SUMMONED BY GIANTS(US)とのツアーを直前に控えたドゥーム/スラッジ・トリオFLOATERSインタビュー

聞き手:梵天レコード

USシアトルのドゥーム/ストーナー・バンドSUMMONED BY GIANTSとの国内ツアーを直前に控えたドゥーム/スラッジ・トリオFLOATERSに、短めですがインタビューいたしました。2017年にリリースした1stアルバム『Waiting For Amnesty』に続く2ndアルバムも準備中とのことで、ますます目が離せません。

SUMMONED BY GIANTSにもインタビューしましたので、こちらも合わせてお楽しみいただけたら幸いです。
ツアーは4月13日土曜日からスタート。行きましょう!

――前回のインタビューから時間も開いてますので、その間のFloatersの活動を簡単にでいいので教えて頂けますでしょうか。

Mossa Hiro (Bass/Voice)
前回はアルバムリリース直前だから1年数カ月経つけど、その間はライブ、ライブ、ライブ、活動休止、復帰って感じかな。
2018年は本当に色々なバンドさんに呼んで貰ったりで毎週と言って良い位にライブやらせてもらった。
多くの方にアルバムも聴いてもらえたし関東以外にも何箇所か行けたし良い1年だったと思う。
まぁ11月にドラムのJunの病気でライブ活動休止になったけど(笑)。

――ライブ活動休止中はどのようにしてましたか?また今回のツアーまでに復帰出来るかの目処はたっていましたか?

Mossa
スタジオは月に2回位は入ってて新曲書いてたからあまり止まってる感じはなかった。
まぁスタジオ入っても軽く合わせてあとは殆ど話してるみたいな感じだったよ。
病気も良くなるのは分かってたけど、正直言って復帰時期がいつになるかってのは治療が上手く行くかなので何とも言えなかったけど、順調に回復して結果的には予想よりも少し早く復帰出来たから良かったよ。

――SUMMONED BY GIANTSの招集はどのような経緯で決まったのですか?

Mossa
去年の8月末にKaalaのMattから「SeattleのSubstationってライブハウスのオーナーのKenが日本に行くからタイミング合えば会って」と連絡が来たのが始り。
9月にKenが来日して1日空いてる日があって、俺の働いてるThrash Zoneに呑みに来てくれるってなって、El PuenteのオーナーのShiggyさんも呼んで3人で「日本とSeattleで交流出来たら良いね」って色々と話したんだけど、KenがSeattleに戻って暫くしてから「SBGってバンドいるんだけど一緒に日本周れる?」って連絡来てKaalaのメンバーとKenとやり取りして実現に至った。

――今年2ndアルバムのリリースも控えているようですが、どんな感じになりそうですか?

Mossa
基本的にはいつも通りのFLOATERS。ごった煮(笑)。
完成してる曲はね(笑)。
あ、歌詞はちゃんと書いてるよ(笑)。
前回のレコーディングの反省が活きてる!
まだ曲足りないから書かなきゃいけないんだけどさ。
年内には出せるようにってメンバー間では話してる。

――気が早いですが2ndアルバムリリース後の計画とかはありますか?

Mossa
アルバム出して日本各地に行きたいし、出来ればSBGと西海岸ツアーもしたいな。
去年一緒に演ったニューオリンズのCHOKEとも南部で演れたら最高だね。
まぁ先ずは今回のツアーを成功させてからだけどね(笑)。

――最後にツアーで行く各地の皆さんに一言お願いします。

Mossa
FLOATERSとしては今の編成で初めて行く街だったり、過去に行った事があっても違うライブハウスだったりで
各地のオーガナイザーさん対バンの皆さんに感謝します。
本当に皆さんの協力がなければ実現しませんでした。ありがとうございます!!

SBGと共に全力で愉しみますので皆さんも遊びに来て音と酒に酔って愉しんで貰えたらと思います。
よろしくお願いします!!

https://floatersjapan.bandcamp.com/
https://facebook.com/floaters.japan/
https://twitter.com/TxJun666

Summoned By Giants & FLOATERS JAPAN TOUR —GEMINATE OUTLAWS TOUR—

4/13(土)場所:中野MOONSTEP
Summoned by Giants
Floaters
Lifeblood
Worship Pain
Crash Syndrom
Bafomet
Mortify
Harappa

前売/当日 2,500/3,000円 + 1drink
学生(要学生証提示) 2,000円 + 1drink

4/14(日)場所:渋谷 Ruby Room
FLOATARS
Summoned By Giants(Seattle)
Khola Cosmica
ZOTHIQUE
穴虎69
Her Vomit is Modern…
Black Creek Drive
DJ ロベルト吉野

¥2000+1D
OP 1530/ST 1600

4/17(水)場所:岡山pepperland
SUMMONED BY GIANTS
FLOATERS
THE BOME STONE
TILL EWING
HOLY PISS
dios del mal

OPEN19:30 START20:00
¥2000+ drink charge¥500

4.18(木) 場所:アメリカ村 HOKAGE
Summoned By Giants (Seattle)
FLOATERS (Yokohama)
GARADAMA
The Probes

OPEN/START:19:00/19:30
前売/当日2,000yen/2,500yen (+1drink)

4/19(金) 場所:名古屋 HUCK FINN
Summoned By Giants(USA)
Floaters(西横浜)
nibs
Dethfast
Wet Bream

open/start 18:20/18:40
前売/当日¥2000+1d¥500

4/20(土)場所:長野 VENUE
Summoned By Giants (Seattle)
Floaters (東京)
GATE (栃木)
GODS OF GRIND
YxAxD
INVICTUS
DJ 平林兄弟 (ROW-GUN & Te2o)

¥2,000
OPEN 17:30 / START 18:00

4/21(日)場所:西横浜 EL PUENTE
KANDARIVAS
SERINGAI
TARING
FLOATERS
SUMMONED BY GIANTS
VERITAS CONC.75
DISASTER
SLAMMING AVOID NUTS
FUCK ON THE BEACH

[open] 15:00- [start] 15:30-
[adv] 2000yen [door] 2500yen

 

「そんな感じでFloatersはとにかくクソ野郎です!」1stアルバムをリリースしたドゥーム/スラッジ・トリオFLOATERSインタビュー!

[:ja]米オレゴンのスラッジ/ドゥームYOBが8thアルバム‘Our Raw Heart’を6月8日にリリース[:]

[:ja]

米オレゴン州ユージーンのエクスペリメンタル・スラッジ/ドゥーム・バンドYOBが2014年の“Clearing the Path to Ascend”以来4年ぶり、8枚目となるアルバム“Our Raw Heart”を6月8日にリリースするとアナウンスしました。

2016年には中心人物のMike Scheidt(Vocals, Guitars)が病に倒れ活動の存続すら危ぶまれていましたが、遂に!

マスタリングはThe Mars VoltaSlowdiveを手がけたHeba Kadry が担当。全7曲を収録。発売元はRelapse Records。予約受付は4月10日から開始。

6月14日からBell Witchをサポートに迎えて北米ツアーを開始予定。

https://yobislove.bandcamp.com/
https://facebook.com/quantumyob/
https://label.relapse.com/yob-release-our-raw-heart-on-june-8-via-relapse-announce-north-american-tour/

[:]

「そんな感じでFloatersはとにかくクソ野郎です!」1stアルバムをリリースしたドゥーム/スラッジ・トリオFLOATERSインタビュー!

[:ja]聞き手:梵天レコード
2017年11月26日 関内Thrashzone Meatballsにて

昨年12月に1stアルバム”Waiting For Amnesty”をCaprured Recordsからリリースしたトリオ、Floaters。↑の写真から想像できる通りのアウトロー・ドゥーム、スラッジは、労働終わりの1杯のように五臓六腑に染み渡る無骨、燻し銀、そして珠玉の1枚に仕上がっています。

Bass/VocalのMossa氏が勤める関内Thrashzone Meatballsで、自家製クラフトビールを飲みつつインタビューして参りました。

 

――結成の経緯から教えてください。

Junichi Ohashi(Drums)
2013年に。その時はまだモッサはいなかったんだけど、最初は俺とTanakaと、あとトッツ(Vocals)っていう・・・もういないんだけど(苦笑)。その3人でやるってことになって、ベース探そうって地元の知り合いでベース弾けるヤツいないかって探したら、モトイってやつがいて。で、4人でやっていって、いちばん最初のライブが小岩Bushbashで、対バンがInside Charmer

Mossa Hiro (Bass/Voice)
Junとは昔、Redwood Bluesで一緒だったんだよね。

Jun
ブッキングお願いしますってBushbash行った時に、対バン見たらInside Charmer。ここで会うとは・・・(笑)。

――そこでRedwood以来の再会ですか?

