「スローに、ヘヴィにやれば、必ずレースに勝つのさ」 セントルイスの激重Doom Trio、Fisterインタビュー


2014年2月 聞き手:梵天レコード

本日はセントルイスのSludge/Doom Trio、Fisterのインタビューをお届けします。

昨年、2枚目となるアルバム“Gemini”をリリース。
スラッシュ~ブラック・メタル風の疾走パートやObituary~Coffins風デス・メタルの要素を飲み込んだ聴く者を圧殺せんばかりの激重ドゥームだ。
だが、このバンドは決してメロディを軽視していない。

本作ではピアノ、バイオリン、チューバ、トロンボーン等が巧みに使用され、静寂と美しい旋律が、暗闇の中の一条の光のように現れる。とんでもない傑作だ。
Kenny Snarzyk(Ba&Vo)がユーモアたっぷりに答えてくれた。

――本日はありがとうございます。日本のインタビューは初めてですか?

Kenny Snarzyk以下KS
ああ、初めてだよ。

――Fisterの成り立ちを教えてください。

KS
Marcus Newsteadと俺はルームメイトだった。お互い違うバンドにいたんだけど、アパート(3424 Hartford Ave)に山ほど機材があってね。俺たちは退屈しのぎのレコーディング・プロジェクトとしてスタートしたんだ。
ドゥーム、ブラック・メタルへの崇敬に、皮肉っぽいユーモアをミックスしたものだった。最初は全然シリアスではなかったね。

――Fisterの現在のラインナップを教えてください。

KS
Kirk Gatterer: Drums,
Marcus Newstead: Guitars and vocals,
Kenny Snarzyk: Bass and vocals.

――他にバンドをやっているメンバーはいますか?

KS
MarcusはDaybringerでギターを弾いている。Stomachacher.というソロ・プロジェクトもやっているよ。彼は“ER”という末尾にハマっているんだ。彼のバンドはどれもキラーだよ。Kill-ER。
俺はSsothm, Black Dwarf, Seahorseというプロジェクトをやっているけど、Fisterがメイン・バンドだ。Kirkは特に何もやっていないな。

――Fisterというバンド名の意味、由来は何ですか?

KS
そのまんまだよ。元々、Fisted Sisterって名乗っていたんだけど、ちょっと馬鹿っぽいなって思って、最初のデモのタイトルにしてからはその名前は使うのをやめたんだ。

――Fisterを聴いたことが無い読者のために、どんなサウンドか説明していただけますか?

KS
ドゥーム。ブラック、デス・メタル等の要素も確かにあるけど、基本的にはドゥームだね。スローに、ヘヴィにやれば、必ずレースに勝つのさ(※1)

(※1)「ゆっくり、着実にやれば、必ず競争に勝てる。Slow and steady wins the race」という諺のもじり

 

――どんなバンド、アーティストに影響を受けていますか?

KS
難しい質問だな。俺たちは色々な音楽を掘り下げているから。
バンの中では、Alannah Myles(※2)から Warren Zevon(※3)まで色々聴くんだ。
Ozzy, Judas Priest, Def Leppardもバンの中でよく聴くよ。楽しい音楽は、運転の退屈さを紛らわせてくれるからね。
最近のだと、Yob, Craft, Deathspell Omega, Corrupted, Warning, Asunder (RIP)が今の俺たちがやっていることに大きな影響を与えているよ。

(※2) 1990年にグラミー賞を受賞したカナダの女性ロック歌手。
(※3)シカゴ出身の男性シンガー・ソングライター。

 

――アルバム(“Gemini”)のリリースおめでとうございます。反応には満足していますか?

KS
ありがとう。俺たちは安心して結果に満足していると言えるよ。“Gemini(※4)には多くの時間を費やした。これ以上良くすることはできない。同じような作品を作る事はもう二度とできないだろう。作曲中、レコーディング中、俺の人生にはとてもネガティヴなことがたくさん起きた。それが大きく表れているよ。

 

(※4) Gemini

――一曲だけ選んで聴いてもらうとしたら、どの曲を選びますか?

KS
全部聴いて欲しいね!“Gemini”はアルバムとして書いたんだ。どれも俺の好きな異なったタイプの曲だ。それに、どれもヘヴィだよ。

――Fisterのサウンドはヘヴィなだけではなく、静寂、平穏、美しさがあります。あなたはどう思っていますか?

