「男っていうのは、女じゃねえってだけの話だ」素人喧嘩<ステゴロ>インタビュー 真樹日佐夫 第01回

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2011年10月 写真:川保天骨 インタビュー:中村カタブツ君 協力:(株)真樹プロダクション

強くなければ男じゃない! 格好良くなければ男じゃない! 優しくなければ男じゃない!
しかし、 男ってそもそも何なんだ? 読者諸君! 我々日本男子は今、世界において、その存在意義を問われている。明確にこれが男であるという答えはないかもしれない。しかし、男はいるんだよ! 漢が!
空手家、作家、そして、男としての真樹日佐夫に挑んでいくしか答えは出ない! 刮目して読め!

※このインタビューは、ペキンパー第弐号に収録されたものをPECKINPAH DIGITAL掲載用に編集したものです。

 

真樹
今日はスーツ着て写真も撮るんだろ? だったら撮影はここじゃないほうがいいな。インタビューはここでいいけど、写真は外だ。今日は残暑がきついだろ、部屋の中でスーツなんか着てられねえって。それにあれだ、スーツっていうのはアウトドアファッションだからな。靴を履かないと決まらねえんだよ。

 

 

──スーツはアウトドアファッション! 最初から凄く小気味の良い言葉が聞けて嬉しいです(笑)。

真樹
おだてたってなんにも出ねえぞ(笑)。ただな、この前、俺を表紙にした『実話マッドマックス』って雑誌がずいぶん売れたそうじゃねえか。俺はもう 70 だぞ。なんで売れるんだって。これは若いヤツらがちょっとだらしないんじゃないか。

──いえいえ、先生が凄すぎるんです。ファッションといい、生き方といい、本当に格好良いんですよ。

真樹
まあ、みんなそう言って俺を持ち上げてくれるけどな、この前だって気がつくと渋谷の歩道橋の上で不良たちを連れてグラビア写真撮らされてたんだよ。通行人もいるんだからさ、いくらなんでも恥ずかしいよ、俺も(笑)。

──いやいや、ホントに絵になるんですって。だから、今日はそんな男らしい先生に男はどう生きるべきかをお聞きしたいと思っているんですね。ただ、男とはなんですか、男の生き方とはなんですかって質問も凄く漠然としてるじゃないですか。

真樹
ああ、最近そんな質問ばっかだよ。男っていうのは女じゃねえってだけの話だ。

──そんなにこだわるようなことではないと。

真樹
そりゃそうだろ。放っておいたって玉がついてりゃ男だよ。ただそこに敢えて意味合いを見出す作業というのは大切かもしれないな。

──まあ、それで男の意味とはなにかを考える上で強さではなく、逆に弱さについて考えたほうが男の生き方って見えやすいのかと思ったんですけど。で、非常に言いづらいんですが、たとえば先生であっても、全盛期と比べたらやっぱり体力的には、いまどこかで弱さを感じてるんではないですか。

真樹
それは話が逆でさ、衰えたと思う時に年を食うんだよ。だから、年相応のトレーニングじゃダメなんだよ。いま若い時の倍走ってるよ。昔 10 キロだったのが、いま1日 20 キロ。要するに、運命に逆らう。年を取ったら老けて弱くなるのは当たり前。その当たり前のことに逆らえるかどうかだから、やっぱりこれは内面の問題だよな。それが精神修養につながっていくんだよ。神様に逆らうんだよ。

──神様に逆らう! 

真樹
そうだろ? そうしねえと普通の生き物になってしまうんだよ。

──いやあ、ビックリしました。僕はたぶん、先生なりに年を取ったことの弱さを受け入れる作業をしているのかなって思ってたんです。

真樹
そんなことはしてねえな。そうしたほうが楽に老けていけそうだってみんな勘違いするんだよ。だけど、それは逆でそんなことを考えると倍々で老けこんじまう。いまの若い奴らに「なんだ、この野郎」ってのしかかっていかなきゃダメだ。それができるか、できねえか。そう考えると俺はいま幸せだよ、若い弟子たちが追い上げてくるのを「冗談じゃねえ、まだ先にはいかさねえて」ってできるから。人間って生来が怠け者なんだから、そうやって追い上げてきてくれて初めてやる気が出たりするんだな。
まあ、俺の目標は日野原(重明=聖路加病院理事長、名誉院長)先生だよ。この前めでたく100歳になっただろ。その時あと 10 年は頑張れるって言ったらしいよ。毎日夜中の2時まで原稿書いて、週に一回血の滴るようなステーキを食うのが楽しみだっていうんだよね(笑)。こういう人間を神様は死なせねえよ。

──日野原先生って大山総裁(極真会館・大山倍達総裁。真樹先生の空手の師であり、義兄弟)がお亡くなりになられた時に主治医をされてましたよね。

真樹
そうそう。聖路加に大山先生が入ってて日野原先生が診てくれてた。だから、当時はよく会ってたよな。浅田次郎って作家がいるだろ。彼の持論だと、最近じゃ人の年は七掛けでいかないと計算があわなくなるそうだ。つまり100歳でやっと 70 歳の計算だ。だから、日野原先生は 70 ぐらいの元気さでちょうど計算も合う。俺にしても 70 の七掛けだと7×7= 49 でまあ 50 歳だよ。そうするとなんとなく実感とマッチするんだよ。 30 の女と愛を語れるかもわかんない(笑)。でも、もう娘も 30 だからな。昔は娘よりも若いのには手を出さねえとか言ってたけどさ、この間もな……まあ、それ以上はいいやなあ(笑)。

──活字になるという冷静さもおありになって(笑)。

真樹
もちろん(笑)。

──いまのお話を聞いてますますお元気だということはよくわかったんですが、空手家という強さを売りにする方は弱さを実感するのもひとしおだと思うんですよね。だから、どこかで弱さを受け入れてうまい身の処し方を身に付ける。ヤクザの人たちの言うところの鎧を身に付けるみたいな方法をしているのかと思ったんですけど違いましたね。

真樹
なんかさっきから聞いてると俺のことを弱くなって角が取れたみたいにしたいようだけど、残念だな(笑)。鎧なんていらねえよ、筋肉が鎧だよ。まあ、あと 20 年もしたらそんなものがいるかもしれねえけど、まだ着たくねえな。第一そんなものを着たら、中身が萎んできちまうだろう。
凄くわかりやすい話をしてやろうか。こないだ、『サンデージャポン』でテリー伊藤が「今度スタジオに来て瓦でも割ってもらいましょうか」って言ったんだよ。だから、俺は「瓦なんか女の子でも割れる。ブロック割りだ」って突っ張ってブロック割りになったんだね。少年部の空手の合宿を江ノ島でやったんで、そこにサンジャポのスタッフが来て撮ることになったんだよ。ブロックはスタッフが用意して「先生、試割り用のブロックが手に入らなかったんで、建築用のでいいですか」っていうから、「それでいいよ」ってことでブロックを一つ、二つと積み上げたんだよな。そしたらディレクターがすっとんで来てさ、「先生一つで十分です」って耳打ちするんだよ。「なんで? 俺はニ個割るっていっただろ」っていってもさ、「失敗したら周りで見てる子供のお弟子さんたちが悲しむ」とか「一個で十分視聴者は驚きますから」とか、どうのこうのいうんだよ。それでも「いいから」っていったらさ、今度は弟子が寄ってきてさ「先生、やっぱり一つでどうですか?」ってこうだ。「お前、俺のことが信じられねえのか。二個割るっていったら二個だよ!」って、みんなの反対を押し切って手刀をブロックに落としたら一発で割れてね、その瞬間に「三個でもいけたかもな」って思ったよ、俺は。

──二個じゃ物足りなかったんですか !?

真樹
三個だったらやっと割れたかもなってイメージだな。この間、東(東孝。極真空手・第9回全日本空手道大会優勝。現在、大道塾塾長)くんがひょっこり現れて、彼と一杯やりながら話をしてたら東くんもブロック二個はやったことないんだってな、公衆の面前では。失敗しねえんだろうけど、大山先生が二個はやるなと。もし失敗したらテレビやなんかで全国に知れちゃうからと禁止してたそうなんだね。だから、映像で出回ってるブロック二個割りは俺のだけだってことなんだよ。テレビの映像でいうと、 20 年ぐらい前に俺と猪木と藤原敏男が出た時に一回俺が失敗したんだ、軸足が滑って。それでド?ンと吹っ飛んだら猪木が笑ったっていうんで波紋をひろげたろ?

──見ました。猪木さんも人の失敗が好きな人ですからね(笑)。

真樹
「猪木の野郎さらってやりましょうか」ってなんて言い出すヤツまでいて「やめろ」って俺も慌てて(笑)。その時だって二回目に手刀を落としたら二個とも割れたからね。 50 の時にやれたんならいまやれねえわけがねえって。

──つまり 20 年ぶりだったんですか !?

真樹
そうだよ。弟子がそのあとにやってきて、「いやあ、力が落ちてない証拠ですね」って。つい今年の春だよ。あの時周りのいうとおりに一個にしてたらやっぱりてめえでてめえが嫌になっただろうな。

──これはいけるか、いけないかっていう葛藤があった中で…。

真樹
いや、葛藤なんてもんはなかったよ。「割るって決めたら割るんだ、だから、引っ込んでろ、このオタンコナス」っていう気持ちだったな。あれは『最強最後のカラテ』って映画のオープニングパーティーの時だったか、ブロックが雨で濡れてて割れねえで苦労してさ。それで右手が折れちゃって、しょうがねえ、左で割った苦い思い出があるけど。とにかく割るんだよ、決めたからにはな。右手が折れたら左手。左手も折れたら両足があるだろ。4回もチャンスがあれば大丈夫。ブロックのほうがいじけるよ(笑)。

──“とにかく割る”というのは手足が折れてもという意味だったんですね。

真樹
そうだよ。ただ一瞬な、「やっぱり一個のほうが楽だよな。痛くねえし」って思ったことは認めるよ。だけど、そこで引いてたらあとで飲むビールがうまくねえって思ったんだよな。要は出たとこ勝負なんだよ。もともと真樹道場では試し割りなんか全然やらないし、審査会でもやらない。じゃあ、なんで割れたのかといえば、ああいうものはイメージトレーニングなんだよ。やれば割れるというイメージは常に持ってるよな。それでいいんだよね。真剣勝負と一緒で、普段から心がけててもしょうがねえ。注文があった時にパッとやるんだよ。日々の稽古っていうのはそのためにやってるんだろう。練習してなかったんで出来ませんじゃ通らねえんだよ。いつでも俺は出たとこ勝負。それができない奴はまぁ男の強さなんて話とは無縁だろうよな。

──出たとこ勝負ができるか否かで男の強さが問われると。

※第02回へ続く。[:en]

2011年10月 写真:川保天骨 インタビュー:中村カタブツ君 協力:(株)真樹プロダクション

強くなければ男じゃない! 格好良くなければ男じゃない! 優しくなければ男じゃない!
しかし、 男ってそもそも何なんだ? 読者諸君! 我々日本男子は今、世界において、その存在意義を問われている。明確にこれが男であるという答えはないかもしれない。しかし、男はいるんだよ! 漢が!
空手家、作家、そして、男としての真樹日佐夫に挑んでいくしか答えは出ない! 刮目して読め!