Mossa
何度かライブハウスで会ってはいたけど、久しぶりって感じだよね。5年とか6年ぶりぐらい。相変わらずだったけど。トッツもJunと知り合った時から知ってて俺が入ったのは2014年の秋ぐらいで、トッツの結婚式の二次会がデビュー戦(笑)。11月にデモ録って。Inside CharmerとFloatersでやりつつ、Nepenthesにも入って、バタバタしている間にヴォーカルのトッツが辞めるだ辞めないだ、三か月休ませてくれとかになって(苦笑)その間に止まってるのもなんだから3人で何かやる?って感じで・・・2回ぐらいやったんだっけ?

Yu Tanaka(Guitars)
いや、1回だけ(笑)。

Mossa
Floaters Lite(笑)。あのライブ色々あったよね(笑)
ライブ中に衝撃的な事があって最後の曲の頭のリフが飛んだもん(笑)

Tanaka
「なんだっけ?なんだっけ?」って(笑)。

――リフを忘れるほどの(笑)。

Mossa
衝撃的過ぎ(笑)そのあとプエンテの企画で岡山と大阪のツアーがあって、トッツはそこで結局辞めるってなった。西横浜El Puenteの周年イベントが決まってたんだけど、それも出れないっていうことで、じゃあとりあえず俺歌うわってことで。結局スタジオ入れなかったんだよね。バンドもこの後どうなるかわからないけど、とりあえずこの日は絶対やるからってなって・・・それがすこぶる良くて(笑)。終わって珍しくギターのYuさんが「どうしますか?これから」って。で俺が2人に「どう?」っ聞いたら、みんな手ごたえがあったからやろうと(笑)

Tanaka
それが去年の7月ぐらい。

Mossa
春ぐらいにはアルバム出したいねってなってたんだけど、俺が仕事とか忙しくて。やっと9~10月で録れてなんとか年内発売にこぎつけた感じ。スタジオ入って、じゃあ曲を書こう、何かアイディアある?って聞いたら、みんな携帯からゴソゴソやって(笑)、その場で曲を書いていくスタイル。俺が忙しくてスタジオ入る時間的余裕が無くて最後の方は俺とYuで2曲ずつぐらい書こうって。バンドで合わせて少し変更して。結構突貫工事だった。歌も超ギリギリだったよ。

Jun
俺らもレコーディングで初めて(歌を)聴いた(笑)。

Mossa
初日と2日目の途中まででオケ録って、ギター重ねてる時に仮で歌って、こういう感じかって。それまでリハとライブでしか歌ったことなかったから、どんな感じなのか確かめたくて。録音2日目のギター重ねてる時に俺は仕事に行かなきゃいけなかったから抜けて仕事に行ってリードとかは入れてもらってた。歌は10日後ぐらいに2人が仕事してる日の昼くらいから1人でVoid Lab)))に行って録った。早く終わってよかったよね。

“Waiting For Amnesty” (2017)

 

――HiroさんのヴォーカルはInside Charmerで聴いてたんで、ああいう感じかと思ってたんですが、全然違いましたね。こういう歌い方もするんだって。

Mossa
歌は特にまだまだ足りないからかなり頑張らないとなって感じ(笑)

――一足先にアルバム聴かせていただいたんですが、90年代スラッジ/ドゥームの影響を強く感じました。ちょうど90年代のバンドいろいろ聴いてたところだったからかもしれませんが。その辺みなさん直撃世代ですよね?

Mossa
まあね。俺達生まれたのが77年から79年ぐらいだから、90年代前半が高校生だね。

――当時こういう音楽聴いた時の印象ってどうでした?

Jun
俺はやっぱりEyehategodだね。全然知らなかったけどディスクユニオンに行って。当時ジャケ買いが自分の中で流行っていて、「Take As Needed For Pain」を。最初うーんって思ったんだけど、日が経つにつれ「カッケエ!」って。

Mossa
俺はSpiritual Beggars、Cathedralとかが衝撃だった。Inside CharmerもRedwood BluesもSpiritual Beggarsの曲からだし(笑)。あとRise Above系。

――ドゥームやスラッジと呼ばれることに対してはどうですか?

Mossa
元々好きだし(笑)。

Jun
客が観てそう判断してくれるなら。

Mossa
ドゥームやりたいと言うよりはカッコ良いと思った事をやりたい。これはバンドやってる人は全員そうでしょ。このジャンルやりたいってのもあるだろうけどカッコ良いと思った事をやってるだけでしょ。うちはそれがドゥーム、スラッジになっていると言うか。3人で曲書いたりしてる時に、自分では思い付かないようなアイディアがメンバーから出てきて試してみたら「おー、かっこいい」みたいな事もよくあるし。Inside Charmer、Redwood Bluesでは曲書き上げてからバンドでやってたけどFloatersはそうじゃない。結局カッコよければいいでしょ、っていう。この曲ここで終わるの!?みたいなとか、この変拍子何!?とかよくあるのがFloatersな感じ。

Tanaka
俺はドゥーム、スラッジのつもりはない(笑)。

Mossa
(Yuは)当時から聴いてたわけじゃないからね。Yuはもうちょっとメタルっぽいのが好きだから。

Jun
俺は元ヘルボトムだしね。

Mossa
ドゥーム、スラッジだわな(笑)。JunはGunship 666の元ドラムでもあって ベースのモトイ君が辞めた時に俺ともうひとり候補がいたんだよ(笑)。

Jun
最初にパッと思い浮かんだのはKhola CosmicaのKensuke。

Mossa
もともとKensukeは(JunとGunship666で)一緒なんだよ。ヘルボトムもやってたし。ヘルボトムは現GuevnnaのGoもやってたし、Khola Cosmicaのザックもいたし。

Jun
ヘルボトムはすごいよね。

Mossa
ヘルボトムの時に初めて皆と会ったんだけど新宿URGAでRedwood Bluesで対バンだったんだけど、職安通り歩いてたら前からすげえヒゲのヤツが来るの。(ライブを)見たら超良くて(笑)。Redwood Bluesのドラムが抜けた時にJunに連絡したけど「今はできない」って言われて。前の二万電圧の何かのイベント出た時、サポートドラムが見付からなくてRedwoodのギターヴォーカルがドラム・ヴォーカルやるって言ってベースとドラムの編成でやったんだけど、それ見たJunが「やべえ、俺やる」って。

Jun
十数年前だね。

――皆さん旧知の仲なんですね。

Mossa
ここ(JunとMossa)はそうだね。ここ(YuとJun)もGunshipのライブの時とかに行ってるから、みんな一緒の場所にはいたんだろうな。

――歌詞を書いてるのは?

Mossa
俺が頑張って書いてる(笑)。元々ヴォーカリストじゃないから大変・・・Inside Charmerで初めて書くようになったんだけど歌詞は一番最後に作る。録音しなきゃいけなくなったら歌詞を書かなきゃいけなくなって、それに伴いメロディを変えるってどんどんやる事が出てくるっていう(笑)

――今回歌詞カードは・・・?

