンド/ミュージシャン。

Hexvessel – “I am The Ritual” from “Dawnbearer”(2011)

ブラック・メタル・バンドDodheimsgard等で知られるイギリス人ミュージシャン、Kvohstを中心に結成されたサイケデリック・フォーク・バンド。Kvohst以外はフィンランド人のメンバーで構成されている。Roadburn Festival 2013内でElectric Wizardがキュレートした“Electric Acid Orgy”に出演、Lee Dorianが絶賛するなどドゥーム系ミュージシャンからの支持が厚い。現時点の最新作”Iron Marsh”(2013)にはPursonのRosalie(オノ・ヨーコのカバー!)、Blood CeremonyのAliaがゲスト参加している。

 

Chelsea Wolfe – “Spinning Centers” from “Unknown Roms: A Collection Of Acoustic Songs”

カリフォルニア出身の女性ゴシック・フォークSSW。
カリフォルニア出身とは思えない、呪術的かつ鬱屈としたサウンドは、“ドゥーム・フォーク”、“メンヘラ・フォーク”とも形容される。
彼女もRoadburn Festival 2012に出演、わが国ではDaymare Recordsが2012年に1st,2ndの国内盤をリリースし、GodfleshSunn O)))Deafheaven等が出演したLeave Them All Behind 2012で来日。

 

番外編その2 EXTRA Part.2

完全なるおフザケ。

Acoustic Wizard – “Vinium Sabbathi” from “Please Don’t Sue Me vol.2”

Electric Wizardの曲をアコースティックでカバーするという、キマってる時に思いついたことをそのままやっているとしか思えないプロジェクト。「お願いだから訴えないで」というタイトルからも明らかなお遊びプロジェクトだが、やってることは至ってマトモ(?)、というか、かなりイイ。

 

Trippy Wicked – “Killfornia” (Church of Misery cover)

英国のストーナー/ドゥーム・バンドTrippy Wickedのメンバー二人がyoutubeにアップしている、アコギとウクレレによるドゥーム/スラッジ・バンドのカバー。チャーチのこの曲以外ではEyehategod, Weedeaterなどをカバーしている。ウクレレが意外とハマっている。

「現実のトンネルを破って、深淵を掘り下げれば、何かが見つかるかもしれない・・・」 才人Mat McNerney率いるフィンランドのサイケデリック・フォーク/ロック・バンドHexvesselインタビュー

[:ja]

 聞き手:梵天レコード
2016年2月1日

Kvohst名義でCODE、Dødheimsgard、VOIDなど数々のブラック、デス・メタル・バンドで活動してきた英国人ミュージシャンMat McNerneyがフィンランド移住後に結成したHexvessel。ドゥームやプログレを内包した、聴き手を森の奥深くへ誘うようなサイケデリック・フォークでLee Dorianをはじめ数多くのミュージシャンをも魅了している。そんな彼らが3枚目となるアルバム”When We Are Death” をCentury Mediaから1月29日にリリース。
本作では60s~70sサイケ・ポップ/ロックに大幅に接近しており、バンドにとって大きな転換点となりそうな作品だ。Matその人に話を聞いた。

――応じて頂きありがとうございます。Hexvessel結成までの経緯を教えてください。

Mat McNerney (Vocals, Guitar)
恋に落ちるような感じだったよ。僕は家でプライベートな曲を作っていたんだ。リリースするつもりのないラブ・ソングやスピリチュアルな歌を。ある時、友人がそれらをレコードにするよう勧めてくれた。それで、ミュージシャンの友人の助けを借りて”Dawnbearer”をレコーディングした。だけど、それはセッション・メンバーと作ったソロ・レコードという感じだった。
自分の結婚式で、妻がアコースティック・ギターを弾いてそれらの曲を初めてプレイした。僕はギターがあまり巧くないし、とてもナーバスになっていたんだ。だから、バンドと一緒にHexvesselの曲をプレイすべきだと気付かされた。本物のバンドとね。マジックが生まれるような人たちと。Captain Beefheart’s Magic Bandにあったマジックのような。
結婚式ではDark Buddha Risingというバンドと一緒にプレイした。僕は彼らの魔術的なオーラに魅了されてしまった。彼らはヒッピーだけど、ダークな宝石だった。その時、僕の曲をプレイしてもらうバンドは彼らでなければならないと気付いた。
結婚式のあと、彼らに僕のバッキング・バンドを務めてもらえないかと頼んだら、彼らはとても驚いていた。なぜなら彼らは、彼らの次のレコードで僕に歌ってもらえないかと頼もうとしていたからだ。
それで、僕は彼らの3枚目のレコードで歌って、彼らは僕の2枚目のレコードに参加してくれた。
そんな中で、ベースのNiiniとキーボード、ヴァイオリン、トランペットのKimoと出会って、僕たちは本物のバンドになった。それぞれ出自は完全にバラバラだけど、愛から生まれた本物の家族みたいだ。