※このインタビューは、ペキンパー第弐号に収録されたものをPECKINPAH DIGITAL掲載用に編集したものです。

 

真樹
今日はスーツ着て写真も撮るんだろ? だったら撮影はここじゃないほうがいいな。インタビューはここでいいけど、写真は外だ。今日は残暑がきついだろ、部屋の中でスーツなんか着てられねえって。それにあれだ、スーツっていうのはアウトドアファッションだからな。靴を履かないと決まらねえんだよ。

 

 

──スーツはアウトドアファッション! 最初から凄く小気味の良い言葉が聞けて嬉しいです(笑)。

真樹
おだてたってなんにも出ねえぞ(笑)。ただな、この前、俺を表紙にした『実話マッドマックス』って雑誌がずいぶん売れたそうじゃねえか。俺はもう 70 だぞ。なんで売れるんだって。これは若いヤツらがちょっとだらしないんじゃないか。

──いえいえ、先生が凄すぎるんです。ファッションといい、生き方といい、本当に格好良いんですよ。

真樹
まあ、みんなそう言って俺を持ち上げてくれるけどな、この前だって気がつくと渋谷の歩道橋の上で不良たちを連れてグラビア写真撮らされてたんだよ。通行人もいるんだからさ、いくらなんでも恥ずかしいよ、俺も(笑)。

──いやいや、ホントに絵になるんですって。だから、今日はそんな男らしい先生に男はどう生きるべきかをお聞きしたいと思っているんですね。ただ、男とはなんですか、男の生き方とはなんですかって質問も凄く漠然としてるじゃないですか。

真樹
ああ、最近そんな質問ばっかだよ。男っていうのは女じゃねえってだけの話だ。

──そんなにこだわるようなことではないと。

真樹
そりゃそうだろ。放っておいたって玉がついてりゃ男だよ。ただそこに敢えて意味合いを見出す作業というのは大切かもしれないな。

──まあ、それで男の意味とはなにかを考える上で強さではなく、逆に弱さについて考えたほうが男の生き方って見えやすいのかと思ったんですけど。で、非常に言いづらいんですが、たとえば先生であっても、全盛期と比べたらやっぱり体力的には、いまどこかで弱さを感じてるんではないですか。

真樹
それは話が逆でさ、衰えたと思う時に年を食うんだよ。だから、年相応のトレーニングじゃダメなんだよ。いま若い時の倍走ってるよ。昔 10 キロだったのが、いま1日 20 キロ。要するに、運命に逆らう。年を取ったら老けて弱くなるのは当たり前。その当たり前のことに逆らえるかどうかだから、やっぱりこれは内面の問題だよな。それが精神修養につながっていくんだよ。神様に逆らうんだよ。

──神様に逆らう! 

真樹
そうだろ? そうしねえと普通の生き物になってしまうんだよ。

──いやあ、ビックリしました。僕はたぶん、先生なりに年を取ったことの弱さを受け入れる作業をしているのかなって思ってたんです。

真樹
そんなことはしてねえな。そうしたほうが楽に老けていけそうだってみんな勘違いするんだよ。だけど、それは逆でそんなことを考えると倍々で老けこんじまう。いまの若い奴らに「なんだ、この野郎」ってのしかかっていかなきゃダメだ。それができるか、できねえか。そう考えると俺はいま幸せだよ、若い弟子たちが追い上げてくるのを「冗談じゃねえ、まだ先にはいかさねえて」ってできるから。人間って生来が怠け者なんだから、そうやって追い上げてきてくれて初めてやる気が出たりするんだな。
まあ、俺の目標は日野原(重明=聖路加病院理事長、名誉院長)先生だよ。この前めでたく100歳になっただろ。その時あと 10 年は頑張れるって言ったらしいよ。毎日夜中の2時まで原稿書いて、週に一回血の滴るようなステーキを食うのが楽しみだっていうんだよね(笑)。こういう人間を神様は死なせねえよ。

──日野原先生って大山総裁(極真会館・大山倍達総裁。真樹先生の空手の師であり、義兄弟)がお亡くなりになられた時に主治医をされてましたよね。

真樹
そうそう。聖路加に大山先生が入ってて日野原先生が診てくれてた。だから、当時はよく会ってたよな。浅田次郎って作家がいるだろ。彼の持論だと、最近じゃ人の年は七掛けでいかないと計算があわなくなるそうだ。つまり100歳でやっと 70 歳の計算だ。だから、日野原先生は 70 ぐらいの元気さでちょうど計算も合う。俺にしても 70 の七掛けだと7×7= 49 でまあ 50 歳だよ。そうするとなんとなく実感とマッチするんだよ。 30 の女と愛を語れるかもわかんない(笑)。でも、もう娘も 30 だからな。昔は娘よりも若いのには手を出さねえとか言ってたけどさ、この間もな……まあ、それ以上はいいやなあ(笑)。

──活字になるという冷静さもおありになって(笑)。

真樹
もちろん(笑)。

──いまのお話を聞いてますますお元気だということはよくわかったんですが、空手家という強さを売りにする方は弱さを実感するのもひとしおだと思うんですよね。だから、どこかで弱さを受け入れてうまい身の処し方を身に付ける。ヤクザの人たちの言うところの鎧を身に付けるみたいな方法をしているのかと思ったんですけど違いましたね。

真樹
なんかさっきから聞いてると俺のことを弱くなって角が取れたみたいにしたいようだけど、残念だな(笑)。鎧なんていらねえよ、筋肉が鎧だよ。まあ、あと 20 年もしたらそんなものがいるかもしれねえけど、まだ着たくねえな。第一そんなものを着たら、中身が萎んできちまうだろう。
凄くわかりやすい話をしてやろうか。こないだ、『サンデージャポン』でテリー伊藤が「今度スタジオに来て瓦でも割ってもらいましょうか」って言ったんだよ。だから、俺は「瓦なんか女の子でも割れる。ブロック割りだ」って突っ張ってブロック割りになったんだね。少年部の空手の合宿を江ノ島でやったんで、そこにサンジャポのスタッフが来て撮ることになったんだよ。ブロックはスタッフが用意して「先生、試割り用のブロックが手に入らなかったんで、建築用のでいいですか」っていうから、「それでいいよ」ってことでブロックを一つ、二つと積み上げたんだよな。そしたらディレクターがすっとんで来てさ、「先生一つで十分です」って耳打ちするんだよ。「なんで? 俺はニ個割るっていっただろ」っていってもさ、「失敗したら周りで見てる子供のお弟子さんたちが悲しむ」とか「一個で十分視聴者は驚きますから」とか、どうのこうのいうんだよ。それでも「いいから」っていったらさ、今度は弟子が寄ってきてさ「先生、やっぱり一つでどうですか?」ってこうだ。「お前、俺のことが信じられねえのか。二個割るっていったら二個だよ!」って、みんなの反対を押し切って手刀をブロックに落としたら一発で割れてね、その瞬間に「三個でもいけたかもな」って思ったよ、俺は。

──二個じゃ物足りなかったんですか !?

真樹
三個だったらやっと割れたかもなってイメージだな。この間、東(東孝。極真空手・第9回全日本空手道大会優勝。現在、大道塾塾長)くんがひょっこり現れて、彼と一杯やりながら話をしてたら東くんもブロック二個はやったことないんだってな、公衆の面前では。失敗しねえんだろうけど、大山先生が二個はやるなと。もし失敗したらテレビやなんかで全国に知れちゃうからと禁止してたそうなんだね。だから、映像で出回ってるブロック二個割りは俺のだけだってことなんだよ。テレビの映像でいうと、 20 年ぐらい前に俺と猪木と藤原敏男が出た時に一回俺が失敗したんだ、軸足が滑って。それでド?ンと吹っ飛んだら猪木が笑ったっていうんで波紋をひろげたろ?

──見ました。猪木さんも人の失敗が好きな人ですからね(笑)。

真樹
「猪木の野郎さらってやりましょうか」ってなんて言い出すヤツまでいて「やめろ」って俺も慌てて(笑)。その時だって二回目に手刀を落としたら二個とも割れたからね。 50 の時にやれたんならいまやれねえわけがねえって。

──つまり 20 年ぶりだったんですか !?

真樹
そうだよ。弟子がそのあとにやってきて、「いやあ、力が落ちてない証拠ですね」って。つい今年の春だよ。あの時周りのいうとおりに一個にしてたらやっぱりてめえでてめえが嫌になっただろうな。

──これはいけるか、いけないかっていう葛藤があった中で…。

真樹
いや、葛藤なんてもんはなかったよ。「割るって決めたら割るんだ、だから、引っ込んでろ、このオタンコナス」っていう気持ちだったな。あれは『最強最後のカラテ』って映画のオープニングパーティーの時だったか、ブロックが雨で濡れてて割れねえで苦労してさ。それで右手が折れちゃって、しょうがねえ、左で割った苦い思い出があるけど。とにかく割るんだよ、決めたからにはな。右手が折れたら左手。左手も折れたら両足があるだろ。4回もチャンスがあれば大丈夫。ブロックのほうがいじけるよ(笑)。

──“とにかく割る”というのは手足が折れてもという意味だったんですね。

真樹
そうだよ。ただ一瞬な、「やっぱり一個のほうが楽だよな。痛くねえし」って思ったことは認めるよ。だけど、そこで引いてたらあとで飲むビールがうまくねえって思ったんだよな。要は出たとこ勝負なんだよ。もともと真樹道場では試し割りなんか全然やらないし、審査会でもやらない。じゃあ、なんで割れたのかといえば、ああいうものはイメージトレーニングなんだよ。やれば割れるというイメージは常に持ってるよな。それでいいんだよね。真剣勝負と一緒で、普段から心がけててもしょうがねえ。注文があった時にパッとやるんだよ。日々の稽古っていうのはそのためにやってるんだろう。練習してなかったんで出来ませんじゃ通らねえんだよ。いつでも俺は出たとこ勝負。それができない奴はまぁ男の強さなんて話とは無縁だろうよな。

──出たとこ勝負ができるか否かで男の強さが問われると。

※第02回へ続く。[:]

宮西計三の新バンドHUNDRED DEVILS!バンド人生の集大成ともいえるアルバム「JAPANESE ORIGINAL ROCK STYLE」をドロップ!

聞き手:沢村ムラ
2016年9月某日

 

HUNDRED DEVILS

Vo.G:宮西計三 Ba:ルイス稲毛 G:ROIKI Dr:福岡林嗣

“JAPANESE ORIGINAL ROCK STYLE” (2016)

――「HUNDRED DEVILS」の経緯を教えてください。

宮西
再婚して、ONNA再結成して(※再結成の話は本誌vol.6)まずは、パートナーの薔薇絵の舞台音楽を出した。その時のメンバーはギターに皇帝ペンギンパラダイスって奴と二人。彼とは長い付き合いで、いつも付かず離れずで。彼は長野から大阪に越してたんだけど。東京に呼んで、「人形譚」ってタイトルを自主で再結成第1弾で出した。そして半年後くらいにP.S.Fレーベルから「Katawa片羽」っていうタイトルのを出しました。その時は、ペンギンと~。僕が両親の介護などで大変なときに、池袋の小さな出版社で働いてた事があって、そのとき飲み歩いてた所にブルースマンがいて、そいつがROIKIっていう男。当時ROIKIはバークレー学校から帰ってきたばかりで。飲み屋で飲んでると「歌わしてくれ!」って。だんだん付き合うようになって、第2のメンバーに加入。その後、皇帝ペンギンが抜けて僕とROIKIの2人になる。で、だんだんロックに対する表現が変わってきて、今までのONNAのスタイルが気に食わなくなってきた(笑)。ONNAのコンセプトってエロティシズムであるとか、甘美であったり、シャンなりシャンなり、イイ気になって歌う。そういうのが嫌になって、、もっと自分の好きなガレージだとか、ブルースの要素を取り入れたくなって。そこらへんのジレンマみたいなのがあって。

――ブルース、ガレージ要素のバンドがやりたくなったのですね。

宮西
正直いえば60’sガレージ、80年代のリバイバルのファズトーンズとか、チェスターフィールドキングスとかあ~いうのできれば一番良いんですけど、いかんせん英語が。日本人が英語歌うの聞いててなんか、、

――日本語で歌うのはダメなんですか?

宮西
日本語で歌うとなんか変わってしまうんですね。そのままやってもなんか、ただ単に替え歌で歌ってる感じ。サル真似してる感じになってしまう。だったらブルース、ガレージのエッセンスを自分の中で消化したものを、英米のロックとは違う日本のロックとしての自分の表現としてやりたいなと。それでいろんな人と対バンしたりして。ルイス君と出会った。あと僕のマンガのファンだった加藤君って人がいて。加藤君とルイス君はここも繋がってて、時々ユニットで演ってて。その二人が宮西さんとやってみようか?って話になったらしくて。それでやってみたのがHUNDRED DEVILS。

――バンド名の由来はなんですか?

宮西
僕のマンガがの登場人物に「百鬼」っていうのがたまたまいて。それがフランスの本に再録されたとき名前がHUNDRED DEVILSになってるんですよ(笑)。そっかー!百鬼ってHUNDRED DEVILSなんだー!って(笑)。良いな~って思って。

――面白いですね。HUNDRED DEVILSの結成はいつくらいですか?