Mossa
歌詞カードはありません(笑)

Tanaka
俺らも歌詞の内容は知りません(笑)。

Mossa
とりあえず全部ダメな奴の話・・・まぁ自分の話だね(笑)7曲目は酒を飲み過ぎて道を失ってる話。歌詞自体は長かったんだけど削って、サビの「聖なるホップの山を登ろう」しか歌ってない(笑)。

Tanaka
それは知ってるよ(笑)。

Mossa
Holy Hop Mountainにしようと思ったんだけど、それはちょっとやり過ぎかと(笑)。

――曲のタイトルにはzealot(狂信者)、Iconoclast(偶像破壊者)とか宗教的な言葉がありますが・・・

Mossa
Iconoclastは使わなければならなかった(笑)最後の曲”Most EXtreme ICOnoclast”は俺らの中でメキシコって呼ばれてる曲で。

Tanaka
出来た時にメキシコって呼んでて。

Mossa
だからMEXICOの文字だけ大文字にしてるの。メキシコありきで言葉を選んだ。

――”Most EXtreme ICOnoclast”は後半がIron Maidenみたいで。

Mossa
あの部分は俺達が馬に乗ってメキシコに逃げる西部劇なの(笑)。歌詞の内容は全然違うけど(笑)

――”Waiting For Amnesty”というアルバムのタイトルの由来は?

Mossa
これもYuのアイディアでメキシコから繋がってる。何故俺たちが国境を越えてメキシコに逃げなくてはいけないのか、Floaters(クソ野郎)だからこれしかできませんって感じで「これで赦して!」っていう。恩赦(Amnesty)が欲しい。

Tanaka
最後の曲の最後のパートは無かったんですけど合わせてる時に、このリズムで。西部劇の感じはずっとやりたくて。

Mossa
ギャロップな感じは確かにIron Maidenっぽいんだけど、おれたちの中では西部劇。夕日に向かって走るやつ(笑)

Tanaka
国境に向かって走ってる(笑)。日本語で恩赦っていうイメージだけ浮かんで語感の良さで。

Mossa
「Pardon letterじゃ締まんないな・・・Amnestyで」ってスタジオで決まった。

――アルバム通してのコンセプトがある、とかではないんですね。

Mossa
そういうのではない(笑)。

Tanaka
内容はちゃんとわかってないですけど、大体Hiroさんの言葉というか。

Mossa
俺の思ってること、感じてることとか。あることないこと膨らませて(笑)。なので駄目な奴の話ばかりなの(笑)

Tanaka
1曲、歌詞が全く決まってなくて、じゃあタイトルだけつけていいですか?って「狂信者の願い」ってつけさせてもらって、これで膨らませてくださいって。

――タイトルだけ見ると色々深読みできそうですね。

Tanaka
あと1曲だけすごい感情的な・・・。

Mossa  
ハハハハ

――Get Back My Soulはもしかして曲もHiroさんですか?

Mossa
そう(笑)。Floatersっぽくないのを、アルバムが一本調子にならないように違うヤツを入れたいっていうのがあって書いた。もうちょっと短かくしたかったんだけど長かったね(笑)。あともう1曲 1人で書いてる。

Tanaka
3曲ジャムで、1曲は4人時代の曲のリアレンジで、残りの4曲をそれぞれで(TanakaとMossa)。

――デモのトレイラー動画は映画ネタでしたね。

Jun
B級ホラーとかその辺好きだから。

――先ほど言ってた西部劇も元ネタあったりするんですか?

Tanaka
元ネタというかクリント・イーストウッドがとにかく好きで。あの人はいるだけで絵になる。

Jun
俺は西部劇といったらジョン・ウェインだな。ミスター西部劇。

――機材や音作りに関してはどうですか?

Jun
機材に関してこだわりがあるのはこの二人だね。

Mossa
こだわりは、見た目が馬鹿馬鹿しい(笑)。あとはネーミングがアホとか。ダンウィッチ・アンプのウィザーズ・ファズだよ?見たことある人はわかると思うけど、魔法使いの絵が描いてあって、杖の先がONにすると緑に光る(笑)。あとエグく歪む。下手になるから考えた方がいいって言われたけどね。もうちょっとローエンドは欲しい。まだ足りない。

Tanaka
ギターは・・・抜けにくいのはありますよね。

Mossa
この手の音楽やってりゃ抜けにくいのはついて回るよね。

Tanaka
ベースが歪んでるってのもあるし。おれもハイ寄りのキンキンした音が好きじゃないから。

Mossa
二人とも音の好みが下の方に寄ってる。

Tanaka
ギリギリ抜けるところまでしかハイを上げないっていう。今回ギターはすごく気に入った音で録れましたね。

Mossa
ベース単体でも、歪んだところのギャリッっていうところは出したいけど、バキッっていうのとも違うしなっていう・・・。アイスクリームを揚げたみたいな音(笑)外はカリっと中はトロっとじゃないけど(笑)とりあえず馬鹿みたいなローエンドと、馬鹿みたいな歪みは欲しい(笑)。「頭悪いんだなコイツ」っていうぐらいのが欲しい。

Tanaka
録音はいい感じで録れてる。ほとんど手を加えてない、Orangeの一番カッコいい音が出たかな。

Mossa
ベースはキャビがローエンドを再生しきれない感じだったから出したい所を言ってローエンド足すようにイコライジングとかした。それやるとギターが霞むんじゃないかって皆言うけど、帯域違うし、下出した方がガッツのある音になると思ったから。

Tanaka
もっと埋もれると思ったけど全然埋もれなかった。

Mossa
アルバム録る時に、どんな音にしたい?って他のメンバーに聞いたの。そしたら特にレスポンスが無い(笑)。

Tanaka
だって、無いよ!

Jun
俺は粘り気がある音。粘りを求めて始めたから。

Mossa
音に対してそこまでどうこうしたいってのは言わなかったけど、思ったとおりになったな、ってぐらいで。

――そこはバンド内である程度、共通認識がみたいなものがあって。

Jun
俺はBilly Andersonのドラムの音が大好きで。

Mossa
そこは間違いなく良いから!っていう共通認識だね。ちょっと録って聴いてを繰り返して、こうしようっていうので決めた音。録った後にミックスの時点で、もっとこういう感じっていうのもしたし。歌に関してはさっぱりわからねえから(笑)、最初、素で録って、よくわかんない(笑)。ちょっと歪ませる?定位を広くする?ぐらいしか言ってない(笑)。

Tanaka
歪ませてるんですか?

Mossa
歪むギリギリ前のところ。頭打ってるみたいな感じを出した。それを自分の喉でもっとダーティにできればいいんだけど。気持ちダーティな感じを出したいってところで機械に頼った(笑)。

――アルバムのリリースはどんな経緯で?

Mossa
今回Captured Recordsで出させてもらうのは、Inside Charmerの時からJeroさんに声掛けられてて。まず2017年の総武線バイオレンスは(Floatersで)こっちから先に出たいって言って出させて貰う事になって。何ヶ月後かにJeroさん(Abigail、Captured Records)がプエンテに来た時に話をして、録ろうと思ってるんですよって話したら「うちからどう?」ってことで。

–アートワークは誰のものですか?

Mossa
プエンテ繋がりで今ニューヨークのブルックリンで活躍してる岡野真人さんにお願いして描いてもらった。太平洋を挟んでコラボレーション(笑)真人さんにはNoothgrushとの日本ツアーのフライヤーも描いて貰ってて真人さんしか居ないでしょと。オケ録ったのを送ってそれを聴きながら描き始めてくれて途中で歌も載せたのも送って描きあげてくれた。

――ベタな質問ですが、人生を変えたアルバム5枚を教えてください。

Mossa
Black Sabbath – Black Sabbath、Spiritual Beggars – Mantra III、The Wildhearts のB面の曲がいっぱい入ってるベスト盤、The Beatles – Let it beあとCathedral  – Endtyme

Tanaka
PanteraのVulgar、OzzyのBlizzard of Ozz、David BowieのZiggy Stardust、ZeppelinのIIかIV。最近の俺に影響与えたってなるとDOWNのNoLa。

Jun
G.I.S.M.、DEATH SIDE、LYNYRD SKYNYRD、EYEHATEGOD、PANTERA。

Mossa
俺達メタル、ドゥーム、ハードコア、みたいな(笑)。

――すごい腑に落ちる感じが(笑)。ハードコアっぽいパートがあるのはJunさんで、メタルっぽいところはYuさん、ドゥームはMossaさんで。

Mossa
ハードコアのエッジもあって、メタリックな刻みのリフもあったりするし。そこがらしいな、と思う。メンバーそれぞれの特徴がパート、パートで出てるのがFloatersのいいところかな。