――Hexvesselというバンド名の由来、意味は何ですか?

Mat
僕にとっては”スピリチュアルな旅”を意味している。Hexvesselは魔法を運ぶ者。スピリチュアルな旅行をするための自動車なんだ。君を悟りへと導く人生の魔術的な業の具現化。希望、夢、宇宙の意味を探求することを意味している。

――Hexvesselをまだ聴いたことのない読者のために、どんなサウンドか説明して頂けますか?

Mat
フォークと60、70年代のコズミック、サイケデリック・ロックの超自然的な融合。ブルースの血とプログレッシヴ・ロックのスピリット、Beefheart, Bo Hanson, The Doors, Camel, Ultimate SpinachMahavishnu Orchestra, Bob Dylan、初期Steeleye Spanからの影響に駆り立てられている。もしオブスキュアでレア、ヴィンテージな音楽を掘り下げていたら、僕たちのやっていることをより理解できるだろう。
それは錬金術であり、魔術である。僕たちが信じる音楽の力を変容させて、君たちに届けるんだ。すべては繋がりについて、この世界と別の世界の繋がりについてだ。

――Hexvessel以前のあなたはブラック、デス・メタル・ミュージシャンとして知られていましたが、フォーク・ミュージックをプレイするきっかけは何だったのでしょうか?

Mat
きっかけは音楽の純粋さについてだった。死者を再び歌わせるんだ。フォーク・ミュージックは純粋な歌について。物語なんだ。僕らの心の中にある物語と歌。人間とは何か、そしてより壮大な物語、宇宙の本質へと向かっていく。
ブラック・メタルをやり始めたころは、旅の途中だった。僕はこの旅と探求を続けたかった。若くて、向こう側へのブレイクスルーを求めているなら、ブラック・メタルはよい機会だよ。音楽の、心の中にある音楽のコンセプトを理解する助けとなる。
人々は”ブラック・メタル・フィーリング”について話している。そのフィーリングとは音楽的な悟りであり、神々へと達するんだ。そして、それはあらゆる良い音楽の核となるものだ。だけど、ブラック・メタルはそこへ速く到達するための一つの方法にすぎない。
僕はもっと先に進みたかったんだ。より純粋な形で音楽の根源へ向かうため、そして言いたかったことやインスピレーションの精霊に近づくためには、僕の内面にある歌はフォークに根ざしていると感じた。古びた骨、古代の木々、動物の内臓など、民俗(フォーク)楽器は自然そのものから作られている。それらは死者を歌わせ、自然の歴史を物語る。まるでDNAの音のようだ。それがフォーク・ミュージックに僕が魅かれる理由だと思うね。それが君の望む死だとしても、そのすべて、それ以上がある。どちらも暗くて、だけど明るくて、より触発されるんだ。

――あなたが初めて音楽に触れたのはいつですか?ミュージシャンとしてどんなバンド、アーティストから影響を受けていますか?