ルイス
僕はその前に薔薇絵さんの舞台とか手伝ったりしてましたけど。DEVILになったのは2013年くらいかな。僕と宮西さんと加藤さんの3人で。

宮西
それで3回ライブ演って。で加藤君がギブアップしちゃって。個人的に色々あって。それでROIKIに入ってもらったの。HUNDRED DEVILS結成時にはONNAも並行してやってたけど、ONNAを止めて、ONNAの進化形としてHUNDRED DEVILSになったわけ。で3人で演ろうってなった時にはルイス君の中には録音しようと計画がすでにあったらしくて。で、録音を林嗣君に頼んだと。

林嗣
僕、最初はエンジニアで呼ばれたのよ。その頃はもう宮西さんの事は知ってましたし。

宮西
ルイス君と林嗣君は一緒にバンド「魔術の庭」やってて。

ルイス
たぶん、この宮西さんの世界を一番忠実に録ってくれるのは林嗣君だろうって事でお願いして。出す出さないはまだ考えてなくて、例えば、出来が良いトラックを選んでCDに焼いて手売りしたり。とかだろうと思ってたくらい。とりあえず、宮西さん、HUNDRED DEVILSをアピールしたいと。それで録音を林嗣君が一番的確だろうと。

宮西
ストレートに僕のやりたい事を説明しなくてもルイス君にしても、ROIKIにしても林嗣君にしてもわかってくれるのね。今凄くやりやすい状態。膨らんでいく事があっても、シャットアウトされることがない。僕の考えを理解してくれないという事は無いです。それで今回根本さん(最初のデビルのファン)がジャケ書いてくれた1st「JAPANESE ORIGINAL ROCK STYLE」を出して。去年レコ発を何回か演った。今年に入って阿佐ヶ谷で僕の個展があったんだけど、その時に林嗣君にパーカッションとして入ってもらって。5月のライブハウスearth domの時に正式にドラムとして入ってもらった。

ルイス
やっぱりプロデューサーとして関わってもらって、宮西さんがいう膨らましてくれるってところで是非ともって。

 

――Youtube観ました。earth domのライブ凄く良かったです。

宮西
それまでのライブ(ONNA)ではね、失敗ばかりだった(笑)。でもね今もそんなに成功したとは思はないけど、失敗が失敗にはならない。

林嗣
成功とは一体なんぞや!(笑)。

宮西
そうそう(笑)。そこがね演ってて面白いね。

――先日も聞きましたけど即興(当日の雰囲気など)じゃないんですよね。

ルイス
即興を目指した事は一回もなくて(笑)。僕ら全員。即興でやろうとした事は一回も無い。

宮西
みんなそれぞれ1つの頭脳なんですよ。ONNAの場合は僕が一人で考えてコンセプトとか、、要するに設計図書いて、下書きして。いざ本番で作品仕上げようってなったら、全然違うぞ!って(笑)。僕が背負ってる役目っていうのかな。僕はオールマイティーではなく、できない事の方が多いわけですよ。でもそこをみんなはフォローしてくれる。

ルイス
ま!陰毛の毛一本でありたいと(笑)。そんな事をねROIKIと話したりしてたのよ。「俺たち宮西さんの陰毛1本で良いかなって」(笑)。そんなアンサンブルで良いよねって。レコ発ライブ前にROIKIそのまま行こうぜ!って(笑)。

宮西
全然関係無いけど、ロートレアモンの歌で「陰毛のダンス」って知ってる?ベットの上に陰毛が1本あって。それがぴょんぴょん飛んで、香炉を振り回すっていう(笑)。

一同
良い話だ(笑)。

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「現実のトンネルを破って、深淵を掘り下げれば、何かが見つかるかもしれない・・・」 才人Mat McNerney率いるフィンランドのサイケデリック・フォーク/ロック・バンドHexvesselインタビュー

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 聞き手:梵天レコード
2016年2月1日

Kvohst名義でCODE、Dødheimsgard、VOIDなど数々のブラック、デス・メタル・バンドで活動してきた英国人ミュージシャンMat McNerneyがフィンランド移住後に結成したHexvessel。ドゥームやプログレを内包した、聴き手を森の奥深くへ誘うようなサイケデリック・フォークでLee Dorianをはじめ数多くのミュージシャンをも魅了している。そんな彼らが3枚目となるアルバム”When We Are Death” をCentury Mediaから1月29日にリリース。
本作では60s~70sサイケ・ポップ/ロックに大幅に接近しており、バンドにとって大きな転換点となりそうな作品だ。Matその人に話を聞いた。

――応じて頂きありがとうございます。Hexvessel結成までの経緯を教えてください。

Mat McNerney (Vocals, Guitar)
恋に落ちるような感じだったよ。僕は家でプライベートな曲を作っていたんだ。リリースするつもりのないラブ・ソングやスピリチュアルな歌を。ある時、友人がそれらをレコードにするよう勧めてくれた。それで、ミュージシャンの友人の助けを借りて”Dawnbearer”をレコーディングした。だけど、それはセッション・メンバーと作ったソロ・レコードという感じだった。
自分の結婚式で、妻がアコースティック・ギターを弾いてそれらの曲を初めてプレイした。僕はギターがあまり巧くないし、とてもナーバスになっていたんだ。だから、バンドと一緒にHexvesselの曲をプレイすべきだと気付かされた。本物のバンドとね。マジックが生まれるような人たちと。Captain Beefheart’s Magic Bandにあったマジックのような。
結婚式ではDark Buddha Risingというバンドと一緒にプレイした。僕は彼らの魔術的なオーラに魅了されてしまった。彼らはヒッピーだけど、ダークな宝石だった。その時、僕の曲をプレイしてもらうバンドは彼らでなければならないと気付いた。
結婚式のあと、彼らに僕のバッキング・バンドを務めてもらえないかと頼んだら、彼らはとても驚いていた。なぜなら彼らは、彼らの次のレコードで僕に歌ってもらえないかと頼もうとしていたからだ。
それで、僕は彼らの3枚目のレコードで歌って、彼らは僕の2枚目のレコードに参加してくれた。
そんな中で、ベースのNiiniとキーボード、ヴァイオリン、トランペットのKimoと出会って、僕たちは本物のバンドになった。それぞれ出自は完全にバラバラだけど、愛から生まれた本物の家族みたいだ。

――Hexvesselというバンド名の由来、意味は何ですか?

Mat
僕にとっては”スピリチュアルな旅”を意味している。Hexvesselは魔法を運ぶ者。スピリチュアルな旅行をするための自動車なんだ。君を悟りへと導く人生の魔術的な業の具現化。希望、夢、宇宙の意味を探求することを意味している。

――Hexvesselをまだ聴いたことのない読者のために、どんなサウンドか説明して頂けますか?

Mat
フォークと60、70年代のコズミック、サイケデリック・ロックの超自然的な融合。ブルースの血とプログレッシヴ・ロックのスピリット、Beefheart, Bo Hanson, The Doors, Camel, Ultimate SpinachMahavishnu Orchestra, Bob Dylan、初期Steeleye Spanからの影響に駆り立てられている。もしオブスキュアでレア、ヴィンテージな音楽を掘り下げていたら、僕たちのやっていることをより理解できるだろう。
それは錬金術であり、魔術である。僕たちが信じる音楽の力を変容させて、君たちに届けるんだ。すべては繋がりについて、この世界と別の世界の繋がりについてだ。

――Hexvessel以前のあなたはブラック、デス・メタル・ミュージシャンとして知られていましたが、フォーク・ミュージックをプレイするきっかけは何だったのでしょうか?

Mat
きっかけは音楽の純粋さについてだった。死者を再び歌わせるんだ。フォーク・ミュージックは純粋な歌について。物語なんだ。僕らの心の中にある物語と歌。人間とは何か、そしてより壮大な物語、宇宙の本質へと向かっていく。
ブラック・メタルをやり始めたころは、旅の途中だった。僕はこの旅と探求を続けたかった。若くて、向こう側へのブレイクスルーを求めているなら、ブラック・メタルはよい機会だよ。音楽の、心の中にある音楽のコンセプトを理解する助けとなる。
人々は”ブラック・メタル・フィーリング”について話している。そのフィーリングとは音楽的な悟りであり、神々へと達するんだ。そして、それはあらゆる良い音楽の核となるものだ。だけど、ブラック・メタルはそこへ速く到達するための一つの方法にすぎない。
僕はもっと先に進みたかったんだ。より純粋な形で音楽の根源へ向かうため、そして言いたかったことやインスピレーションの精霊に近づくためには、僕の内面にある歌はフォークに根ざしていると感じた。古びた骨、古代の木々、動物の内臓など、民俗(フォーク)楽器は自然そのものから作られている。それらは死者を歌わせ、自然の歴史を物語る。まるでDNAの音のようだ。それがフォーク・ミュージックに僕が魅かれる理由だと思うね。それが君の望む死だとしても、そのすべて、それ以上がある。どちらも暗くて、だけど明るくて、より触発されるんだ。

――あなたが初めて音楽に触れたのはいつですか?ミュージシャンとしてどんなバンド、アーティストから影響を受けていますか?

Mat
初めて音楽に触れたのはまだ子供だった頃、書斎の床で横になっていて、父親がPaul Simonの”Graceland”を掛けたんだ。Paul SimonはNat King Cole, Sam CookeRoy Orbisonと共に僕が初めて本当に好きなった音楽のひとつだよ。
僕の父親はElvisの大ファンで、僕はElvis、それからJohn Lennonを聴かされて育ったんだ。父はBeatlesのファンではなかったけど、Lennonの大ファンだった。これは僕が父から受け継いだもののひとつだね。John Lennonは大好きだったけど、The Beatlesを聴いたのはずっと後になってからだった。The Beach Boysも子供のころよく聴いていた。ポルノ雑誌を隠していた場所があって、自分のステレオでThe Beach Boysを流しながら雑誌をペラペラめくってレトロな女の子たちを眺めていたんだ、ハハ。初めて買った7インチはThe Beach Boys、LPはMichael JacksonのBADだったと思うよ。
十代になってからはThe CureThe Doorsが最も重要なバンドだった。リスナーから音楽好きになった。アリスのウサギの穴に落ちたような感じだよ。未知の、狂った世界の永遠の迷子なんだ。

――あなたはイギリスからフィンランドへ活動の拠点を移されましたが、そのことはあなたの創造性に影響を与えていますか?

Mat
間違いなく影響を受けている。フィンランドにはとても美しい景色がある。僕は自然を、人々と自然の繋がりを愛しているんだ。ヨーロッパで最大の面積があるけど、人口はとても少ない。広大な森に囲まれて隔絶されている。ボーイスカウトやイギリスの田舎でキャンプをしたり、アイルランドにある叔父の農場で長い夏を過ごしていたころから、僕は森と田舎に夢中なんだ。自然の世界は僕の想像の中の世界にとても近いことに気がついた。当時も今も、自然は僕の夢と現実が出会う場所だ。子供のころ、テリー・ブルックス(アメリカのファンタジー作家)の” Magic Kingdom For Sale Sold”という本を読んだことがあるんだけど、この本は僕の人生そのものだ。イギリスは僕にとっての現実で、フィンランドはブルックスの本に出てくる魔法の王国なんだ。

――フィンランドの音楽シーンはどのようなものですか?

Mat
サイケデリック!(笑) 今のサイケ・ロック・シーンはとても強力だと思うよ。Circleというバンドが支配していたんだけど、そのあと、Pharaoh Overlord, Death Hawks, Oranssi Pazuzu, Dark Buddha Rising, Domovoydが出てきた。フィンランドの音楽シーンはとてもオープンなんだ。どんな音楽のファンでもお互いのショウを観に行く。他の国のように断絶していないんだ。Hexvesselのショウに来れば、ゴス、ヒッピー、ブラックメタラー、フォーク・ファン、それに奇妙なやつら、あらゆる変人が共存しているよ。

――歌詞やPVにはオカルト、シャーマニズム、ペイガニズムが見受けられます。これらの文化はあなたにとってどのようなものですか?