Tanaka
いろんなのがミックスされたバンドがいいと思うんですけどね。

Mossa
別に新しいジャンルを作ろうとは思ってない。ただ自分達なりのカッコいいことをやりたい。

Tanaka
もう完成されていると思うからね、カッコいいジャンルは。

Mossa
あとはどれだけ自分で納得できるものを生み出せるか、それが大事かな。

Tanaka
現場でカッコいいのを俺たちがやらないと残らないかなって。

Jun
若いやつにがんばって欲しいけどね。

Mossa
どこも同じこと言うだろうけど、うちらもカッコいいことやりたいだけ。じゃないとやってられないよ。恩赦もらうためにやってるんだから(笑)。「あなたの恩赦、待ってます」だからね(笑)。

Tanaka
「あなたの恩赦、待ってます」キャンペーンやろうか(笑)。トッツの顔写真Tシャツをプレゼント(笑)。

Jun
ヒゲの長さキャンペーンとかね。Hiroさんと俺のヒゲの長さ足して、それより長い奴は入場無料。

Tanaka
なかなかいねぇだろうなあ(笑)。来たら面白いけど。

――ライブとかツアーの面白いエピソードが多そうですが、言える範囲で何かありましたら教えてください。

Tanaka
トッツが2回バックれたことある(笑)。

Mossa
面白かったのは彦根かな。ライブ終って対バンの人達は打ち上げ行っちゃって俺達は疲れたからハコで寝るってなったの。ケータリングがあったから食べていいって言われてて、酒も生ビール以外は飲んでいいって言われてたけどメンバー3人は直ぐに寝ちゃって俺は起きてたから何か食いながら酒開け始めたらいきなり、「Hiroさん、打ち上げ行かないの~?」って寝てる筈のトッツがいきなり言ってきたんだよ。あいつ寝たふりしてやがってたの(笑)。トッツと二人で飲み始めて、飲み終わった缶をカウンターに並べてって朝5時ぐらいにJunとYuも起きてきて、残り数本だったから「全部飲んでくれ」って。

Tanaka
起きていきなり「ビール飲めよ」って(笑)。

Mossa
全部飲み終えたところに主催者が返ってきたから寝たふりしてたら「Floatersもう絶対呼ばねえ!」って(笑)。

Tanaka
ロクなことねえよ、あそこ(笑)。

Mossa
Floatersは寝たふり事件多いよね(笑)。あと2つはTanakaとJunが俺に対してそれぞれ(笑)でもこれは流石に言えないなぁ(笑)。人から観たFloatersってどんな感じなんだろ?

――サグいというかアウトロー感ありますね。

Mossa
悪ふざけしかしないけどね(笑)

Tanaka
MCあんまやらないし・・・ヘラヘラしてるだけだし(笑)。もっとカッコつけた方がいいのかな。

Mossa
話すと「なんかすいません」みたいな感じになっちゃうから・・・もっとワルイ感じで、「地獄へ落ちろ!」とかやった方がいいのかな(笑)。

――それ、Redwood Bluesじゃないですか(笑)。

Mossa
マイチョ(My Choice、Redwood BluesのVocals/Guitars)にMC担当で入ってもらうか(笑)。

Jun
Hiroさん口パクでね。

――聞こえ悪かったらアレですけど、Floatersは労働者階級のロックって感じもします。

Jun
まさしくそう。

Tanaka
イメージしてる感じもあるよね、うちら。

Mossa
俺たちは糞だからね。バンド名からしてそうだし。Matt(Kaala)がこの前、日本に戻ってきた時、「なんでFloatersって名前なの?」って聞かれて、だって俺達クソだからって。

Jun
Alpacaにも「どういう意味なんだ?」って聞かれたんだよね。便器に浮かんでるクソだって言ったら「ウオー!!!」って(笑)。

Tanaka
それは後からだよね。最初は浮いてるやつ、浮世離れとか。

Jun
でもFloatersで検索すると便器にウンコが浮かんでる画像とかいっぱい出てくるよ。

――不思議ちゃんって意味もあるみたいですね。

Mossa
スクールカーストのね。おれたち不思議ちゃんだから(笑)。

Jun
俺も不思議ちゃんだなあ。

Tanaka
その発言やばいよ(笑)。

Mossa
こいつ(Jun)は不思議ちゃんと言うかヒドいよ。無茶苦茶だよ。

Jun
コンビニで悪さしたら警察に捕まって、身体検査されたら大麻が出てきて・・・。で、1カ月ぐらい入ってたのかな。固い椅子があるの。それに3時間ぐらい座らされて聴取された。その時、ちょうど知り合いも捕まってて、久しぶり!みたいな。「俺はガサ入れでさ~」とか。

――やっぱりサグいじゃないですか!

Mossa
こいつはサグ担当だよ(笑)。こいつとトッツはマジでヤバい。

Jun
何回捕まったことか・・・。ダイムバッグ・ダレルが死んだ時に、六本木にダレルの顔写真のポスターを張りまくったら警察に捕まって。

――(笑)。いい話ですね!

Mossa
結婚して落ち着いた感じ?

Jun
そうだね。結婚してなかったら相当ヤバい感じに・・・。

Mossa
そんな感じでFloatersはとにかくクソ野郎です!

――今の時代、そういうのが忌避されるというか。そういうノリ好きな人多いと思うんすけどね。

Mossa
Floatersはそういうネタいっぱいあるからね(笑)。

――なんか、いい空気ですね、バンドとして。

Mossa
うん、そうだね(笑)

――今後の予定などありましたら教えてください。

Mossa
発売して最初のライブは総武線バイオレンス。そのあと都内はRubyroomでフリーギグが1月29日。うちの主催は2月4日にEl Puenteで。

Tanaka
今後、力暴力(ちからぼうりょく)バンドをやります。

Mossa
プエンテのスタッフのパンキュさんと(笑)

Floatersライブ・インフォメーション
01/27 福生Chicken Shack
01/29 渋谷Rubyroom
02/04 西横浜El Puente(レコ発企画)
02/15 西横浜El Puente
02/23 西横浜El Puente
03/10 西横浜El Puente

https://floatersjapan.bandcamp.com/
https://facebook.com/floaters.japan/
https://twitter.com/TxJun666[:]

Column: Rest In Pain…「10 Great acoustic songs by Doom, Sludge bands/musicians」

2014年07月 著者:梵天レコード

Doom Rock(Metal),Sludge Coreといえば、重い! 遅い!が信条の音楽。

デス・メタルやグラインド・コアと同じくエクストリーム・ミュージックに分類されるジャンルだが、70 年代、もしくはそれ以前のロック、ブルース等に根差している為、ヘヴィさがすべてではない―ルーツ・ロックが根底にあるからこそ、Doom,Sludgeにはアコースティックという、もう一つの魅力的な一面があるのだ。

The Obsessed他のWinoBuzzov.enKirkなど、ドゥーム、スラッジ・バンド / ミュージシャンがアコースティックの活動を行っているケースも多い(この辺は後述)。日本ではEternal Elysiumの岡崎幸人氏が弾き語りライブを行っていることが記憶に新しい。

エクストリーム・ミュージックの歴史は、機材の発達と演者たちによる極限のヘヴィネスの追及の歴史であると言える。
Sunn O))) のライブに行けば”眼玉が震える”程の轟音が体感できるだろう。
だが、然るべき人間の手にかかれば、囁くだけで、アコギを爪弾くだけで、心に迫る “真のヘヴィネス” が生まれるのだ。

去る6月29日に西横浜 Bar El Puenteで行われたアコースティック・イベントに国内のDoom系ミュージシャンが複数参加していたので、そのレポートと併せて今回のコラムでは、アコースティックというDoom,Sludgeのあまり取り上げられることのない一面を紹介していこう。

 

Sad Smile vol.2@ 西横浜 Bar El Puente

一番手は今回のイベントの企画者でもあるInside Charmerの もっさヒロ 氏。

Inside Charmerは、重い! 遅い! 尺長い!というまさに王道ドゥーム。この日はそのInside Charmerでも光るメロディ・センスを存分に生かしたライブとなった。