Mat
初めて音楽に触れたのはまだ子供だった頃、書斎の床で横になっていて、父親がPaul Simonの”Graceland”を掛けたんだ。Paul SimonはNat King Cole, Sam CookeRoy Orbisonと共に僕が初めて本当に好きなった音楽のひとつだよ。
僕の父親はElvisの大ファンで、僕はElvis、それからJohn Lennonを聴かされて育ったんだ。父はBeatlesのファンではなかったけど、Lennonの大ファンだった。これは僕が父から受け継いだもののひとつだね。John Lennonは大好きだったけど、The Beatlesを聴いたのはずっと後になってからだった。The Beach Boysも子供のころよく聴いていた。ポルノ雑誌を隠していた場所があって、自分のステレオでThe Beach Boysを流しながら雑誌をペラペラめくってレトロな女の子たちを眺めていたんだ、ハハ。初めて買った7インチはThe Beach Boys、LPはMichael JacksonのBADだったと思うよ。
十代になってからはThe CureThe Doorsが最も重要なバンドだった。リスナーから音楽好きになった。アリスのウサギの穴に落ちたような感じだよ。未知の、狂った世界の永遠の迷子なんだ。

――あなたはイギリスからフィンランドへ活動の拠点を移されましたが、そのことはあなたの創造性に影響を与えていますか?

Mat
間違いなく影響を受けている。フィンランドにはとても美しい景色がある。僕は自然を、人々と自然の繋がりを愛しているんだ。ヨーロッパで最大の面積があるけど、人口はとても少ない。広大な森に囲まれて隔絶されている。ボーイスカウトやイギリスの田舎でキャンプをしたり、アイルランドにある叔父の農場で長い夏を過ごしていたころから、僕は森と田舎に夢中なんだ。自然の世界は僕の想像の中の世界にとても近いことに気がついた。当時も今も、自然は僕の夢と現実が出会う場所だ。子供のころ、テリー・ブルックス(アメリカのファンタジー作家)の” Magic Kingdom For Sale Sold”という本を読んだことがあるんだけど、この本は僕の人生そのものだ。イギリスは僕にとっての現実で、フィンランドはブルックスの本に出てくる魔法の王国なんだ。

――フィンランドの音楽シーンはどのようなものですか?

Mat
サイケデリック!(笑) 今のサイケ・ロック・シーンはとても強力だと思うよ。Circleというバンドが支配していたんだけど、そのあと、Pharaoh Overlord, Death Hawks, Oranssi Pazuzu, Dark Buddha Rising, Domovoydが出てきた。フィンランドの音楽シーンはとてもオープンなんだ。どんな音楽のファンでもお互いのショウを観に行く。他の国のように断絶していないんだ。Hexvesselのショウに来れば、ゴス、ヒッピー、ブラックメタラー、フォーク・ファン、それに奇妙なやつら、あらゆる変人が共存しているよ。

――歌詞やPVにはオカルト、シャーマニズム、ペイガニズムが見受けられます。これらの文化はあなたにとってどのようなものですか?

Mat
スピリチュアルな探究。スピリチュアルな冒険についての文化を探究することだと思う。古のオカルティスト、シャーマン、異教徒たちがいかにして自然と宇宙の構造を内包した神秘主義を見出したかが好きなんだ。聖書のでっち上げのお話よりもね。魔法が存在することを、音楽と繋がっていることを本当に楽しんでいるよ。
オカルトやクロウリーの本などをたくさん読んだ。僕の異教の祖先やケルトの伝統を継ぐもの、英国とアイルランドのルーツにも深い関心を抱いている。すべてが意味しているのは、僕の人生にはもっと何かがあるという予感なんだ。現実のトンネルを破って、深淵を掘り下げれば、何かが見つかるかもしれないという予感が好きなんだ。

――”Iron Marsh” EPにはPursonのRosie、Blood CeremonyのAliaが参加していますが、これはどのような経緯で実現したのですか?両バンドともモダン・レトロ、サイケデリックなドゥーム・バンドとして知られていますね。

Mat
どちらのバンドも大好きだし、サポートしたいと思ったんだ。それが彼女たちに参加をオファーした理由だね。両バンドには僕らと共通する部分があると思う。才能ある強い女性が作曲をして、バンドをリードするというアイディアも好きだ。これは僕らのシーンにとってとても良い変化だと思う。僕らには二人の女性が参加しているし、お互い助け合っているよ。

“Iron Marsh” (2013)

――”Iron Marsh”にはオノ・ヨーコのカバー”Women of Salem”が収録されていますね。これはみんなを驚かせたと思います。なぜこの曲をプレイしようと思ったのですか?