Mat
スピリチュアルな探究。スピリチュアルな冒険についての文化を探究することだと思う。古のオカルティスト、シャーマン、異教徒たちがいかにして自然と宇宙の構造を内包した神秘主義を見出したかが好きなんだ。聖書のでっち上げのお話よりもね。魔法が存在することを、音楽と繋がっていることを本当に楽しんでいるよ。
オカルトやクロウリーの本などをたくさん読んだ。僕の異教の祖先やケルトの伝統を継ぐもの、英国とアイルランドのルーツにも深い関心を抱いている。すべてが意味しているのは、僕の人生にはもっと何かがあるという予感なんだ。現実のトンネルを破って、深淵を掘り下げれば、何かが見つかるかもしれないという予感が好きなんだ。

――”Iron Marsh” EPにはPursonのRosie、Blood CeremonyのAliaが参加していますが、これはどのような経緯で実現したのですか?両バンドともモダン・レトロ、サイケデリックなドゥーム・バンドとして知られていますね。

Mat
どちらのバンドも大好きだし、サポートしたいと思ったんだ。それが彼女たちに参加をオファーした理由だね。両バンドには僕らと共通する部分があると思う。才能ある強い女性が作曲をして、バンドをリードするというアイディアも好きだ。これは僕らのシーンにとってとても良い変化だと思う。僕らには二人の女性が参加しているし、お互い助け合っているよ。

“Iron Marsh” (2013)

――”Iron Marsh”にはオノ・ヨーコのカバー”Women of Salem”が収録されていますね。これはみんなを驚かせたと思います。なぜこの曲をプレイしようと思ったのですか?

Mat
僕はいつだって彼女に魅了されているんだ。彼女はミュージシャンとして最も過小評価されているアーティストだと思うよ。彼女はJohn Lennonの最も偉大な曲やアルバムのプロデュースを助け、ほかの誰よりも彼に大きな影響を与えた人物だと思う。僕が彼女のバック・カタログを掘り下げ始めたときに聴いた”Feeling The Space”というアルバムの曲が大好きなんだ。あの曲をもっと違う方法で仕上げられると感じた。これは良いカバーの印だね。曲に異なる方向性と新たな生命の形を与える。僕らはそれを成し遂げたと思うよ。
サウス・バンクが彼女の音楽の影響力を祝うイベントを開催したのは興味深いね。彼女はアバンギャルドな音楽文化における大きな一部であるという僕の意見を補強するものだった。彼女は挑発的で、芸術と音楽における日本人のイメージを変えた。
彼女は扉を開いて、創作のため、世界の平和のために活動する人々に大きな影響を与えたんだ。

――ほかに日本人のバンド、アーティストを知っていますか?

Mat
Flower Travellin’ Bandは大好きだ。ジョー山中は僕のお気に入りのシンガーの一人だよ。それとAcid Mothers Temple。坂本龍一のような作曲家からは大きな影響を受けている。ススム・ヨコタの音楽も大好きだ。ミニマリズムが好きなんだ。黒澤明、宮崎駿監督の大ファンでもある。Monoというバンドも好きだ。どうやら僕は日本の音楽が大好きらしい!
日本を訪れたとき、高尾山に登ったんだ。僕のお気に入りの場所だよ。とても美しかった。日本には良い思い出がたくさんあるよ。

――新しいEPとアルバムのリリースが控えていますが、詳細を少し教えて頂けますか?最新のバイオグラフィには「新たなフェーズへ進む」と書かれていますね。公開された新曲”Earth Over Us”は60年代のサーフ・サイケを思わせるものでした。

Mat
ああ、新しいアルバムは”When We Are Death”というタイトルだ。これは僕らにとっての新たな一歩だ。60sポップス、サイケ、フォーク、それからドゥーム、プログレの要素がある。ヘヴィでディープ、スロウでハード、美しくて、悲しい。だけど究極的な高揚感があるんだ。アルバムのメッセージは幸福と悟りについて。これは最もディープで、偉大で、そして最も正直な作品だ。僕らはこの作品を創るためにかつてないほどの作業をした。意欲的な作業で、僕らがバンドとしてその作業を愛していることを示せたと思う。
今すぐ死んでもいいぐらいだよ。このレコードが僕の遺言になれば幸せだ。

“When We Are Death”(2016)

――最近はどんなバンドの作品を楽しんでいますか?読者にお勧めがあれば教えてください。

Mat
最近のリリースをあまり深く掘り下げてはいないんだ。きっとたくさんのクールな作品を聴き逃しているだろうな。だけど、そのおかげで僕の生涯におけるベストの作品2枚を創ることができた。ひとつはHexvesselの、もうひとつは僕の別バンド、Grave Pleasuresだ。狂ったようにツアーをして、Marjaと共に美しい小さな男の子(息子さんのことと思われる)をこの世界に齎した。
これが僕の2015年によく聴いた作品のリストだよ。

DØDHEIMSGARD – A Umbra Omega (彼らの最高傑作。文句無しの1位だ)

UNCLE ACID – The Nightcreeper (fuzzy Beatles worship。まだ聴き足りない。今でも本当にこのバンドを楽しんでいる)

FUZZ – II (Witch以降で最高のSabbathian fuzz rock)

SATURNALIA TEMPLE – To The Other (Deep drone worship! このアルバムのサウンドが大好きだ)

DEATH HAWKS – Sun Future Moon (フィンランドのクラウト・ロック。とてもレイドバックしていて、トリッピーなレコードだ)

WAND – 1000 Days (クラウト要素のあるガレージ・ロック。 素晴らしい曲とリフ)

JOHN KRAUTNER – Fun With Gum Vol1 (びっくりするぐらいキャッチーな楽曲!危険なほどにね。夏の間、ずっと頭にこびりついて離れなかった)

DARK BUDDHA RISING – Inversum (フィンランドで最もヘヴィなバンド。オーディオ・ドラッグだ)

SEXWITCH – Sexwitch (GoatとPortisheadがエスニック・パーティでいちゃついているかのようだ)

ABYSSION – Luonnon Harmonia Ja Vihreä Liekki (僕のレーベルSecret Treesのリリース第1弾。 最高のfar-out Finnish psychedelic blackmetal)

SECRETS OF THE MOON – Hole (異次元の作品だ!)

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

Mat
宮崎駿が「天空の城ラピュタ」で言っているように、
「地球が僕らに語りかける。耳を傾ければ、僕らは理解することができる」(訳者注:正確な訳があったら教えてください)
僕らのレコードを気に入ってくれた嬉しいよ。作品を通して地球の声が聞こえるはずだ。
近いうちに日本を訪れて、君たちのためにプレイする日が来ることを願っているよ。
https://www.facebook.com/hexvessel/
https://hexvessel.bandcamp.com
http://hexvessel.tumblr.com

※この記事を英語で読む。Read this article in English.

Mat McNerneyの2015年ベスト11











RELATED POST:

https://peckinpah.jp/2017/07/19/column-rip-001/[:en]

 聞き手:梵天レコード
2016年2月1日

Kvohst名義でCODE、Dødheimsgard、VOIDなど数々のブラック、デス・メタル・バンドで活動してきた英国人ミュージシャンMat McNerneyがフィンランド移住後に結成したHexvessel。ドゥームやプログレを内包した、聴き手を森の奥深くへ誘うようなサイケデリック・フォークでLee Dorianをはじめ数多くのミュージシャンをも魅了している。そんな彼らが3枚目となるアルバム”When We Are Death” をCentury Mediaから1月29日にリリース。
本作では60s~70sサイケ・ポップ/ロックに大幅に接近しており、バンドにとって大きな転換点となりそうな作品だ。Matその人に話を聞いた。

――応じて頂きありがとうございます。Hexvessel結成までの経緯を教えてください。

Mat McNerney (Vocals, Guitar)
恋に落ちるような感じだったよ。僕は家でプライベートな曲を作っていたんだ。リリースするつもりのないラブ・ソングやスピリチュアルな歌を。ある時、友人がそれらをレコードにするよう勧めてくれた。それで、ミュージシャンの友人の助けを借りて”Dawnbearer”をレコーディングした。だけど、それはセッション・メンバーと作ったソロ・レコードという感じだった。
自分の結婚式で、妻がアコースティック・ギターを弾いてそれらの曲を初めてプレイした。僕はギターがあまり巧くないし、とてもナーバスになっていたんだ。だから、バンドと一緒にHexvesselの曲をプレイすべきだと気付かされた。本物のバンドとね。マジックが生まれるような人たちと。Captain Beefheart’s Magic Bandにあったマジックのような。
結婚式ではDark Buddha Risingというバンドと一緒にプレイした。僕は彼らの魔術的なオーラに魅了されてしまった。彼らはヒッピーだけど、ダークな宝石だった。その時、僕の曲をプレイしてもらうバンドは彼らでなければならないと気付いた。
結婚式のあと、彼らに僕のバッキング・バンドを務めてもらえないかと頼んだら、彼らはとても驚いていた。なぜなら彼らは、彼らの次のレコードで僕に歌ってもらえないかと頼もうとしていたからだ。
それで、僕は彼らの3枚目のレコードで歌って、彼らは僕の2枚目のレコードに参加してくれた。
そんな中で、ベースのNiiniとキーボード、ヴァイオリン、トランペットのKimoと出会って、僕たちは本物のバンドになった。それぞれ出自は完全にバラバラだけど、愛から生まれた本物の家族みたいだ。

――Hexvesselというバンド名の由来、意味は何ですか?

Mat
僕にとっては”スピリチュアルな旅”を意味している。Hexvesselは魔法を運ぶ者。スピリチュアルな旅行をするための自動車なんだ。君を悟りへと導く人生の魔術的な業の具現化。希望、夢、宇宙の意味を探求することを意味している。

――Hexvesselをまだ聴いたことのない読者のために、どんなサウンドか説明して頂けますか?

Mat
フォークと60、70年代のコズミック、サイケデリック・ロックの超自然的な融合。ブルースの血とプログレッシヴ・ロックのスピリット、Beefheart, Bo Hanson, The Doors, Camel, Ultimate SpinachMahavishnu Orchestra, Bob Dylan、初期Steeleye Spanからの影響に駆り立てられている。もしオブスキュアでレア、ヴィンテージな音楽を掘り下げていたら、僕たちのやっていることをより理解できるだろう。
それは錬金術であり、魔術である。僕たちが信じる音楽の力を変容させて、君たちに届けるんだ。すべては繋がりについて、この世界と別の世界の繋がりについてだ。

――Hexvessel以前のあなたはブラック、デス・メタル・ミュージシャンとして知られていましたが、フォーク・ミュージックをプレイするきっかけは何だったのでしょうか?

Mat
きっかけは音楽の純粋さについてだった。死者を再び歌わせるんだ。フォーク・ミュージックは純粋な歌について。物語なんだ。僕らの心の中にある物語と歌。人間とは何か、そしてより壮大な物語、宇宙の本質へと向かっていく。
ブラック・メタルをやり始めたころは、旅の途中だった。僕はこの旅と探求を続けたかった。若くて、向こう側へのブレイクスルーを求めているなら、ブラック・メタルはよい機会だよ。音楽の、心の中にある音楽のコンセプトを理解する助けとなる。
人々は”ブラック・メタル・フィーリング”について話している。そのフィーリングとは音楽的な悟りであり、神々へと達するんだ。そして、それはあらゆる良い音楽の核となるものだ。だけど、ブラック・メタルはそこへ速く到達するための一つの方法にすぎない。
僕はもっと先に進みたかったんだ。より純粋な形で音楽の根源へ向かうため、そして言いたかったことやインスピレーションの精霊に近づくためには、僕の内面にある歌はフォークに根ざしていると感じた。古びた骨、古代の木々、動物の内臓など、民俗(フォーク)楽器は自然そのものから作られている。それらは死者を歌わせ、自然の歴史を物語る。まるでDNAの音のようだ。それがフォーク・ミュージックに僕が魅かれる理由だと思うね。それが君の望む死だとしても、そのすべて、それ以上がある。どちらも暗くて、だけど明るくて、より触発されるんだ。

――あなたが初めて音楽に触れたのはいつですか?ミュージシャンとしてどんなバンド、アーティストから影響を受けていますか?

Mat
初めて音楽に触れたのはまだ子供だった頃、書斎の床で横になっていて、父親がPaul Simonの”Graceland”を掛けたんだ。Paul SimonはNat King Cole, Sam CookeRoy Orbisonと共に僕が初めて本当に好きなった音楽のひとつだよ。
僕の父親はElvisの大ファンで、僕はElvis、それからJohn Lennonを聴かされて育ったんだ。父はBeatlesのファンではなかったけど、Lennonの大ファンだった。これは僕が父から受け継いだもののひとつだね。John Lennonは大好きだったけど、The Beatlesを聴いたのはずっと後になってからだった。The Beach Boysも子供のころよく聴いていた。ポルノ雑誌を隠していた場所があって、自分のステレオでThe Beach Boysを流しながら雑誌をペラペラめくってレトロな女の子たちを眺めていたんだ、ハハ。初めて買った7インチはThe Beach Boys、LPはMichael JacksonのBADだったと思うよ。
十代になってからはThe CureThe Doorsが最も重要なバンドだった。リスナーから音楽好きになった。アリスのウサギの穴に落ちたような感じだよ。未知の、狂った世界の永遠の迷子なんだ。

――あなたはイギリスからフィンランドへ活動の拠点を移されましたが、そのことはあなたの創造性に影響を与えていますか?