オリジナル2曲とInside Charmerの曲を1曲披露。 個人的には Wino の弾き語りに近い印象を受けた。

三番手に登場したのが梵天レコードよりリリースしたドゥーム・コンピレーション“All The Witches’ Day”にも参加してくれたスラッジコア・バンドZothiqueのヴォーカル & ギターのシモナカ氏とドラムのウエノ氏(本ライブではギター)。

David Alan Coe – “River”、Hank Williams III – “Gone But Not Forgotten”、中島らも – “いいんだぜ”という、“アウトロー”・アーティストのカバー三曲を披露。

四番手の錐針(すいばり)はオルタナ~シューゲイザーの影響も感じさせるドゥーム・バンドBlack Creek Driveのギタリスト、Kusumi氏と東京のスクリーモ・バンドBackstitchのヴォーカル、蓮理氏のユニットで、この日唯一の女性ヴォーカル。ポップな楽曲を挟みつつも、女の情念渦巻くダークな楽曲を中心とした構成。歌謡曲的なドロドロした感じではなく、オルタナ~グランジ風の乾いた“黒さ”を強く感じた。
この日のライブ動画はこちら。

 

 

10 Great acoustic songs by Doom, Sludge bands/musicians.

Trip Thru Recordsの選ぶDoom, Sludge系バンド/ミュージシャンによるアコースティック・ソングBEST10(順不同)

 

Acid Bath – “Bones of Baby Dolls” from “The Kite String Pops”(1994)

Acid Bathといえば、メロディとヘヴィネスが融合したサウンド(なんてチープな表現!)が魅力ですが、解散後にギタリストのSammy Duetが結成したGoathwhoreとヴォーカルのDax Riggsが結成したバンドやソロを聴き比べると、各人のAcid Bathでの役割が見えて面白いですね。
2ndアルバム収録のアコースティック・ナンバー“Dead Girl”も名曲。こちらはDaxのバンド、Agents of Oblivionのアルバムにロック・ヴァージョンで再録されています。
Daxの書く歌詞も素晴らしいので、是非聴きながら読んで頂きたい。

 

Cathedral – “Solitude”(Black Sabbath cover)from “Masters of Misery”(1997)

フルートを加えた、ComusMellow Candleが大好きなLee DorianらしいアレンジのBlack Sabbathカバー。
何よりLeeのディープな歌声が素晴らしい。

 

Wino – “Adrift” from “Adrift”(2010)

ドゥーム神ワイノ。もはや説明は不要ですね。聴いて咽び泣け!
Conny Ochsとのコラボ盤も必聴。

 

K. Lloyd – “Never Try” from “Solow”(2010)

スラッジコア・バンドBuzzov.enのヴォーカルKirk Lloyd FisherのBuzzo.ven解散後のソロ(Buzzov.enは2010年に再結成)。Buzzov.enとはまた一味違った、やさぐれ感たっぷりの彼の歌声を堪能できるアウトロー・ブルース。Kirkは、Eyehategod, Down, The Mystic Krewe Of ClearlightのJimmy Bower、Soilent GreenのBrian Pattonらと共にサザン・ブルース・プロジェクトK. Lloyd & The Disciplesとしても活動。

 

Waldsonne – “Pain of Senses” from “Wanderer”(2008)

ロシアのヘヴィ・サイケ・ストーナー・バンドThe Re-stonedのギタリスト、Ilya Lipkinが在籍するアシッド・フォーク・バンド。歌っているのはIlyaの奥様Veronika Martynova。The Re-stonedはEarthless辺りを思わせるインスト・バンドだが、Jefferson Airplane – “Today”、Pink Floyd – “Julia Dream”をアシッド・フォーク風にカバーしている(“Plasma”(2013)収録。こちらも歌っているのはVeronika Martynova)。

 Weedeater – “Woe’s me” from “16 Tons”(2002)

Sourvein,Bongzilla,Buzzov.enの“Dixie” Dave Collins(Vocal, Bass)がBuzzov.en解散後に結成したバンド。
バンド名通りの怪しい煙がモックモクのスラッジコアから唐突に現れるブルース・ナンバー。
右手にウィスキー、左手にジョイントを構えて聴きたくなるような一曲。

 

Magnus Pelander – “Stardust” from “Magnus Pelander”(2010)

「これ、60年代の作品じゃないの?」と思わせてしまうほどヴィンテージな作風で衝撃のデビューを飾った、スウェーデンのドゥーム・ロック・バンドWitchcraftのヴォーカル、MagnusがWitchcraft停滞中に発表したソロ。
Witchcraft史上最もサイケ色の強い3rdアルバム”Alchemist”の日本盤ボーナストラックに収録されたRoky Erikson(アメリカのサイケデリック・バンド、13th Floor Elevatorsの元フロントマン) – ”Sweet Honey Pie”のカバー路線をさらに推し進めたような牧歌的アシッド・フォーク。2012年発表のWitchcraftの4thアルバム“Legend”は、一転してメタル色を強めた作品となっている。

 

 

Corrupted – “月光の大地” from “Se Hace Por Los Suenos Assesinos”(2004)

 

 

 

 

 

 

 

仙人が俗世を憂いているかのようなHevi氏の歌声と物悲しいアコギのみで構成された、17分に及ぶCorrupted史上最も異色なナンバー。正座して聴きましょう。
2011年リリースの4thアルバム“Garten Der Unbewusstheit”ではこの曲をアレンジした“Gekkou no Daichi”が収録されている。こちらはアコースティックなのは最初と最後の数分間のみ。

 

Southern Isolation – “Southern Man I Am” from “Southern Isolation” (2001)

Downの“Where I’m Going”にしようかと思ったが、意表をついてこちらで。
Pantera, Down, Superjoint Ritual等のPhil Anselmoと、Philのブラック・メタル・プロジェクトViking CrownNecrophagiaでキーボードを担当していたStephanie Weinsteinによるユニット。Philはプロデュース、作曲はすべてStephanieが担当。 「南部の男(ひと)、その手で私を連れ去って」 「俺は南部の男さ」と惚気るデュエット・ナンバー。いやあ、いいカップルだねえ。離婚したけど。
Philにアコースティックでアルバムを作って欲しいと思うのは筆者だけだろうか。

 

Trouble – “Rain” from “Unplugged”(2009)

初期はドゥームメタルの最重要バンドであり、90年代以降はハード・ロック色を強め、”Manic Frustration”などのマスターピースを創り上げたTroubleのアコースティック・アルバム。この曲は“Manic~”収録曲の再録ヴァージョン。
Eric Wagnerは脱退し、現在のヴォーカルは元Exhorder他のKyle Thomas。Eric WagnerはBlackfingerを結成して活動中。

 

番外編 EXTRA

Doom, Sludgeではないが、その界隈とも繋がりがあるバンド/ミュージシャン。

Hexvessel – “I am The Ritual” from “Dawnbearer”(2011)

ブラック・メタル・バンドDodheimsgard等で知られるイギリス人ミュージシャン、Kvohstを中心に結成されたサイケデリック・フォーク・バンド。Kvohst以外はフィンランド人のメンバーで構成されている。Roadburn Festival 2013内でElectric Wizardがキュレートした“Electric Acid Orgy”に出演、Lee Dorianが絶賛するなどドゥーム系ミュージシャンからの支持が厚い。現時点の最新作”Iron Marsh”(2013)にはPursonのRosalie(オノ・ヨーコのカバー!)、Blood CeremonyのAliaがゲスト参加している。

 

Chelsea Wolfe – “Spinning Centers” from “Unknown Roms: A Collection Of Acoustic Songs”

カリフォルニア出身の女性ゴシック・フォークSSW。
カリフォルニア出身とは思えない、呪術的かつ鬱屈としたサウンドは、“ドゥーム・フォーク”、“メンヘラ・フォーク”とも形容される。
彼女もRoadburn Festival 2012に出演、わが国ではDaymare Recordsが2012年に1st,2ndの国内盤をリリースし、GodfleshSunn O)))Deafheaven等が出演したLeave Them All Behind 2012で来日。

 