Mat
僕はいつだって彼女に魅了されているんだ。彼女はミュージシャンとして最も過小評価されているアーティストだと思うよ。彼女はJohn Lennonの最も偉大な曲やアルバムのプロデュースを助け、ほかの誰よりも彼に大きな影響を与えた人物だと思う。僕が彼女のバック・カタログを掘り下げ始めたときに聴いた”Feeling The Space”というアルバムの曲が大好きなんだ。あの曲をもっと違う方法で仕上げられると感じた。これは良いカバーの印だね。曲に異なる方向性と新たな生命の形を与える。僕らはそれを成し遂げたと思うよ。
サウス・バンクが彼女の音楽の影響力を祝うイベントを開催したのは興味深いね。彼女はアバンギャルドな音楽文化における大きな一部であるという僕の意見を補強するものだった。彼女は挑発的で、芸術と音楽における日本人のイメージを変えた。
彼女は扉を開いて、創作のため、世界の平和のために活動する人々に大きな影響を与えたんだ。

――ほかに日本人のバンド、アーティストを知っていますか?

Mat
Flower Travellin’ Bandは大好きだ。ジョー山中は僕のお気に入りのシンガーの一人だよ。それとAcid Mothers Temple。坂本龍一のような作曲家からは大きな影響を受けている。ススム・ヨコタの音楽も大好きだ。ミニマリズムが好きなんだ。黒澤明、宮崎駿監督の大ファンでもある。Monoというバンドも好きだ。どうやら僕は日本の音楽が大好きらしい!
日本を訪れたとき、高尾山に登ったんだ。僕のお気に入りの場所だよ。とても美しかった。日本には良い思い出がたくさんあるよ。

――新しいEPとアルバムのリリースが控えていますが、詳細を少し教えて頂けますか?最新のバイオグラフィには「新たなフェーズへ進む」と書かれていますね。公開された新曲”Earth Over Us”は60年代のサーフ・サイケを思わせるものでした。

Mat
ああ、新しいアルバムは”When We Are Death”というタイトルだ。これは僕らにとっての新たな一歩だ。60sポップス、サイケ、フォーク、それからドゥーム、プログレの要素がある。ヘヴィでディープ、スロウでハード、美しくて、悲しい。だけど究極的な高揚感があるんだ。アルバムのメッセージは幸福と悟りについて。これは最もディープで、偉大で、そして最も正直な作品だ。僕らはこの作品を創るためにかつてないほどの作業をした。意欲的な作業で、僕らがバンドとしてその作業を愛していることを示せたと思う。
今すぐ死んでもいいぐらいだよ。このレコードが僕の遺言になれば幸せだ。

“When We Are Death”(2016)

――最近はどんなバンドの作品を楽しんでいますか?読者にお勧めがあれば教えてください。

Mat
最近のリリースをあまり深く掘り下げてはいないんだ。きっとたくさんのクールな作品を聴き逃しているだろうな。だけど、そのおかげで僕の生涯におけるベストの作品2枚を創ることができた。ひとつはHexvesselの、もうひとつは僕の別バンド、Grave Pleasuresだ。狂ったようにツアーをして、Marjaと共に美しい小さな男の子(息子さんのことと思われる)をこの世界に齎した。
これが僕の2015年によく聴いた作品のリストだよ。

DØDHEIMSGARD – A Umbra Omega (彼らの最高傑作。文句無しの1位だ)

UNCLE ACID – The Nightcreeper (fuzzy Beatles worship。まだ聴き足りない。今でも本当にこのバンドを楽しんでいる)

FUZZ – II (Witch以降で最高のSabbathian fuzz rock)

SATURNALIA TEMPLE – To The Other (Deep drone worship! このアルバムのサウンドが大好きだ)

DEATH HAWKS – Sun Future Moon (フィンランドのクラウト・ロック。とてもレイドバックしていて、トリッピーなレコードだ)

WAND – 1000 Days (クラウト要素のあるガレージ・ロック。 素晴らしい曲とリフ)

JOHN KRAUTNER – Fun With Gum Vol1 (びっくりするぐらいキャッチーな楽曲!危険なほどにね。夏の間、ずっと頭にこびりついて離れなかった)

DARK BUDDHA RISING – Inversum (フィンランドで最もヘヴィなバンド。オーディオ・ドラッグだ)

SEXWITCH – Sexwitch (GoatとPortisheadがエスニック・パーティでいちゃついているかのようだ)

ABYSSION – Luonnon Harmonia Ja Vihreä Liekki (僕のレーベルSecret Treesのリリース第1弾。 最高のfar-out Finnish psychedelic blackmetal)

SECRETS OF THE MOON – Hole (異次元の作品だ!)