Mat
間違いなく影響を受けている。フィンランドにはとても美しい景色がある。僕は自然を、人々と自然の繋がりを愛しているんだ。ヨーロッパで最大の面積があるけど、人口はとても少ない。広大な森に囲まれて隔絶されている。ボーイスカウトやイギリスの田舎でキャンプをしたり、アイルランドにある叔父の農場で長い夏を過ごしていたころから、僕は森と田舎に夢中なんだ。自然の世界は僕の想像の中の世界にとても近いことに気がついた。当時も今も、自然は僕の夢と現実が出会う場所だ。子供のころ、テリー・ブルックス(アメリカのファンタジー作家)の” Magic Kingdom For Sale Sold”という本を読んだことがあるんだけど、この本は僕の人生そのものだ。イギリスは僕にとっての現実で、フィンランドはブルックスの本に出てくる魔法の王国なんだ。

――フィンランドの音楽シーンはどのようなものですか?

Mat
サイケデリック!(笑) 今のサイケ・ロック・シーンはとても強力だと思うよ。Circleというバンドが支配していたんだけど、そのあと、Pharaoh Overlord, Death Hawks, Oranssi Pazuzu, Dark Buddha Rising, Domovoydが出てきた。フィンランドの音楽シーンはとてもオープンなんだ。どんな音楽のファンでもお互いのショウを観に行く。他の国のように断絶していないんだ。Hexvesselのショウに来れば、ゴス、ヒッピー、ブラックメタラー、フォーク・ファン、それに奇妙なやつら、あらゆる変人が共存しているよ。

――歌詞やPVにはオカルト、シャーマニズム、ペイガニズムが見受けられます。これらの文化はあなたにとってどのようなものですか?

Mat
スピリチュアルな探究。スピリチュアルな冒険についての文化を探究することだと思う。古のオカルティスト、シャーマン、異教徒たちがいかにして自然と宇宙の構造を内包した神秘主義を見出したかが好きなんだ。聖書のでっち上げのお話よりもね。魔法が存在することを、音楽と繋がっていることを本当に楽しんでいるよ。
オカルトやクロウリーの本などをたくさん読んだ。僕の異教の祖先やケルトの伝統を継ぐもの、英国とアイルランドのルーツにも深い関心を抱いている。すべてが意味しているのは、僕の人生にはもっと何かがあるという予感なんだ。現実のトンネルを破って、深淵を掘り下げれば、何かが見つかるかもしれないという予感が好きなんだ。

――”Iron Marsh” EPにはPursonのRosie、Blood CeremonyのAliaが参加していますが、これはどのような経緯で実現したのですか?両バンドともモダン・レトロ、サイケデリックなドゥーム・バンドとして知られていますね。

Mat
どちらのバンドも大好きだし、サポートしたいと思ったんだ。それが彼女たちに参加をオファーした理由だね。両バンドには僕らと共通する部分があると思う。才能ある強い女性が作曲をして、バンドをリードするというアイディアも好きだ。これは僕らのシーンにとってとても良い変化だと思う。僕らには二人の女性が参加しているし、お互い助け合っているよ。

“Iron Marsh” (2013)

――”Iron Marsh”にはオノ・ヨーコのカバー”Women of Salem”が収録されていますね。これはみんなを驚かせたと思います。なぜこの曲をプレイしようと思ったのですか?

Mat
僕はいつだって彼女に魅了されているんだ。彼女はミュージシャンとして最も過小評価されているアーティストだと思うよ。彼女はJohn Lennonの最も偉大な曲やアルバムのプロデュースを助け、ほかの誰よりも彼に大きな影響を与えた人物だと思う。僕が彼女のバック・カタログを掘り下げ始めたときに聴いた”Feeling The Space”というアルバムの曲が大好きなんだ。あの曲をもっと違う方法で仕上げられると感じた。これは良いカバーの印だね。曲に異なる方向性と新たな生命の形を与える。僕らはそれを成し遂げたと思うよ。
サウス・バンクが彼女の音楽の影響力を祝うイベントを開催したのは興味深いね。彼女はアバンギャルドな音楽文化における大きな一部であるという僕の意見を補強するものだった。彼女は挑発的で、芸術と音楽における日本人のイメージを変えた。
彼女は扉を開いて、創作のため、世界の平和のために活動する人々に大きな影響を与えたんだ。

――ほかに日本人のバンド、アーティストを知っていますか?

Mat
Flower Travellin’ Bandは大好きだ。ジョー山中は僕のお気に入りのシンガーの一人だよ。それとAcid Mothers Temple。坂本龍一のような作曲家からは大きな影響を受けている。ススム・ヨコタの音楽も大好きだ。ミニマリズムが好きなんだ。黒澤明、宮崎駿監督の大ファンでもある。Monoというバンドも好きだ。どうやら僕は日本の音楽が大好きらしい!
日本を訪れたとき、高尾山に登ったんだ。僕のお気に入りの場所だよ。とても美しかった。日本には良い思い出がたくさんあるよ。

――新しいEPとアルバムのリリースが控えていますが、詳細を少し教えて頂けますか?最新のバイオグラフィには「新たなフェーズへ進む」と書かれていますね。公開された新曲”Earth Over Us”は60年代のサーフ・サイケを思わせるものでした。

Mat
ああ、新しいアルバムは”When We Are Death”というタイトルだ。これは僕らにとっての新たな一歩だ。60sポップス、サイケ、フォーク、それからドゥーム、プログレの要素がある。ヘヴィでディープ、スロウでハード、美しくて、悲しい。だけど究極的な高揚感があるんだ。アルバムのメッセージは幸福と悟りについて。これは最もディープで、偉大で、そして最も正直な作品だ。僕らはこの作品を創るためにかつてないほどの作業をした。意欲的な作業で、僕らがバンドとしてその作業を愛していることを示せたと思う。
今すぐ死んでもいいぐらいだよ。このレコードが僕の遺言になれば幸せだ。

“When We Are Death”(2016)

――最近はどんなバンドの作品を楽しんでいますか?読者にお勧めがあれば教えてください。

Mat
最近のリリースをあまり深く掘り下げてはいないんだ。きっとたくさんのクールな作品を聴き逃しているだろうな。だけど、そのおかげで僕の生涯におけるベストの作品2枚を創ることができた。ひとつはHexvesselの、もうひとつは僕の別バンド、Grave Pleasuresだ。狂ったようにツアーをして、Marjaと共に美しい小さな男の子(息子さんのことと思われる)をこの世界に齎した。
これが僕の2015年によく聴いた作品のリストだよ。

DØDHEIMSGARD – A Umbra Omega (彼らの最高傑作。文句無しの1位だ)

UNCLE ACID – The Nightcreeper (fuzzy Beatles worship。まだ聴き足りない。今でも本当にこのバンドを楽しんでいる)

FUZZ – II (Witch以降で最高のSabbathian fuzz rock)

SATURNALIA TEMPLE – To The Other (Deep drone worship! このアルバムのサウンドが大好きだ)

DEATH HAWKS – Sun Future Moon (フィンランドのクラウト・ロック。とてもレイドバックしていて、トリッピーなレコードだ)

WAND – 1000 Days (クラウト要素のあるガレージ・ロック。 素晴らしい曲とリフ)

JOHN KRAUTNER – Fun With Gum Vol1 (びっくりするぐらいキャッチーな楽曲!危険なほどにね。夏の間、ずっと頭にこびりついて離れなかった)

DARK BUDDHA RISING – Inversum (フィンランドで最もヘヴィなバンド。オーディオ・ドラッグだ)

SEXWITCH – Sexwitch (GoatとPortisheadがエスニック・パーティでいちゃついているかのようだ)

ABYSSION – Luonnon Harmonia Ja Vihreä Liekki (僕のレーベルSecret Treesのリリース第1弾。 最高のfar-out Finnish psychedelic blackmetal)

SECRETS OF THE MOON – Hole (異次元の作品だ!)

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

Mat
宮崎駿が「天空の城ラピュタ」で言っているように、
「地球が僕らに語りかける。耳を傾ければ、僕らは理解することができる」(訳者注:正確な訳があったら教えてください)
僕らのレコードを気に入ってくれた嬉しいよ。作品を通して地球の声が聞こえるはずだ。
近いうちに日本を訪れて、君たちのためにプレイする日が来ることを願っているよ。
https://www.facebook.com/hexvessel/
https://hexvessel.bandcamp.com
http://hexvessel.tumblr.com

 

※この記事を英語で読む。Read this article in English.

Mat McNerneyの2015年ベスト11












[:]

「どこから来て、どこへ行くか……金星より先には行きたいですね」約1年ぶりとなる 新作”Faith, Hope and Charity”をリリースしたZOTHIQUEインタビュー。

聞き手:梵天レコード
2015年7月26日 秩父ladderladderにて
Photo by ゆまっち(@yma1109)

東京拠点のサイケデリック・ドゥーム/スラッジ・バンドZOTHIQUEが約1年ぶりとなる三枚目のアルバム“Faith, Hope and Charity”をリリースした。独自の世界観を保ちつつ、各メンバーの血であり、バンド・サウンドの構成要素たるドゥーム、スラッジ、ハード・ロック、サイケ、ハードコア、ノイズ、アンビエント…etcを一つに纏め上げるのではなく、それぞれを際立たせるという手法を用いて紡がれた本作は、味わい深く何度も繰り返し聴きたくなる傑作だ。形骸化したドゥームやスラッジに飽いている人にこそ強くお勧めしたい。
東京のストーナー・バンドGUEVNNAとフランスのスラッジ・バンドAGUIRREとの10日間ツアー最終日に、メンバー全員から話を聞くことができた。

尚、結成の経緯や1st、2ndアルバム等についてのインタビューは現在発売中のペキンパー第五号に掲載しておりますので、そちらも是非ご拝読ください。

※本文中にホイヘ・ルイス・ボルヘス著「円環の廃墟」とアーヴィン・S・コッブ著「信仰と希望と愛と」のネタバレが含まれています。ご注意ください。

――今日はAGUIRRE、GUEVNNAとの10日間ツアーの最終日ですが、やってみてどうでしたか?

Shusuke Shimonaka(Vocal and Guitar)
10日間連続のツアーはメンバー全員初めてで、なかなか感慨深いな、と。7ヶ月間ブランクがあって、ライブの感覚を取り戻しながら。

Jah Excretion(Bass and Drone)
去年5日間、DRAGGED INTO SUNLIGHT(UK)とツアーした時は5日目とかバテバテで、今回は10日は無理かと思ってたけど意外と大丈夫。ツアーすることに慣れてきたというか。去年も2回やってるし。

Darklaw(key, Noise, Buckground Vocal)
途中バテバテだったけど取り戻してましたね。

Koji Ueno(Drums)
まだやり足りない感じが。

――ツアーに合わせて約1年ぶり、三枚目のアルバム”Faith, Hope and Charity”がリリースされました。これまで1年に1枚のペースでアルバムをリリースしていますが、これは意図したことなのですか?