番外編その2 EXTRA Part.2

完全なるおフザケ。

Acoustic Wizard – “Vinium Sabbathi” from “Please Don’t Sue Me vol.2”

Electric Wizardの曲をアコースティックでカバーするという、キマってる時に思いついたことをそのままやっているとしか思えないプロジェクト。「お願いだから訴えないで」というタイトルからも明らかなお遊びプロジェクトだが、やってることは至ってマトモ(?)、というか、かなりイイ。

 

Trippy Wicked – “Killfornia” (Church of Misery cover)

英国のストーナー/ドゥーム・バンドTrippy Wickedのメンバー二人がyoutubeにアップしている、アコギとウクレレによるドゥーム/スラッジ・バンドのカバー。チャーチのこの曲以外ではEyehategod, Weedeaterなどをカバーしている。ウクレレが意外とハマっている。

「どこから来て、どこへ行くか……金星より先には行きたいですね」約1年ぶりとなる 新作”Faith, Hope and Charity”をリリースしたZOTHIQUEインタビュー。

聞き手:梵天レコード
2015年7月26日 秩父ladderladderにて
Photo by ゆまっち(@yma1109)

東京拠点のサイケデリック・ドゥーム/スラッジ・バンドZOTHIQUEが約1年ぶりとなる三枚目のアルバム“Faith, Hope and Charity”をリリースした。独自の世界観を保ちつつ、各メンバーの血であり、バンド・サウンドの構成要素たるドゥーム、スラッジ、ハード・ロック、サイケ、ハードコア、ノイズ、アンビエント…etcを一つに纏め上げるのではなく、それぞれを際立たせるという手法を用いて紡がれた本作は、味わい深く何度も繰り返し聴きたくなる傑作だ。形骸化したドゥームやスラッジに飽いている人にこそ強くお勧めしたい。
東京のストーナー・バンドGUEVNNAとフランスのスラッジ・バンドAGUIRREとの10日間ツアー最終日に、メンバー全員から話を聞くことができた。

尚、結成の経緯や1st、2ndアルバム等についてのインタビューは現在発売中のペキンパー第五号に掲載しておりますので、そちらも是非ご拝読ください。

※本文中にホイヘ・ルイス・ボルヘス著「円環の廃墟」とアーヴィン・S・コッブ著「信仰と希望と愛と」のネタバレが含まれています。ご注意ください。

――今日はAGUIRRE、GUEVNNAとの10日間ツアーの最終日ですが、やってみてどうでしたか?

Shusuke Shimonaka(Vocal and Guitar)
10日間連続のツアーはメンバー全員初めてで、なかなか感慨深いな、と。7ヶ月間ブランクがあって、ライブの感覚を取り戻しながら。

Jah Excretion(Bass and Drone)
去年5日間、DRAGGED INTO SUNLIGHT(UK)とツアーした時は5日目とかバテバテで、今回は10日は無理かと思ってたけど意外と大丈夫。ツアーすることに慣れてきたというか。去年も2回やってるし。

Darklaw(key, Noise, Buckground Vocal)
途中バテバテだったけど取り戻してましたね。

Koji Ueno(Drums)
まだやり足りない感じが。

――ツアーに合わせて約1年ぶり、三枚目のアルバム”Faith, Hope and Charity”がリリースされました。これまで1年に1枚のペースでアルバムをリリースしていますが、これは意図したことなのですか?

Shusuke
今回のツアーの話を去年から頂いていて、どうせならそのタイミングで出そうと思って。去年もたまたまRoad to HellからDRAGGED INTO SUNLIGHTとのツアーの話がきていて。アルバム出すならそのタイミングに合わせよう、という去年とまったく同じような流れです。あと、やっぱりコンスタントに作品出して行くのは大事だと思うので。意図していたといえば、ある程度そういう狙いはあったと思います。

――今回のアルバムから作曲に各メンバーがクレジットされていますね。

Shusuke
今までの曲は殆ど僕が作るかもしくはDarklawが部分的に作曲を担当して、それを全員でアレンジしていくという流れだったんですが、今回は楽曲ごとのテーマ(題材)をまず決めた上で、それぞれのメンバーが楽曲のアイデアを持ち込むという形をとりました。曲によって作曲者のスタイル、雰囲気の違いが如実に出てるかな、と。

――メンバーのキャラが立ってるなと思いました。誤解を恐れずに言えばバラバラの曲なんですけど、ZOTHIQUEのバンドカラーで統一されているというか。

Shusuke
バラバラのミュージシャンの集合体なんで、そこが際立ちましたね。

――クラシック・ロックのアルバムに近いような感覚があって。The Beatlesじゃないですけど、ポールの曲、ジョンの曲、みたいな。

Shusuke
確かにちょっと昔っぽいですね。

Jah
でも、自分の好きな感じを作るというよりは、あくまでもZOTHIQUEで、っていうのは考えていたけど。

――1曲ずつコメントをお願いできますでしょうか。1曲目はJahさん作曲の”Venus I”。

Jah
シュウ君からVenus(金星)っていうテーマで曲を作って欲しいっていうことで。なので、金星に旅立つ、金星に行けちゃうぐらいな曲を、みたいな感じで。

Shusuke
金星っていう存在に、ものすごく魅かれていて。気温400度ぐらいのとんでもない惑星です。単なる想像ですが、そこに人智を超えた凄まじいエネルギーや生命力のようなイメージを結びつけていました。金星をテーマにしたSF作品も好きだったので、金星をテーマに曲を作ってくれないかなっていうのが始まりで。金星良いなあって。

Jah
作る時にパソコンで金星の画像を探して、それを見ながら。

一同
(笑)

Jah
youtubeの金星の画像と一緒にアンビエントみたいな音楽が流れていて、それがリフといい感じに合って(笑)。

――次の”The Tower of White Moth”と5曲目の”The Circular Ruins”はデモ音源に収録されていた楽曲ですが、こちらは現メンバーでの再録でしょうか?

Shusuke
再録ですね。あれを録ったのは2010年とかだったので、メンバーも違うし、正式なアルバムの曲としては出していなかったのでこの際録り直してみようと。当時に比べれば表現力にも少しは幅が出てきていると思ったので。

――再録の2曲の歌詞について教えてください。

Shusuke
“The Tower of White Moth”はフィクションです。ざっくり言うと、男が無数の白い蛾の群れに追われて正気を失い、群れの中で女王蛾に誘われて自分もサナギとして生まれ変わりたいという欲求に取り憑かれていくという内容です。ひたすらグロくて不快なだけで、深い意味はありません。
“The Circular Ruins”はアルゼンチンの作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編をベースにしています。「円環の廃墟」という邦題で和訳も出ています。「自分が夢を見ているつもりが、誰かに夢見られていた」というくだりがあるんですが、存在の不確かさに対する人間の不安を如実に現しているようで、個人的に非常に好きな作品です。ZOTHIQUEとして初めて楽曲を作った時にテーマとして取り上げました。

――次の”Hijra”はDarklawさんの作曲で。アルバム中最もイーヴルな曲ですね。

Darklaw
極悪な曲をって言われて作った感じです。

Shusuke
とにかく悪いヤツを作ってくれって(笑)。

Darklaw
全然極悪じゃないのに(笑)。

――Hijra(ヒジュラー)という言葉の意味は?