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

Mat
宮崎駿が「天空の城ラピュタ」で言っているように、
「地球が僕らに語りかける。耳を傾ければ、僕らは理解することができる」(訳者注:正確な訳があったら教えてください)
僕らのレコードを気に入ってくれた嬉しいよ。作品を通して地球の声が聞こえるはずだ。
近いうちに日本を訪れて、君たちのためにプレイする日が来ることを願っているよ。
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※この記事を英語で読む。Read this article in English.

Mat McNerneyの2015年ベスト11











RELATED POST:

https://peckinpah.jp/wp/2017/07/19/column-rip-001/[:en]

 聞き手:梵天レコード
2016年2月1日

Kvohst名義でCODE、Dødheimsgard、VOIDなど数々のブラック、デス・メタル・バンドで活動してきた英国人ミュージシャンMat McNerneyがフィンランド移住後に結成したHexvessel。ドゥームやプログレを内包した、聴き手を森の奥深くへ誘うようなサイケデリック・フォークでLee Dorianをはじめ数多くのミュージシャンをも魅了している。そんな彼らが3枚目となるアルバム”When We Are Death” をCentury Mediaから1月29日にリリース。
本作では60s~70sサイケ・ポップ/ロックに大幅に接近しており、バンドにとって大きな転換点となりそうな作品だ。Matその人に話を聞いた。

――応じて頂きありがとうございます。Hexvessel結成までの経緯を教えてください。

Mat McNerney (Vocals, Guitar)
恋に落ちるような感じだったよ。僕は家でプライベートな曲を作っていたんだ。リリースするつもりのないラブ・ソングやスピリチュアルな歌を。ある時、友人がそれらをレコードにするよう勧めてくれた。それで、ミュージシャンの友人の助けを借りて”Dawnbearer”をレコーディングした。だけど、それはセッション・メンバーと作ったソロ・レコードという感じだった。
自分の結婚式で、妻がアコースティック・ギターを弾いてそれらの曲を初めてプレイした。僕はギターがあまり巧くないし、とてもナーバスになっていたんだ。だから、バンドと一緒にHexvesselの曲をプレイすべきだと気付かされた。本物のバンドとね。マジックが生まれるような人たちと。Captain Beefheart’s Magic Bandにあったマジックのような。
結婚式ではDark Buddha Risingというバンドと一緒にプレイした。僕は彼らの魔術的なオーラに魅了されてしまった。彼らはヒッピーだけど、ダークな宝石だった。その時、僕の曲をプレイしてもらうバンドは彼らでなければならないと気付いた。
結婚式のあと、彼らに僕のバッキング・バンドを務めてもらえないかと頼んだら、彼らはとても驚いていた。なぜなら彼らは、彼らの次のレコードで僕に歌ってもらえないかと頼もうとしていたからだ。
それで、僕は彼らの3枚目のレコードで歌って、彼らは僕の2枚目のレコードに参加してくれた。
そんな中で、ベースのNiiniとキーボード、ヴァイオリン、トランペットのKimoと出会って、僕たちは本物のバンドになった。それぞれ出自は完全にバラバラだけど、愛から生まれた本物の家族みたいだ。

――Hexvesselというバンド名の由来、意味は何ですか?

Mat
僕にとっては”スピリチュアルな旅”を意味している。Hexvesselは魔法を運ぶ者。スピリチュアルな旅行をするための自動車なんだ。君を悟りへと導く人生の魔術的な業の具現化。希望、夢、宇宙の意味を探求することを意味している。

――Hexvesselをまだ聴いたことのない読者のために、どんなサウンドか説明して頂けますか?