Shusuke
今回のツアーの話を去年から頂いていて、どうせならそのタイミングで出そうと思って。去年もたまたまRoad to HellからDRAGGED INTO SUNLIGHTとのツアーの話がきていて。アルバム出すならそのタイミングに合わせよう、という去年とまったく同じような流れです。あと、やっぱりコンスタントに作品出して行くのは大事だと思うので。意図していたといえば、ある程度そういう狙いはあったと思います。

――今回のアルバムから作曲に各メンバーがクレジットされていますね。

Shusuke
今までの曲は殆ど僕が作るかもしくはDarklawが部分的に作曲を担当して、それを全員でアレンジしていくという流れだったんですが、今回は楽曲ごとのテーマ(題材)をまず決めた上で、それぞれのメンバーが楽曲のアイデアを持ち込むという形をとりました。曲によって作曲者のスタイル、雰囲気の違いが如実に出てるかな、と。

――メンバーのキャラが立ってるなと思いました。誤解を恐れずに言えばバラバラの曲なんですけど、ZOTHIQUEのバンドカラーで統一されているというか。

Shusuke
バラバラのミュージシャンの集合体なんで、そこが際立ちましたね。

――クラシック・ロックのアルバムに近いような感覚があって。The Beatlesじゃないですけど、ポールの曲、ジョンの曲、みたいな。

Shusuke
確かにちょっと昔っぽいですね。

Jah
でも、自分の好きな感じを作るというよりは、あくまでもZOTHIQUEで、っていうのは考えていたけど。

――1曲ずつコメントをお願いできますでしょうか。1曲目はJahさん作曲の”Venus I”。

Jah
シュウ君からVenus(金星)っていうテーマで曲を作って欲しいっていうことで。なので、金星に旅立つ、金星に行けちゃうぐらいな曲を、みたいな感じで。

Shusuke
金星っていう存在に、ものすごく魅かれていて。気温400度ぐらいのとんでもない惑星です。単なる想像ですが、そこに人智を超えた凄まじいエネルギーや生命力のようなイメージを結びつけていました。金星をテーマにしたSF作品も好きだったので、金星をテーマに曲を作ってくれないかなっていうのが始まりで。金星良いなあって。

Jah
作る時にパソコンで金星の画像を探して、それを見ながら。

一同
(笑)

Jah
youtubeの金星の画像と一緒にアンビエントみたいな音楽が流れていて、それがリフといい感じに合って(笑)。

――次の”The Tower of White Moth”と5曲目の”The Circular Ruins”はデモ音源に収録されていた楽曲ですが、こちらは現メンバーでの再録でしょうか?

Shusuke
再録ですね。あれを録ったのは2010年とかだったので、メンバーも違うし、正式なアルバムの曲としては出していなかったのでこの際録り直してみようと。当時に比べれば表現力にも少しは幅が出てきていると思ったので。

――再録の2曲の歌詞について教えてください。

Shusuke
“The Tower of White Moth”はフィクションです。ざっくり言うと、男が無数の白い蛾の群れに追われて正気を失い、群れの中で女王蛾に誘われて自分もサナギとして生まれ変わりたいという欲求に取り憑かれていくという内容です。ひたすらグロくて不快なだけで、深い意味はありません。
“The Circular Ruins”はアルゼンチンの作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編をベースにしています。「円環の廃墟」という邦題で和訳も出ています。「自分が夢を見ているつもりが、誰かに夢見られていた」というくだりがあるんですが、存在の不確かさに対する人間の不安を如実に現しているようで、個人的に非常に好きな作品です。ZOTHIQUEとして初めて楽曲を作った時にテーマとして取り上げました。

――次の”Hijra”はDarklawさんの作曲で。アルバム中最もイーヴルな曲ですね。

Darklaw
極悪な曲をって言われて作った感じです。

Shusuke
とにかく悪いヤツを作ってくれって(笑)。

Darklaw
全然極悪じゃないのに(笑)。

――Hijra(ヒジュラー)という言葉の意味は?

Photo by Ayako (@ayako66)

Shusuke
ヒジュラーはインドとかバングラデシュにいる両性具有、女装したオカマなんですけど、子どもが生まれた時とか結婚式とかに手を叩きながらワーッて駆け寄ってきて踊ったり。忌み嫌われてるんですけど、神聖な存在という。昔、そっちの方に旅行してた時にヒジュラーと出くわすことが多くて、鮮烈な印象が。ヒジュラーも生命力の塊のような存在だと感じていたので、アルバムの題材の一つとして使いました。昔から暖めていた存在ではあったんですけど。

――次の曲はアルバム・タイトルにもなっている”Faith, Hope and Charity”。Kojiさんの曲ですね。この曲はドゥーミィというか、BLACK SABBATH的な雰囲気ですね。

Koji
ありがとうございます。元々はテーマをもらったと思うんだけど、そういうテーマをイメージして曲を作るっていうのができなくて。ただ単に頭の中に降ってきたリフをそのまま曲にして、これしかできなかったって渡して(苦笑)。

Shusuke
コウジさんの好きな音楽性が現れてると思いますね。

Koji
シュウ君の持ってきたテーマにねじ込むのはちょっと無茶かな、と思ったんですね。でも、極悪とかカッコいい曲は他のメンバーが作るだろうから、ちょっと違うのがいいかなって。

Shusuke
もともと”Faith, Hope and Charity”(信仰, 希望, 慈愛) というのは宗教的な言葉で、カソリックにおける三大美徳を現しているんですが、楽曲の内容は1930年代に執筆されたアーヴィン・S・コッブというミステリー作家の作品「信仰と希望と愛と」という小説をベースにしています。
米国で悪さをして逃亡生活を共にしていたイタリア人、スペイン人、フランス人の三人組が各々、最も忌み嫌っていた形で死を迎える顛末を描いた作品です。
ギロチンで死ぬのが嫌だった男は、エレベーターで首を切られる。もう一人は、グランドキャニオンのがけ崩れに閉じ込められて終身刑。もう一人は牛の革でグルグル巻きにされて絞首刑。物凄く印象に残っている作品です。生きようという生命のエネルギーが伝わってくるものがあって。

――アートワークにはキリスト教的なモチーフが使われていますが。

Shusuke
あれは偶然ですね。今年の5月にGUEVNNAのサポートギタリストとしてデンマークに行った時に、現地の人に勧められて立ち寄ったアシステンス墓所という場所で何気なく撮影した写真が気に入ったので、アートワークに使いました。

――”The Circlar Ruins”を挟んで、次が”Amyotrophy”。これは作曲がシモナカさんでハードコア・パンク風のファストな曲ですね。

Shusuke
2nd(”ZOTHIQUE“)ではズルズルの方向に行ったけど、速い曲やってみようよ、やらない理由は無いでしょってことで。Amyotrophyは筋萎縮という病名です。
徳洲会という大病院グループの理事長の徳田虎雄という人がテーマです。ALS(筋萎縮性側索硬
化症)を発症して眼球だけしか動かせない。ある本をきっかけにその人のことを深く調べるようになったんですが、とにかくその人の生き様にものすごく衝撃を受けて。
今でも眼球の動きだけで日本全国+世界で200の病院をコントロールしてるという恐ろしい人です。その生命エネルギーの凄まじさ、生命力を楽曲としてバンドで表現したかったんです。この曲に限りませんが、ZOTHIQUEというバンドの楽曲のテーマは全て僕が着想しています。それを自分を含むそれぞれのメンバーに投げかけて、フィードバックとして戻ってきたサウンド、リフやノイズをバンド全体で練り上げて形にしていくというのが慣習になっています。
作りかけてできなかった曲もあります。今回のアルバム全体としてのテーマは、生命のエネルギーというか。前作は死の匂いがする、(今回は)その反動というか。

――前作とは真逆の雰囲気を感じました。前作は聴いていると息が詰まってくるような。それが良さでもあったのですが。

Shusuke
多分、息が詰まってたんだと思います(笑)。人生に詰まってた(笑)。

Photo by Ayako (@ayako66)

――次がJahさん作曲の”Nomadic”。

Jah
これもシュウ君からテーマと、中国のチベット自治区と西成でフィールド・レコーディングしてきた音をもらって、これでドローンっぽい曲を使って作って欲しいってことで。

Shusuke
“Nomadic”は遊牧民という意味で。ツアーもそうだけど、色んな所に行くわけですよ。根無し草のように渡り歩くというか。そういう生活の在り様を、実際に録ってきた音と合わせて表現できればいいな、と。

――次の”Valley of Tears”はアルバム中最も異色な曲ですね。歌詞の内容はセンシティヴなも
のですが。

Shusuke
ああいうカントリーというか、歌モノというか、やってみたかった。ZOTHIQUEでやるのはどうなの?まあ、やってみるか、と。

――あの曲があるのと無いのとで、アルバムに対する印象が大分違うと思うんですよ。

Shusuke
正直、自分でもどういう風に受け止められるかわからないので。去年の12月に母親が亡くなって。ツアーとかしながら介護生活をしていたんですよ。淡々と葬式を挙げて、淡々と居なくなって、淡々と新しい生活が始まった中で、何かふと浮き出たというか。開放感と悲しみが一体になってこみ上げてきた時に思いついた曲ですね。それをZOTHIQUEでやるのはどうかと考えたこともあったんですね。でも、やらないよりはやった方がいいか、と。

――僕は以前、シモナカさんとコウジさんがやったアコースティックのライブを見ていたので、割とすんなり受け入れられました。※こちらの記事参照。

Shusuke
アウトロー・カントリーとか中島らもとか、元々すごく好きなんで。やってることとあまり違和感無いつもりなんですけど、異色と言ったら異色かもしれないですね。

――ラストの”Venus II”は”Venus I”(reprise)的な曲ですね。

Jah
“Venus I”と”Venus II”は繋がってたんですよ。アルバムに入れるにあたって考えていく中で二つに分かれたんですけど、元々は15分ぐらいの曲だった。長い曲が作りたくて。マリファナ騎士団が聖地エルサレムを目指すSLEEPの”Jerusalem”……金星まで行くわけだから、それを超えたいな、と。それが分かれた。

Shusuke
金星から始まって、金星に終わる。ループするというか。無限ループ。

――一回目聴き終わった時と二回目に聴く時とでは印象が大きく変わるような気がしたのですが。

Shusuke
そこまで聴いてくれたら嬉しいですけど(笑)。

Jah
あれは同じリフをずっと繰り返してるだけだから、それが1曲になった時に成立するのかちょっと不安でしたけど、成立したんでそれぞれのメンバーの力がいい感じに出たんだな、と。

――今回のアルバムを聴いて、ZOTHIQUEってゴリゴリの低音を出すことに意識は無いのかな、と思ったんですよ。サイケデリック・ドゥーム/スラッジに分類されるとは思うんですけど、その手のバンドと比べると。

Shusuke
俺自身は重低音を聴かせる、ということにはそこまで拘っていません。自分はこのバンドで作品を作り続ける上では、テーマやストーリーに最も重きを置いています。それがどう表現されるかっていうことに対しては正直、流れに任せています。バンドとして仕上がったものが結果であって。世界観とかテーマに関しては話は尽きないんですが、最終的にアウトプットされる音については他のメンバーとの化学反応に委ねています。

Jah
俺はどっちかというと重低音を効かすことを意識してたんで、そう感じなかったってことは俺の力不足かな(苦笑)。

Darklaw
すいません、ミックスに失敗しました!次のは重いですよ! ※Darklaw氏はレコーディング/ミキシング・エンジニアも兼任。

Shusuke
(笑)。何に重き置くかは人によって違う。「重い」とか「ヘヴィ」の定義も主観的なものだと思うので。音源を聴く環境や機材にもよるじゃないですか、アンプとかスピーカーとか。そこまでは……計り知れないというか、どういう風に聞こえてるかは正直わからない。

Jah
人それぞれ捉え方が違うから。

Darklaw
ここで言うのもあれだけど、ライブとかをウチは録音していった方がいいかもしれない。今回のツアーはすごい厳しかったんだけど、重さの出し方を拘って。

Shusuke
ライブはまた別で。音源の話ですよ。

Darklaw
あ、音源?それは俺のミックスの間違いだよ(笑)。ちょっとキラキラしちゃったんですけど。

Shusuke
そこは好みなんですよ。俺は別にキラキラしてると思ってないし。むしろキラキラしているのは悪いことじゃないでしょ?

Darklaw
だけど、今回はロックを録りたかったのはありましたね。ロックっぽいエッジ、クラシック・ロックに近いミックスにはしたかったのかもしれない。低音を出すのは……出せたんですけど、埋もれちゃうんですよ、他の音が。うちはカラフルだから、あまりベースを出し過ぎると。今回はロック・アルバム。

――Kojiさんはどうですか?

