下品、下劣、そして変態というイメージだった昔と比べると、現在はMC5、ストゥージーズ、ブルーチェアー直系の極悪暴走族サウンド。
和製ストーナーバンドとして生まれ変わった新生撲殺チェーンソーは、過去3枚のレコードを出しているので、玉門からは4枚目ということになる。
100 キロを越える体重と興味深い発言で皆を笑わせる加藤喜三郎(ベースとボーカル)を大将とするこのバンド、大物である。先日、玉門から出すサードアルバム『肉番長』録音のため玉門のスタジオにメンバーが集まった。
今回のCDには 12 曲入るという事でかなり長丁場になるなと玉門の録音技師は思ったらしいが、なんと 12 曲すべての録音にわずか1時間 30 分しか要しなかったのである。もちろん一発録りだった。
その事を玉門の米山社長に告げると『そんな簡単に録音したらつまらねぇーじゃないか!もっとじっくり、落ち着いて作れや』ということになり、その社長の主旨を加藤氏に告げたところ、『ウー--ン、じゃぁもう1回やろうかなぁー』とまったくフテ腐れる事なく肉マンをパクついた。(現在、ドラムからバラ録り中)ドラムは太陽肛門で和太鼓を打っている渡辺天。モノを叩くために生まれて来たような男で、危ない目に遭っている女を助けること数十回。
以前、他のレーベルからフルレングスCDを2枚、シングルを1枚出しているので知っている人も多いだろう。よく殺害塩化ビニール所属のバンドと間違われるらしいが、実は違う。音楽的方向性は以前の3枚からくらべると、暴走族度が増していると表現できる。つまりバイク ( ハーレーじゃなくホンダ ) やトラック ( トラック野郎が乗るようなエゲツナイ日本車 ) の爆走感覚でつっぱしりまくるという、まさにコレは日本的ストーナーロックじゃないだろうか。しかし実際本人達に聞いてみると、MC5やストゥージーズ、ブルーチェアーあたりのデトロイト風味に曲を作っていると言う。アメリカ的だったのだ。(歌詞は日本語)しかし、一度聞くと忘れられないようなキャッチーなフレーズとリフ、ド肝を抜く転拍子と曲展開、ナンセンスな歌詞世界、これらは日本のバンドでないと決して醸し出せないひとつの味だ。世界に打って出るに充分だ。