Mat
フォークと60、70年代のコズミック、サイケデリック・ロックの超自然的な融合。ブルースの血とプログレッシヴ・ロックのスピリット、Beefheart, Bo Hanson, The Doors, Camel, Ultimate SpinachMahavishnu Orchestra, Bob Dylan、初期Steeleye Spanからの影響に駆り立てられている。もしオブスキュアでレア、ヴィンテージな音楽を掘り下げていたら、僕たちのやっていることをより理解できるだろう。
それは錬金術であり、魔術である。僕たちが信じる音楽の力を変容させて、君たちに届けるんだ。すべては繋がりについて、この世界と別の世界の繋がりについてだ。

――Hexvessel以前のあなたはブラック、デス・メタル・ミュージシャンとして知られていましたが、フォーク・ミュージックをプレイするきっかけは何だったのでしょうか?

Mat
きっかけは音楽の純粋さについてだった。死者を再び歌わせるんだ。フォーク・ミュージックは純粋な歌について。物語なんだ。僕らの心の中にある物語と歌。人間とは何か、そしてより壮大な物語、宇宙の本質へと向かっていく。
ブラック・メタルをやり始めたころは、旅の途中だった。僕はこの旅と探求を続けたかった。若くて、向こう側へのブレイクスルーを求めているなら、ブラック・メタルはよい機会だよ。音楽の、心の中にある音楽のコンセプトを理解する助けとなる。
人々は”ブラック・メタル・フィーリング”について話している。そのフィーリングとは音楽的な悟りであり、神々へと達するんだ。そして、それはあらゆる良い音楽の核となるものだ。だけど、ブラック・メタルはそこへ速く到達するための一つの方法にすぎない。
僕はもっと先に進みたかったんだ。より純粋な形で音楽の根源へ向かうため、そして言いたかったことやインスピレーションの精霊に近づくためには、僕の内面にある歌はフォークに根ざしていると感じた。古びた骨、古代の木々、動物の内臓など、民俗(フォーク)楽器は自然そのものから作られている。それらは死者を歌わせ、自然の歴史を物語る。まるでDNAの音のようだ。それがフォーク・ミュージックに僕が魅かれる理由だと思うね。それが君の望む死だとしても、そのすべて、それ以上がある。どちらも暗くて、だけど明るくて、より触発されるんだ。

――あなたが初めて音楽に触れたのはいつですか?ミュージシャンとしてどんなバンド、アーティストから影響を受けていますか?

Mat
初めて音楽に触れたのはまだ子供だった頃、書斎の床で横になっていて、父親がPaul Simonの”Graceland”を掛けたんだ。Paul SimonはNat King Cole, Sam CookeRoy Orbisonと共に僕が初めて本当に好きなった音楽のひとつだよ。
僕の父親はElvisの大ファンで、僕はElvis、それからJohn Lennonを聴かされて育ったんだ。父はBeatlesのファンではなかったけど、Lennonの大ファンだった。これは僕が父から受け継いだもののひとつだね。John Lennonは大好きだったけど、The Beatlesを聴いたのはずっと後になってからだった。The Beach Boysも子供のころよく聴いていた。ポルノ雑誌を隠していた場所があって、自分のステレオでThe Beach Boysを流しながら雑誌をペラペラめくってレトロな女の子たちを眺めていたんだ、ハハ。初めて買った7インチはThe Beach Boys、LPはMichael JacksonのBADだったと思うよ。
十代になってからはThe CureThe Doorsが最も重要なバンドだった。リスナーから音楽好きになった。アリスのウサギの穴に落ちたような感じだよ。未知の、狂った世界の永遠の迷子なんだ。

――あなたはイギリスからフィンランドへ活動の拠点を移されましたが、そのことはあなたの創造性に影響を与えていますか?