Koji
すごいミックス良いと思いますよ、今回。重低音を効かせて、っていうのは僕は特に。というよりも、結構前から流行ってる音って、メタルでもドゥームでもゴリゴリの低音を思い切り出して振り切った感じの、そういう音が好まれる傾向にあると思うんですけど、僕はそういうのに疲れちゃうというか。これ以上はハードにならない。そういう音作りって淘汰されていって、元に戻すというか、限りなくフラットな音とか、もっと言えばステレオじゃなくてモノラルでも……

Darklaw
マジか(笑)。

Koji
いいんじゃないかってぐらい……なのかもね(笑)。自分の中で勝手に思ってることですけど。そうしましょうっていう話じゃなくて(笑)。レコードをモノラルで聴いたりとか。二個から出さないで一個で出すのもいいんじゃないかなってぐらいに思ってる。今回仕上がってきたミックスもそういう感じに近づいてるなと僕は思ってる。

Darklaw
1stと2ndはガッツリやったから3rdはね。3rdアルバムはさ、ロック・バンドなら遊び心が出てくるというかね。

――メタルの世界では3枚目のアルバムは重要ってよく言いますよね。SLAYERの”Reign inBlood”とか。初期衝動と円熟さがちょうどいい具合になるとか。

Shusuke
結果としてそうなってればいいかな(笑)。3枚目だからってのは意識してないですね。

Darklaw
俺はメタルよりもサイケ・ロックって感じする。3rdが一番サイケっぽくなって、そこから落ち着いちゃう(笑)。これは遊び過ぎた、みたいな。そんな感じする。

――メンバーのみなさんが楽しんでるようにも感じました。

Jah
前のアルバムみたいにライブで何度か演奏した上で録音したんじゃなくて、曲を作ってスタジオで作り上げてライブでやることなくレコーディングしたんで、楽しんでというよりは力入ってた。リラックスしてレコーディングした感じではない。

Shusuke
曲を録ってからそれをライブでやるって流れだったんで、今までとは少し勝手が違った。結果的に安定感は無いですけど(笑)、これから仕上がっていく(笑)。

Darklaw
どうなっていくんだろう(笑)。

――ZOTHIQUEとしてどこまで行けるのか試しているような部分もあるのかなと。それこそ”Valley of Tears”とか。

Shusuke
どうなるかは俺たちにもわからないんで。今が楽しいから。カチっと決めて行くより、色んなことができるのが。これから「なにこれ?」みたいになるかもしれないし、「いいよ、それで」みたいな曲ができるかもしれない(笑)。どこから来て、どこへ行くか……金星より先には行きたいですね、とりあえず。銀河系は出たいな(笑)。銀河系の外の惑星の話とか。

Jah
で、アース(地球)に戻ってくる(笑)。

Shusuke
戻ってこれるかわかんないけど(笑)。Darklawさん、今回の(アルバム)何度も通しで聴くと良いって言われますよ。何回も聴くと。

Darklaw
何回も聴いてるよ。聴かないとしょうがないじゃない(笑)。実は今回の好きよ。

Shusuke
なんかギラギラ、キラキラしすぎてるんじゃないかなって言ってたから。

Darklaw
それはさっきも言ったけどエンジニアだから、自分ができてないことをしてる。世界観として聴きこめばサイケ・アルバムだよ。ドゥーム・アルバムだと思ってないもん。理想通りだよ。さっきメタルの話が出たけど、メタル最近聴いてないし。普通に音楽アルバムとして耐え得るものであれば何だっていいのであって。

Shusuke
俺も好きなメタルバンドはいるけど、ヘヴィーメタルをガチで深く深く聞き込んでいるわけじゃないから。

Darklaw
そう言われると、やっぱりロックなんだなって。サイケ・ロック。あまり意識がないんだよ、ドゥームとか。

Shusuke
ジャンルとしてそう呼ばれてるからそういう風に捉えられるのはあるかもしれないけど……もちろん影響も受けているし。

Darklaw
むしろドゥーム好きな人たちが聴く方が飽きるんじゃない?バラエティがあり過ぎて。

Shusuke
そもそもドゥーム、スラッジっていう「ジャンル」をやっているっていう意識がない。

Photo by Ayako (@ayako66)

――ドゥーム、スラッジを意識して聴くと拍子外れかもしれませんね。

Darklaw
エンジニアとして、そういうやつをこういうカラフルさ、音質でやってみたいけどね。物珍しいじゃん。天骨さん(川保天骨、本誌編集長)のバンド、太陽肛門もドゥームっちゃドゥームだけどサイケだよね。

――本人の根っこにあるのはドゥームよりもそっちでしょうね。

Shusuke
トランスとかも。

――トランスも好きだし、サイケ・ロックも好きな人ですね。

Darklaw
いるでしょ、そういうバンドって。

――ドゥームの元祖、BLACK SABBATHも曲がバラエティ豊かですよね。バラードみたいな
曲もやってるし。

Darklaw
シンセ使うしさ、ひどいよね(笑)。

――(笑)。ドゥーム・バンドってSABBATHのそういう部分をあまりやらないなと思って。

Darklaw
SABBATHだって当時は単なるハード・ロックだしね。ブリティッシュ・ロック。THE PRETTY THINGSの”Parachute”ってアルバム、すごいカッコいいのよ。ドゥームに近い。元々ブルース志向で渋くやってるから。サイケに飽きてハード・ロックになる時期なのよ。でもまだサイケの色が残ってる時代。メタルに行く直前のさ、サイケとかハード・ロックの間のバンドがすごいカッコいいの。JERICHOとか。

――HIGHWAY ROBBERYとか。

Darklaw
HIGH TIDEとかさ。そういうのが一番好きだから。BUDGIEとか。あの辺のロックって一貫性もあって音質もちゃんとしていて。3rdはそれに近いと思うよ。そういう感じにしたかった。Kojiさんの曲、結構好きだよ。

――Kojiさんはどうですか?今後について。

Koji
どんどんこれからブルージーに……嘘だけど(笑)。

Darklaw
ユウ君(Jah Excretion氏のこと)の曲ってJESUっぽくない?

Jah
俺、スラッジもドゥームもロックも殆ど聴かないんで。SLEEPとか、それぐらいしか聴いてない。何を意識したっていうのはないですけど、単純に自分の中で気持ちいい、トランシーな感じで。

Darklaw
トランシーな感じ(笑)。今回はツアーに出て楽しくなったね。

Jah
ライブしてない時期が半年間あったから、やっぱりバンドはライブだなって。

Shusuke
ライブをやらなきゃ何も始まらない。今年はあえて制作期間とライブ活動期間を極端に分けてみたんだけど、やっぱりなあっていうのが。

Jah
シュウ君が旅で録音してきた音を使うとか、人間臭さが出てるのがZOTHIQUEだから。ライブが多分、一番それが出る。もちろん悪い時もあるけど。

Darklaw
ウチはすごいと思うよ(笑)。

Shusuke
悪い時は本当に悪いんで。

Jah
でも、それも含めてZOTHIQUEだなと思う。

Darklaw
ロック・バンドだよね。

Shusuke
ギチギチに計算して仕上がったものをキチンとやろう、という気はさらさら無いんで。時にグチャグチャになったり、時にキラキラしてたり。そういう部分も含めて面白がってもらえれば。

――最後に、今後の予定を教えてください。

Shusuke
今年から来年にかけてはまだまだ続くんですよ、旅が。韓国、中国、九州、あともしかしたら四国も…南の方へ、12月以降に。またどこかへ行きます。とにかく旅をしてライブをやって、その後はまだわからない。

――サンクスリストのOur Unending Journeyというフレーズは印象的ですね。

Shusuke
普段ずっと(メンバーと)一緒にいるわけじゃないので、特に今回みたいに10日間連日でツアーに出ることは非日常の連続ですごく面白いですね。これが永遠に続いていくんじゃないかっていう錯覚に陥ることもあります…どこからやってきてどこに向かうのか、いつかは戻ってこれるのか。これからの旅路も楽しみです。
最後に、今回のツアーメイトだった東京のGUEVNNAとフランスのAGUIRRE, 各地でサポートしてくれた関係者の方々、遊びに来てくれた方、対バンの皆さんに心から感謝しています。ありがとうございました。

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新たな方向性を提示した”Conspiracies”EPをリリースした 東京拠点のスラッジ/ストーナー・バンドGUEVNNAインタビュー!

インタビュー・文:梵天レコード

Doom/Stoner/Sludgeを特集したペキンパー第五号がおかげさまで好調です。
インタビュー、コラム、ディスク・ガイドを通して国内外問わず数多くのバンドを紹介しましたが、
注目すべきバンドはまだまだいます。
国内に関して言えば、まずその筆頭にGUEVNNAの名を挙げたい。
2011年結成以降、国内外での積極的なライブ、音源リリースを重ね、
この度、初となる単独音源にして新たな方向性を提示した4曲入りEPを発表。
7月にはフランスのAGUIRRE、盟友のZOTHIQUEとのツアーも控えている彼らに話を聞いた。

――まずは結成の経緯からお願いします。

Ryo (Vo)
2011年に、僕がずっと好きなBONGZILLAIRON MONKEYみたいな路線の音楽をやりたいなと思い、その2バンドが好きという条件でメンバーを集めて結成しました。Raizo (G)は昔やってたバンドで一回一緒にやったことがあるバンドのギターで、MELVINSのTシャツ着てたのかな? それを覚えていて、まずは彼に声をかけて。Komi (B)も元々知り合いづてで、短期間だけど一緒にバンドをやっていたことがあって。所謂ドゥーム、スラッジ、ストーナーといったジャンルをお勉強してるかどうかはどうでもよくて、BONGZILLAIRON MONKEYが好きであれば他はどうでもよかった。ドラムもその条件でメン募に出したら初代ドラムが来て。それでなんとなく始まりました。

――デモを作ったのはいつですか?

Ryo
2012年かな。スタジオ一発録りのチープなデモです。作ったのは200枚ぐらいだったかと。

“Demo” (2012)

――その後にフランスのAGUIRRE、イタリアのBLACK TEMPLE BELOWとのスプリットですね

Ryo
AGUIRREは、僕がCOFFINSにいた時、2011年のヨーロッパ・ツアーの時に彼らとアメリカのSOURVEINとサポートで一緒に周って、そこで仲良くなってコンタクトを取るようになりました。デモを作ったからスプリットをやりたいねって話になって、Aguirreに持ちかけたら「是非やろう」と。で、スプリット出したから一緒にヨーロッパ・ツアーしたいねってなって2014年にヨーロッパ・ツアー。ヨーロッパ・ツアーをやったから今度はジャパン・ツアーをってことで7月にやります。BLACK TEMPLE BELOWとのスプリットはイタリアのレーベルからコンタクトがあって、その時はうちも余裕があったからじゃあやりましょう、と。

AGUIRRE/GUEVNNA – Split(2014)
BLACK TEMPLE BELOW/GUEVNNA – Split(2015)

――そして、この度リリースされた“Conspiracies”EPですね。

Ryo
プロモーションも兼ねての初単独音源だったらEPかなと。4曲で起承転結の構成も練りやすいし、そのほうが聴く人にとっても分かりやすいかなと思いました。

――国内外でライブをやって、音源も出して、ここまで出来ているバンドは少ないですよね。

Ryo
僕らは単純にライブとツアーが好きなんですよね。だからバンドメンバーもそれなりに動ける人じゃないとっていう条件はあります。日本は世界に300近くある国の中の一つでしかないし、例えばヨーロッパやアメリカならこういった音楽の「本場」だし、マーケットも大きいわけじゃないですか。だからその辺をターゲットにしない理由がないですよね。なるべく国内、海外問わずにツアーして、作品もコンスタントに出していきたいと思っています。

僕の感覚だと、例えば東京から大阪に遠征するのと海外に行くのってそんなに変わらない。言語が変わって、文化が違って、飛行機がしんどいぐらいかな。

――国内でここまで活発に動いているのってGUEVNNAとZOTHIQUEぐらいですよね。

Ryo
Church of MiserySete Star Sept幾何学模様……彼らは1ヶ月単位でツアーしているので、それに比べたら僕らなんてまだまだ活発じゃないと思いますよ。ZOTHIQUEは前から知り合いで、独自の音楽をやっているし、フットワークも軽くて、仲も良いです。3月の2回のライブと5月頭のコペンハーゲンにも(Shusuke氏(Vo&G)がサポート・ギターで)来てくれて。7月のAguirreとのジャパンツアーも一緒に周りますし、個人的にもサポートして行きたいバンドですね。

――ツイン・ギター編成になったきっかけは?