Photo by Ayako (@ayako66)

Shusuke
ヒジュラーはインドとかバングラデシュにいる両性具有、女装したオカマなんですけど、子どもが生まれた時とか結婚式とかに手を叩きながらワーッて駆け寄ってきて踊ったり。忌み嫌われてるんですけど、神聖な存在という。昔、そっちの方に旅行してた時にヒジュラーと出くわすことが多くて、鮮烈な印象が。ヒジュラーも生命力の塊のような存在だと感じていたので、アルバムの題材の一つとして使いました。昔から暖めていた存在ではあったんですけど。

――次の曲はアルバム・タイトルにもなっている”Faith, Hope and Charity”。Kojiさんの曲ですね。この曲はドゥーミィというか、BLACK SABBATH的な雰囲気ですね。

Koji
ありがとうございます。元々はテーマをもらったと思うんだけど、そういうテーマをイメージして曲を作るっていうのができなくて。ただ単に頭の中に降ってきたリフをそのまま曲にして、これしかできなかったって渡して(苦笑)。

Shusuke
コウジさんの好きな音楽性が現れてると思いますね。

Koji
シュウ君の持ってきたテーマにねじ込むのはちょっと無茶かな、と思ったんですね。でも、極悪とかカッコいい曲は他のメンバーが作るだろうから、ちょっと違うのがいいかなって。

Shusuke
もともと”Faith, Hope and Charity”(信仰, 希望, 慈愛) というのは宗教的な言葉で、カソリックにおける三大美徳を現しているんですが、楽曲の内容は1930年代に執筆されたアーヴィン・S・コッブというミステリー作家の作品「信仰と希望と愛と」という小説をベースにしています。
米国で悪さをして逃亡生活を共にしていたイタリア人、スペイン人、フランス人の三人組が各々、最も忌み嫌っていた形で死を迎える顛末を描いた作品です。
ギロチンで死ぬのが嫌だった男は、エレベーターで首を切られる。もう一人は、グランドキャニオンのがけ崩れに閉じ込められて終身刑。もう一人は牛の革でグルグル巻きにされて絞首刑。物凄く印象に残っている作品です。生きようという生命のエネルギーが伝わってくるものがあって。

――アートワークにはキリスト教的なモチーフが使われていますが。

Shusuke
あれは偶然ですね。今年の5月にGUEVNNAのサポートギタリストとしてデンマークに行った時に、現地の人に勧められて立ち寄ったアシステンス墓所という場所で何気なく撮影した写真が気に入ったので、アートワークに使いました。

――”The Circlar Ruins”を挟んで、次が”Amyotrophy”。これは作曲がシモナカさんでハードコア・パンク風のファストな曲ですね。

Shusuke
2nd(”ZOTHIQUE“)ではズルズルの方向に行ったけど、速い曲やってみようよ、やらない理由は無いでしょってことで。Amyotrophyは筋萎縮という病名です。
徳洲会という大病院グループの理事長の徳田虎雄という人がテーマです。ALS(筋萎縮性側索硬
化症)を発症して眼球だけしか動かせない。ある本をきっかけにその人のことを深く調べるようになったんですが、とにかくその人の生き様にものすごく衝撃を受けて。
今でも眼球の動きだけで日本全国+世界で200の病院をコントロールしてるという恐ろしい人です。その生命エネルギーの凄まじさ、生命力を楽曲としてバンドで表現したかったんです。この曲に限りませんが、ZOTHIQUEというバンドの楽曲のテーマは全て僕が着想しています。それを自分を含むそれぞれのメンバーに投げかけて、フィードバックとして戻ってきたサウンド、リフやノイズをバンド全体で練り上げて形にしていくというのが慣習になっています。
作りかけてできなかった曲もあります。今回のアルバム全体としてのテーマは、生命のエネルギーというか。前作は死の匂いがする、(今回は)その反動というか。

――前作とは真逆の雰囲気を感じました。前作は聴いていると息が詰まってくるような。それが良さでもあったのですが。

Shusuke
多分、息が詰まってたんだと思います(笑)。人生に詰まってた(笑)。

Photo by Ayako (@ayako66)

――次がJahさん作曲の”Nomadic”。

Jah
これもシュウ君からテーマと、中国のチベット自治区と西成でフィールド・レコーディングしてきた音をもらって、これでドローンっぽい曲を使って作って欲しいってことで。

Shusuke
“Nomadic”は遊牧民という意味で。ツアーもそうだけど、色んな所に行くわけですよ。根無し草のように渡り歩くというか。そういう生活の在り様を、実際に録ってきた音と合わせて表現できればいいな、と。

――次の”Valley of Tears”はアルバム中最も異色な曲ですね。歌詞の内容はセンシティヴなも
のですが。

Shusuke
ああいうカントリーというか、歌モノというか、やってみたかった。ZOTHIQUEでやるのはどうなの?まあ、やってみるか、と。

――あの曲があるのと無いのとで、アルバムに対する印象が大分違うと思うんですよ。

Shusuke
正直、自分でもどういう風に受け止められるかわからないので。去年の12月に母親が亡くなって。ツアーとかしながら介護生活をしていたんですよ。淡々と葬式を挙げて、淡々と居なくなって、淡々と新しい生活が始まった中で、何かふと浮き出たというか。開放感と悲しみが一体になってこみ上げてきた時に思いついた曲ですね。それをZOTHIQUEでやるのはどうかと考えたこともあったんですね。でも、やらないよりはやった方がいいか、と。

――僕は以前、シモナカさんとコウジさんがやったアコースティックのライブを見ていたので、割とすんなり受け入れられました。※こちらの記事参照。

Shusuke
アウトロー・カントリーとか中島らもとか、元々すごく好きなんで。やってることとあまり違和感無いつもりなんですけど、異色と言ったら異色かもしれないですね。

――ラストの”Venus II”は”Venus I”(reprise)的な曲ですね。

Jah
“Venus I”と”Venus II”は繋がってたんですよ。アルバムに入れるにあたって考えていく中で二つに分かれたんですけど、元々は15分ぐらいの曲だった。長い曲が作りたくて。マリファナ騎士団が聖地エルサレムを目指すSLEEPの”Jerusalem”……金星まで行くわけだから、それを超えたいな、と。それが分かれた。

Shusuke
金星から始まって、金星に終わる。ループするというか。無限ループ。

――一回目聴き終わった時と二回目に聴く時とでは印象が大きく変わるような気がしたのですが。

Shusuke
そこまで聴いてくれたら嬉しいですけど(笑)。

Jah
あれは同じリフをずっと繰り返してるだけだから、それが1曲になった時に成立するのかちょっと不安でしたけど、成立したんでそれぞれのメンバーの力がいい感じに出たんだな、と。

――今回のアルバムを聴いて、ZOTHIQUEってゴリゴリの低音を出すことに意識は無いのかな、と思ったんですよ。サイケデリック・ドゥーム/スラッジに分類されるとは思うんですけど、その手のバンドと比べると。

Shusuke
俺自身は重低音を聴かせる、ということにはそこまで拘っていません。自分はこのバンドで作品を作り続ける上では、テーマやストーリーに最も重きを置いています。それがどう表現されるかっていうことに対しては正直、流れに任せています。バンドとして仕上がったものが結果であって。世界観とかテーマに関しては話は尽きないんですが、最終的にアウトプットされる音については他のメンバーとの化学反応に委ねています。

Jah
俺はどっちかというと重低音を効かすことを意識してたんで、そう感じなかったってことは俺の力不足かな(苦笑)。

Darklaw
すいません、ミックスに失敗しました!次のは重いですよ! ※Darklaw氏はレコーディング/ミキシング・エンジニアも兼任。

Shusuke
(笑)。何に重き置くかは人によって違う。「重い」とか「ヘヴィ」の定義も主観的なものだと思うので。音源を聴く環境や機材にもよるじゃないですか、アンプとかスピーカーとか。そこまでは……計り知れないというか、どういう風に聞こえてるかは正直わからない。

Jah
人それぞれ捉え方が違うから。

Darklaw
ここで言うのもあれだけど、ライブとかをウチは録音していった方がいいかもしれない。今回のツアーはすごい厳しかったんだけど、重さの出し方を拘って。

Shusuke
ライブはまた別で。音源の話ですよ。

Darklaw
あ、音源?それは俺のミックスの間違いだよ(笑)。ちょっとキラキラしちゃったんですけど。

Shusuke
そこは好みなんですよ。俺は別にキラキラしてると思ってないし。むしろキラキラしているのは悪いことじゃないでしょ?

Darklaw
だけど、今回はロックを録りたかったのはありましたね。ロックっぽいエッジ、クラシック・ロックに近いミックスにはしたかったのかもしれない。低音を出すのは……出せたんですけど、埋もれちゃうんですよ、他の音が。うちはカラフルだから、あまりベースを出し過ぎると。今回はロック・アルバム。

――Kojiさんはどうですか?