Mat
間違いなく影響を受けている。フィンランドにはとても美しい景色がある。僕は自然を、人々と自然の繋がりを愛しているんだ。ヨーロッパで最大の面積があるけど、人口はとても少ない。広大な森に囲まれて隔絶されている。ボーイスカウトやイギリスの田舎でキャンプをしたり、アイルランドにある叔父の農場で長い夏を過ごしていたころから、僕は森と田舎に夢中なんだ。自然の世界は僕の想像の中の世界にとても近いことに気がついた。当時も今も、自然は僕の夢と現実が出会う場所だ。子供のころ、テリー・ブルックス(アメリカのファンタジー作家)の” Magic Kingdom For Sale Sold”という本を読んだことがあるんだけど、この本は僕の人生そのものだ。イギリスは僕にとっての現実で、フィンランドはブルックスの本に出てくる魔法の王国なんだ。

――フィンランドの音楽シーンはどのようなものですか?

Mat
サイケデリック!(笑) 今のサイケ・ロック・シーンはとても強力だと思うよ。Circleというバンドが支配していたんだけど、そのあと、Pharaoh Overlord, Death Hawks, Oranssi Pazuzu, Dark Buddha Rising, Domovoydが出てきた。フィンランドの音楽シーンはとてもオープンなんだ。どんな音楽のファンでもお互いのショウを観に行く。他の国のように断絶していないんだ。Hexvesselのショウに来れば、ゴス、ヒッピー、ブラックメタラー、フォーク・ファン、それに奇妙なやつら、あらゆる変人が共存しているよ。

――歌詞やPVにはオカルト、シャーマニズム、ペイガニズムが見受けられます。これらの文化はあなたにとってどのようなものですか?

Mat
スピリチュアルな探究。スピリチュアルな冒険についての文化を探究することだと思う。古のオカルティスト、シャーマン、異教徒たちがいかにして自然と宇宙の構造を内包した神秘主義を見出したかが好きなんだ。聖書のでっち上げのお話よりもね。魔法が存在することを、音楽と繋がっていることを本当に楽しんでいるよ。
オカルトやクロウリーの本などをたくさん読んだ。僕の異教の祖先やケルトの伝統を継ぐもの、英国とアイルランドのルーツにも深い関心を抱いている。すべてが意味しているのは、僕の人生にはもっと何かがあるという予感なんだ。現実のトンネルを破って、深淵を掘り下げれば、何かが見つかるかもしれないという予感が好きなんだ。

――”Iron Marsh” EPにはPursonのRosie、Blood CeremonyのAliaが参加していますが、これはどのような経緯で実現したのですか?両バンドともモダン・レトロ、サイケデリックなドゥーム・バンドとして知られていますね。

Mat
どちらのバンドも大好きだし、サポートしたいと思ったんだ。それが彼女たちに参加をオファーした理由だね。両バンドには僕らと共通する部分があると思う。才能ある強い女性が作曲をして、バンドをリードするというアイディアも好きだ。これは僕らのシーンにとってとても良い変化だと思う。僕らには二人の女性が参加しているし、お互い助け合っているよ。

“Iron Marsh” (2013)

――”Iron Marsh”にはオノ・ヨーコのカバー”Women of Salem”が収録されていますね。これはみんなを驚かせたと思います。なぜこの曲をプレイしようと思ったのですか?

Mat
僕はいつだって彼女に魅了されているんだ。彼女はミュージシャンとして最も過小評価されているアーティストだと思うよ。彼女はJohn Lennonの最も偉大な曲やアルバムのプロデュースを助け、ほかの誰よりも彼に大きな影響を与えた人物だと思う。僕が彼女のバック・カタログを掘り下げ始めたときに聴いた”Feeling The Space”というアルバムの曲が大好きなんだ。あの曲をもっと違う方法で仕上げられると感じた。これは良いカバーの印だね。曲に異なる方向性と新たな生命の形を与える。僕らはそれを成し遂げたと思うよ。
サウス・バンクが彼女の音楽の影響力を祝うイベントを開催したのは興味深いね。彼女はアバンギャルドな音楽文化における大きな一部であるという僕の意見を補強するものだった。彼女は挑発的で、芸術と音楽における日本人のイメージを変えた。
彼女は扉を開いて、創作のため、世界の平和のために活動する人々に大きな影響を与えたんだ。

――ほかに日本人のバンド、アーティストを知っていますか?