Ryo
始めた当初は「BONGZILLAとIRON MONKEYが大好きなんだー!」以外何も考えていませんでしたけれど、スラッジだとかそういうジャンルで括っちゃうと既に世の中いいバンドがいっぱいいるわけじゃないですか。同じことをやって良い物が作れるか、というのもあったし、個人的に昔のポップスとかディスコが好きなので、ある時から、あくまで結成当初の核を保ちつつ好きなことをやれたらいいかなと思うようになりまして。

で、そう考えたときに、メロディラインがもう一つ欲しくなったんですけれども、選択肢が二つあって。僕がギャーギャー声をやめて普通に歌うか、ギターをもう1本増やすか、だったんですけど、クリーンで歌うとこのバンドを始めた時の核の部分がキープできないと思ったので、じゃあツイン・ギターにしようと。実際、厚みも増したし、出来ることが増えましたね。あと、純粋にメンバーがいっぱい居た方が楽しいです(笑)。

――”Conspiracies” EPの話を聞かせてください。今までの音源と比べてストーナー寄りになった印象を受けました。

Ryo
自分達なりの核を保ちつつ、やりたいことをやった結果ですね。ディスコみたいなノリの良い曲が好きなんだから、ノリの良い曲作ればいいじゃないってことで。かなりキャッチーになってると思います。

1曲目は「コーヒーのCMみたいな曲作ろうぜ!」という思いつきで作ったので、日曜の朝にコーヒー飲みながら聴いてもらえれば相当ツボにはまるはずです。音作りに関しては、前のスプリットの国内外のレビュー等を読むととにかく「ヘヴィだ!」っていう印象が強かったみたいで。正直ヘヴィであることにそんなに拘りはないんですよ。だからEPではかなり低音抑えて、音圧バッキバキみたいなのもやめて。ライブでも元々「圧殺重低音」みたいな音は出しているつもりはなくて、「気持ち良いかどうか」というのを重視しています。

“Conspiracies” EP

――さきほどチラっと出ましたし、facebookにも書いてありますけど、影響を受けた音楽にOld School Discoとありますね。そんなバンド初めてなんですけど。

Ryo
80年代以降の打ち込み中心のテンポも速くてビートも強いダンスミュージックも好きなんですが、それよりもそれ以前のゆったりめのディスコミュージックが好きで。BONGZILLAにしてもロックしててノレて踊れるっていうのが一番だから、自分なりにそういうのをを見出して行きたいな、と。でも、スラッジ、ドゥーム、ストーナーのバンドが原点回帰して昔風のロックサウンドをやるのはありがちじゃないですか。

――今は特に多いですね。

Ryo
そもそも僕がそこまでそういったルーツのロックを聴きこんでいるわけじゃないので、そういうのはやろうとしても出来ないですね。あくまで自分が好きなものだけを上手く取り入れるという感じで。

あと、よくドゥームって言われるんですけど、まったくもってドゥームじゃないんですよ。そのジャンルの音楽が放出してるものってあると思うんですけど、ドゥームだったら神秘的なものだとか、邪悪で悪魔的なものだとか。(GUEVNNAは)歌詞だってそういう内容じゃないし。アートワークも。

――”Conspiracies” EPのアートワークもアーバンな感じで、ドゥームっぽさは無いですね。

Ryo
「ドゥームとは何か」のお勉強じゃないですけれど、BLACK SABBATHにそこまで入れ込んでないんですよ。好きだしかっこいいとは思うけれど、あの時代の良いロック・バンドのひとつというか。BLUE OYSTER CULTを聴いて良いなって思うのと同じ感覚。影響を受けているとすれば、SABBATHから影響を受けたバンドに影響を受けてるんじゃないでしょうか。リフ構成にしてもなるべくSABBATHっぽくないようにはしてるつもりなんですけれど(笑)

――テンポが遅いとどうしても”ドゥーム”、”ドゥーミー”と表現されがちですからね。

Ryo
遅い、もしくはチューニングが低くてちょっとゆったりしてればドゥームって言われちゃう。どう思われてもいいっていうのはあるんですけど、ドゥームじゃないし。スラッジの病的だとか、人間の悪の部分をさらけ出すみたいなものない。GUEVNNAはもっと別のものを放出してるから。

――やってる側からしたらジャンルなんてどうでもいいことですからね。”Conspiracies”EPには歌詞が掲載されていませんが、これは意図したことでしょうか?

Ryo
大阪のDevriさんという方に頼んでアートワークを描き込んで貰っているんですけど、表現、アウトプットするのはそこまでにしたいんですよ。

歌詞まで載せちゃうと「こういうこと歌ってて、こういう音で、こういうバンドなんだ」ってわかっちゃうから、そこまでしたくないんです。例えば映画を見ても観終わった後に「これはなんだったんだろう?」みたいな謎が残るものが個人的に好みで「あの場面はこういうことだったんじゃないのか?」と自分なりに考えて結論を出すのが好きなんですよ。謎ばっかりだとこれまた好きじゃないんですけれど(笑)、今回のEPで言えばアートワークですんごい表現しているんです。あれは僕がこういう構図で、こういう感じで描いてくださいってメールで長々と注文を出して、それをDevriさんが完璧に表現してくれている。だから歌詞は載せなくていいやって。

歌詞は英語なんですけど今回は殆どのところをかなりハッキリと歌っているつもりなので、結構聴き取れると思いますんで頑張って聴き取ってください(笑)。

――”I know you just wanna get stoned”は聴き取れました(笑)。

Ryo
それはみんな言ってる(笑)。Bongzillaみたいにハッパ大賛美がテーマのバンドじゃないので、文面通りの意味合いのフレーズではないんですけれどね。1曲毎に一枚の絵っていうスタンスはこれからも単独作品においては続けていきます。来年、ファースト・アルバム出すんですけれど、全8曲だったら絵が八枚ですね。

CDになってから良いアートワークの作品が減ったと思うんですよ。僕はアナログレコード至上主義ではないですけれど、レコードジャケットは紙で出来ててデカくて、絵を眺めながら音楽に浸れる。

それがCDでプラスティック・ケースになって、アートワークに魅力がないものが多くなったなあと。なので音楽だけじゃなくトータルの芸術活動という意味でジャケット、アートワークにはこだわっていきたいですね。

あと、うちは単独作品に関してはBandcamp等のデジタルダウンロードは今後もやらないつもりです。やっぱり現物を買って欲しいし。時代とは逆行してるし、Bandcampなんかで上手くやればそっちでも金が稼げるとは思うんですけど、そこは単なるこだわりですね。

――作曲はどのようにしてますか?

Ryo
基本、僕がおおまかなものを作ってます。リズムセクションもこういう感じで、って注文出して。そこからパート毎に好きな事やってもらって、曲にしています。

今後はツイン・ギターになったのもあるし、僕は本当にベーシックなものだけを作って、あとはもっとみんなに好き勝手やってもらうようにしようかなと思っています。

――Goさんにお聞きしますが、加入の経緯は?

Go(G)
INSIDE CHARMERというバンドでやっていて、GUEVNNAとは以前からよく共演していて。

CHARMERのドラムが辞めて活動が止まっていたところに白羽の矢が立って。電話でいきなり「もしもし」じゃなくて、「Goちゃん、GUEVNNA入って!」って(笑)。

――第一声が(笑)。

Go
それがデンマーク前で。即答で「いいよ」と。

Ryo
Goちゃんがちゃんと弾けるギタリストなのは知ったんですけれども、ミュージシャンとしてフットワークが軽いというのが大きいですね。弾ける人は沢山知っているけど、バンドとしてまともに活動できる人が少ないので。

Go
ライブがやりたいから。何もしないで生活するのがつまらない。GUEVNNAだとライブがある。自分が弾ける場所を与えてくれたから。

Ryo
泣くところだね。ここはRyo(泣)て入れておいてください(笑)。

――今月、デンマークのフェス”Heavy Day In Doom Town”に出演されましたが、いかがでしたか?

Ryo
本当にアンダーグラウンドのDIYで、たくさんのボランティアの人たちがいて成り立ってるフェスで。コペンハーゲンのビル3棟ぐらいあるスクワットで。演奏後のお客さんの反応もすごく良かったです。

――BONGZILLAとも共演しましたね。

Ryo
BONGZILLAはね、すごかったですよ。ストーナーとかスラッジ云々じゃなくて、ロックンロール。
グルーヴが違う。何故自分があのバンドが好きなのか再確認しました。

ずーーーっとハッパ吸ってて。演奏前もずっと吸ってて、ステージ上がってからも一曲毎に吸ってて「人間こんなにハッパ吸えるんだな」って思いましたね(笑)。会場が本当に臭くて(笑)。

僕らがライブ終わった後、(GUEVNNAの)物販のところにBONGZILLAのメンバーが来て「すげぇよかったぜ!」って言ってくれて。これはもうね、僕らにとって彼らはルーツバンドですからね。めちゃくちゃ嬉しかったです。その後も彼らと色々話したり、色々でしたね(笑)。

――最近、気に入ってるバンド、音源などありましたら教えてください。

Ryo
スウェーデンのHORISONT。アルバム持ってて元々好きで、デンマークでライブ観たんですがめちゃくちゃハードロックでかっこよいです。あとイギリスのPURSON。そんなところかな。

――みなさんが影響を受けたバンド/アーティストのアルバムを何枚か教えてください。

Ryo
BONGZILLA – “Gateway”、IRON MONKEYの1st (“Iron Monkey”)と2nd (“Our Problem”)、DURAN DURAN – S/T、KILLING JOKE – “Night Time”と”Democracy”、THE DOORSTHOU – “Summit”、VISION OF DISORDER – “From Bliss To Devastation”、まだまだあるけどパッと思いつくのは……あ、THE JESUS LIZARD全部。

Temi(Ds)
MELVINS – “Stoner Witch”。MELVINSが一番好き。あとはIMMORTALの……アルバム(笑)、SHERBETS – “Vietnam 1964″、平沢進 – “救済の技法”。そんなもんですかね。

Komi(B)
QUEENS OF THE STONE AGE – “R指定”、ZZ TOP – “Tres Hombres”、SHOCKING BLUEのベスト、CYPRESS HILLの1st (“Cypress Hill”)、曲だとJo CokerのTHE BEATLES – “With a Little Help from My Friends”のカバーは1日何十回も聴いたりします。あとはGRAVES AT SEA憂歌団が好きです。

――Raizoさんは?

Temi
ガンズでしょ?

一同
(笑)。

Temi
“Appetite for Destruction”を毎日聴いてるっていう噂を……(笑)。

Raizo (G)
……(苦笑)。kamomekamome – “ルガーシーガル”、TOOL – “AENIMA”、DEATH CAB FOR CUTIE – “We Have The Facts And We’re Voting Yes”、Hi-STANDARD – “GROWING UP”、あとデトロイト・テクノのDerrick May

――Goさんは?

Temi
まずガンズでしょ?

Go
ガンズの”Use Your Illusion 1″、”2″と……(笑)。ギター的にはEXTREAMの”Pornograffitti”、最近聴いてるのはLYNYRD SKYNYRDの2nd (“Seconed Helping”)、GUEVNNA的にはSLEEP – “Holy Mountain”、あとはOBITUARY – “Cause of Death”、MOUNTAINの”Mississippi Queen”。

Ryo
あ、追加でJUDAS PRIESTの”Scream for Vengence”と”Stained Class”。あとARCH ENEMYの”Burning Bridges”。

Temi
あれは最高だよね。曲が最高。あ、MARILYN MANSON入れるの忘れてたよ! ”Mechanical Animals”が一番好き。

Ryo
僕は”Portrait of an American Family”が好き。DEAD MEADOW – “Feathers”、QUEEN ELEPHANTINE – ” Garland of Skulls”、KHANATEの……全部!

――では最後に、今後の予定、目標を教えてください。

Ryo
7月にAGUIRRE、ZOTHIQUEと10日間ツアーをして、その後はアルバムの曲作りしながらライブこなして。来年アルバムを出したタイミングでまたヨーロッパ・ツアーに行けたらな、と。次のライブは6月20日(土)に横浜のEl Puenteと6月22日(月)に渋谷Ruby Roomでやります。

GUEVNNA | Facebook
https://www.facebook.com/guevnnaband

Aguirre(Bordeaux)×GUEVNNA×Zothique Japan Tour
7.17(Fri)@MORGANA Kokubunji
7.18(Sat)@DANCE HALL BENIBANA Hikone
7.19(Sun)@PEPPERLAND Okayama
7.20(Mon)@SOCRATES Kyoto
7.21(Tue)@HOKAGE Osaka
7.22(Wed)@HUCK FINN Nagoya
7.23(Thu)@EL PUENTE Yokohama
7.24(Fri)@BUSHBASH Koiwa
7.25(Sat)@SUNASH Shizuoka

7.26(Sun)@LADDERLADDER Chichibu