Koji
すごいミックス良いと思いますよ、今回。重低音を効かせて、っていうのは僕は特に。というよりも、結構前から流行ってる音って、メタルでもドゥームでもゴリゴリの低音を思い切り出して振り切った感じの、そういう音が好まれる傾向にあると思うんですけど、僕はそういうのに疲れちゃうというか。これ以上はハードにならない。そういう音作りって淘汰されていって、元に戻すというか、限りなくフラットな音とか、もっと言えばステレオじゃなくてモノラルでも……

Darklaw
マジか(笑)。

Koji
いいんじゃないかってぐらい……なのかもね(笑)。自分の中で勝手に思ってることですけど。そうしましょうっていう話じゃなくて(笑)。レコードをモノラルで聴いたりとか。二個から出さないで一個で出すのもいいんじゃないかなってぐらいに思ってる。今回仕上がってきたミックスもそういう感じに近づいてるなと僕は思ってる。

Darklaw
1stと2ndはガッツリやったから3rdはね。3rdアルバムはさ、ロック・バンドなら遊び心が出てくるというかね。

――メタルの世界では3枚目のアルバムは重要ってよく言いますよね。SLAYERの”Reign inBlood”とか。初期衝動と円熟さがちょうどいい具合になるとか。

Shusuke
結果としてそうなってればいいかな(笑)。3枚目だからってのは意識してないですね。

Darklaw
俺はメタルよりもサイケ・ロックって感じする。3rdが一番サイケっぽくなって、そこから落ち着いちゃう(笑)。これは遊び過ぎた、みたいな。そんな感じする。

――メンバーのみなさんが楽しんでるようにも感じました。

Jah
前のアルバムみたいにライブで何度か演奏した上で録音したんじゃなくて、曲を作ってスタジオで作り上げてライブでやることなくレコーディングしたんで、楽しんでというよりは力入ってた。リラックスしてレコーディングした感じではない。

Shusuke
曲を録ってからそれをライブでやるって流れだったんで、今までとは少し勝手が違った。結果的に安定感は無いですけど(笑)、これから仕上がっていく(笑)。

Darklaw
どうなっていくんだろう(笑)。

――ZOTHIQUEとしてどこまで行けるのか試しているような部分もあるのかなと。それこそ”Valley of Tears”とか。

Shusuke
どうなるかは俺たちにもわからないんで。今が楽しいから。カチっと決めて行くより、色んなことができるのが。これから「なにこれ?」みたいになるかもしれないし、「いいよ、それで」みたいな曲ができるかもしれない(笑)。どこから来て、どこへ行くか……金星より先には行きたいですね、とりあえず。銀河系は出たいな(笑)。銀河系の外の惑星の話とか。

Jah
で、アース(地球)に戻ってくる(笑)。

Shusuke
戻ってこれるかわかんないけど(笑)。Darklawさん、今回の(アルバム)何度も通しで聴くと良いって言われますよ。何回も聴くと。

Darklaw
何回も聴いてるよ。聴かないとしょうがないじゃない(笑)。実は今回の好きよ。

Shusuke
なんかギラギラ、キラキラしすぎてるんじゃないかなって言ってたから。

Darklaw
それはさっきも言ったけどエンジニアだから、自分ができてないことをしてる。世界観として聴きこめばサイケ・アルバムだよ。ドゥーム・アルバムだと思ってないもん。理想通りだよ。さっきメタルの話が出たけど、メタル最近聴いてないし。普通に音楽アルバムとして耐え得るものであれば何だっていいのであって。

Shusuke
俺も好きなメタルバンドはいるけど、ヘヴィーメタルをガチで深く深く聞き込んでいるわけじゃないから。

Darklaw
そう言われると、やっぱりロックなんだなって。サイケ・ロック。あまり意識がないんだよ、ドゥームとか。

Shusuke
ジャンルとしてそう呼ばれてるからそういう風に捉えられるのはあるかもしれないけど……もちろん影響も受けているし。

Darklaw
むしろドゥーム好きな人たちが聴く方が飽きるんじゃない?バラエティがあり過ぎて。

Shusuke
そもそもドゥーム、スラッジっていう「ジャンル」をやっているっていう意識がない。

Photo by Ayako (@ayako66)

――ドゥーム、スラッジを意識して聴くと拍子外れかもしれませんね。

Darklaw
エンジニアとして、そういうやつをこういうカラフルさ、音質でやってみたいけどね。物珍しいじゃん。天骨さん(川保天骨、本誌編集長)のバンド、太陽肛門もドゥームっちゃドゥームだけどサイケだよね。

――本人の根っこにあるのはドゥームよりもそっちでしょうね。

Shusuke
トランスとかも。

――トランスも好きだし、サイケ・ロックも好きな人ですね。

Darklaw
いるでしょ、そういうバンドって。

――ドゥームの元祖、BLACK SABBATHも曲がバラエティ豊かですよね。バラードみたいな
曲もやってるし。

Darklaw
シンセ使うしさ、ひどいよね(笑)。

――(笑)。ドゥーム・バンドってSABBATHのそういう部分をあまりやらないなと思って。

Darklaw
SABBATHだって当時は単なるハード・ロックだしね。ブリティッシュ・ロック。THE PRETTY THINGSの”Parachute”ってアルバム、すごいカッコいいのよ。ドゥームに近い。元々ブルース志向で渋くやってるから。サイケに飽きてハード・ロックになる時期なのよ。でもまだサイケの色が残ってる時代。メタルに行く直前のさ、サイケとかハード・ロックの間のバンドがすごいカッコいいの。JERICHOとか。

――HIGHWAY ROBBERYとか。

Darklaw
HIGH TIDEとかさ。そういうのが一番好きだから。BUDGIEとか。あの辺のロックって一貫性もあって音質もちゃんとしていて。3rdはそれに近いと思うよ。そういう感じにしたかった。Kojiさんの曲、結構好きだよ。

――Kojiさんはどうですか?今後について。

Koji
どんどんこれからブルージーに……嘘だけど(笑)。

Darklaw
ユウ君(Jah Excretion氏のこと)の曲ってJESUっぽくない?

Jah
俺、スラッジもドゥームもロックも殆ど聴かないんで。SLEEPとか、それぐらいしか聴いてない。何を意識したっていうのはないですけど、単純に自分の中で気持ちいい、トランシーな感じで。

Darklaw
トランシーな感じ(笑)。今回はツアーに出て楽しくなったね。

Jah
ライブしてない時期が半年間あったから、やっぱりバンドはライブだなって。

Shusuke
ライブをやらなきゃ何も始まらない。今年はあえて制作期間とライブ活動期間を極端に分けてみたんだけど、やっぱりなあっていうのが。

Jah
シュウ君が旅で録音してきた音を使うとか、人間臭さが出てるのがZOTHIQUEだから。ライブが多分、一番それが出る。もちろん悪い時もあるけど。

Darklaw
ウチはすごいと思うよ(笑)。

Shusuke
悪い時は本当に悪いんで。

Jah
でも、それも含めてZOTHIQUEだなと思う。

Darklaw
ロック・バンドだよね。

Shusuke
ギチギチに計算して仕上がったものをキチンとやろう、という気はさらさら無いんで。時にグチャグチャになったり、時にキラキラしてたり。そういう部分も含めて面白がってもらえれば。

――最後に、今後の予定を教えてください。

Shusuke
今年から来年にかけてはまだまだ続くんですよ、旅が。韓国、中国、九州、あともしかしたら四国も…南の方へ、12月以降に。またどこかへ行きます。とにかく旅をしてライブをやって、その後はまだわからない。

――サンクスリストのOur Unending Journeyというフレーズは印象的ですね。

Shusuke
普段ずっと(メンバーと)一緒にいるわけじゃないので、特に今回みたいに10日間連日でツアーに出ることは非日常の連続ですごく面白いですね。これが永遠に続いていくんじゃないかっていう錯覚に陥ることもあります…どこからやってきてどこに向かうのか、いつかは戻ってこれるのか。これからの旅路も楽しみです。
最後に、今回のツアーメイトだった東京のGUEVNNAとフランスのAGUIRRE, 各地でサポートしてくれた関係者の方々、遊びに来てくれた方、対バンの皆さんに心から感謝しています。ありがとうございました。

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