Mat
Flower Travellin’ Bandは大好きだ。ジョー山中は僕のお気に入りのシンガーの一人だよ。それとAcid Mothers Temple。坂本龍一のような作曲家からは大きな影響を受けている。ススム・ヨコタの音楽も大好きだ。ミニマリズムが好きなんだ。黒澤明、宮崎駿監督の大ファンでもある。Monoというバンドも好きだ。どうやら僕は日本の音楽が大好きらしい!
日本を訪れたとき、高尾山に登ったんだ。僕のお気に入りの場所だよ。とても美しかった。日本には良い思い出がたくさんあるよ。

――新しいEPとアルバムのリリースが控えていますが、詳細を少し教えて頂けますか?最新のバイオグラフィには「新たなフェーズへ進む」と書かれていますね。公開された新曲”Earth Over Us”は60年代のサーフ・サイケを思わせるものでした。

Mat
ああ、新しいアルバムは”When We Are Death”というタイトルだ。これは僕らにとっての新たな一歩だ。60sポップス、サイケ、フォーク、それからドゥーム、プログレの要素がある。ヘヴィでディープ、スロウでハード、美しくて、悲しい。だけど究極的な高揚感があるんだ。アルバムのメッセージは幸福と悟りについて。これは最もディープで、偉大で、そして最も正直な作品だ。僕らはこの作品を創るためにかつてないほどの作業をした。意欲的な作業で、僕らがバンドとしてその作業を愛していることを示せたと思う。
今すぐ死んでもいいぐらいだよ。このレコードが僕の遺言になれば幸せだ。

“When We Are Death”(2016)

――最近はどんなバンドの作品を楽しんでいますか?読者にお勧めがあれば教えてください。

Mat
最近のリリースをあまり深く掘り下げてはいないんだ。きっとたくさんのクールな作品を聴き逃しているだろうな。だけど、そのおかげで僕の生涯におけるベストの作品2枚を創ることができた。ひとつはHexvesselの、もうひとつは僕の別バンド、Grave Pleasuresだ。狂ったようにツアーをして、Marjaと共に美しい小さな男の子(息子さんのことと思われる)をこの世界に齎した。
これが僕の2015年によく聴いた作品のリストだよ。

DØDHEIMSGARD – A Umbra Omega (彼らの最高傑作。文句無しの1位だ)

UNCLE ACID – The Nightcreeper (fuzzy Beatles worship。まだ聴き足りない。今でも本当にこのバンドを楽しんでいる)

FUZZ – II (Witch以降で最高のSabbathian fuzz rock)

SATURNALIA TEMPLE – To The Other (Deep drone worship! このアルバムのサウンドが大好きだ)

DEATH HAWKS – Sun Future Moon (フィンランドのクラウト・ロック。とてもレイドバックしていて、トリッピーなレコードだ)

WAND – 1000 Days (クラウト要素のあるガレージ・ロック。 素晴らしい曲とリフ)

JOHN KRAUTNER – Fun With Gum Vol1 (びっくりするぐらいキャッチーな楽曲!危険なほどにね。夏の間、ずっと頭にこびりついて離れなかった)

DARK BUDDHA RISING – Inversum (フィンランドで最もヘヴィなバンド。オーディオ・ドラッグだ)

SEXWITCH – Sexwitch (GoatとPortisheadがエスニック・パーティでいちゃついているかのようだ)

ABYSSION – Luonnon Harmonia Ja Vihreä Liekki (僕のレーベルSecret Treesのリリース第1弾。 最高のfar-out Finnish psychedelic blackmetal)

SECRETS OF THE MOON – Hole (異次元の作品だ!)

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

Mat
宮崎駿が「天空の城ラピュタ」で言っているように、
「地球が僕らに語りかける。耳を傾ければ、僕らは理解することができる」(訳者注:正確な訳があったら教えてください)
僕らのレコードを気に入ってくれた嬉しいよ。作品を通して地球の声が聞こえるはずだ。
近いうちに日本を訪れて、君たちのためにプレイする日が来ることを願っているよ。
https://www.facebook.com/hexvessel/
https://hexvessel.bandcamp.com
http://hexvessel.tumblr.com

 

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Mat McNerneyの2015年ベスト11












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