KS
意図的にそうしているよ。ずっとトボトボ歩き続けるなんてことはできないだろ。退屈だよ。俺たちは良い曲を書きたかったんだ。聴き手を罰するだけじゃなくて。
それがドゥームの大きなパートだと思うよ。ミニマリズムが雰囲気作りに役立つんだ。それがヘヴィなパートを黙示録的なサウンドにする。

――私は“Gemini”のアートワークが大好きです。デヴィッド・クローネンバーグ監督の『戦慄の絆』(※5)ですね。タイトル(※6)とも関連しています。あの映画は好きですか? 私のオール・タイム・フェイヴァリットです!

KS
『戦慄の絆』は俺の大好きな映画だよ。俺はデヴィッド・クローネンバーグを崇拝していて、彼のやる事は全部フォローしている。個人的にあの映画から大きな衝撃を受けたんだ。
それがコンセプトだよ。俺があの映画を見た時に感じたのと同じ不安を、聴き手に感じさせるようなアルバムを作りたかった。ダークで、哀しくて、完璧だ。

 

(※5) 1988年制作のカナダのサイコ・スリラー映画。原題:Dead Ringers。デヴィッド・クローネンバーグ監督。ジェレミー・アイアンズ、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド出演。一組の一卵性双生児の産婦人科医の兄弟が1人の美人女優に出会った事から、アイデンティティーの均衡性を崩して起こる悲劇を描く。双児の産婦人科医が共に診療室で死亡していたという、実際にあった事件からインスピレーションを得て製作された。※ウィキペディアより引用、改変。
(※6)“Gemini”は「双子座」の意。

 

――あなたのお気に入りの映画は何ですか? 特定の映画やTVショウに影響を受けていますか?

KS
この質問には上で答えたな。
だけど、『ブレイン・キャンディ』(※7)が俺のオール・タイム・フェイヴァリットのコメディだってことは言っておかなきゃな!

(※7)1996年制作のアメリカ映画。原題:Kids in the Hall: Brain Candy。ケリー・メーキン監督。デヴィッド・フォーリー出演。科学者たちが開発した、気持ちがハッピーになるうつ病の超特効薬。発売されるや、悩み多き現代人の間で大ブームとなるが、副作用を起こすことが判明してしまい…。(「VIDEO INSIDER JAPAN」データベースより)

 

――“Bronsonic”という曲について教えてくれますか?素晴らしいタイトルですね!

KS
heh…俺たちがスタートした頃、変なことを色々やっていたんだ。俺たちはチャールズ・ブロンソンが死んだ後、悪魔になったってストーリーを作った。“Bronsonic”という曲/アルバムはそのことについてだよ。あと、Bathoryへの愛だね。Fisterがまだ100%明確にバンドではなかった頃だ。
何年か後、ある曲に“Deaf Wish”(※9)って名付けたんだ。ただ単に、タイトルをすぐ思いつくとは思えなかったから。

 

(※8) BRONSONIC 2013年リリース。

(※9)ブロンソン主演の映画『狼よ、さらば(原題:Death Wish)』(74年)のもじり。

 

――最近はどんなバンド/ミュージシャンのアルバムを楽しんでいますか? おススメがあったら教えてください。

KS
ヘヴィなのだと最近は、Primitive Man, Pallbearer, Ulcerate, Skelptarsis, Indian, Conan, Rwake, Seahag, Failed, In The Company Of Serpentsにハマっているよ。
あと、The Lion’s Daughterは今でも俺のオール・タイム・フェイヴァリットだ。生きている間に一度ぐらいは一緒にツアーしてみたいな。

――あなたの地元のシーンについて教えて頂けますか?

KS
セントルイスかい? とても素晴らしいよ。バンドはキラーだし。メタル・シーンからは今も芽が出続けている。住民は深刻な事として受け止め始めているようだけど。

――一緒にツアーしたいバンドはいますか?

KS
Yobとツアーしたいね。1年半前、彼らとNorskaと一緒にプレイしたのは大きな喜びだった。あの日のショウは生涯の思い出だよ。あの日、俺たちは新しい友達ができたんだ。その縁で今、Norska(※10)とのスプリットを作っているんだ。

 

(※10) Equinoctial オレゴン州ポートランドのSludge/Doomバンド、Norska(ベーシストはYobにも在籍)とのスプリット。2014年2月リリース。

――音楽を作り続けるためのモチヴェーションを、単語五つ以内で表現してください。

KS
音楽のない人生は退屈だ(Life without music is boring)。

――日本のバンドを知っていますか?

KS
Dude, Yes。 Corrupted, Gallhammer, Boris, Church Of Misery, Coffins, Eternal Elysium, Dot.。
みんな素晴らしいバンドだ。大ファンだよ。

――Fisterの最新のニュースはどこで知る事が出来ますか?

KS
http://fisterdoom.com と、俺たちのfacabook http://facebook.com/fisterdoom で。

――最後に、日本のdoom-mongersにメッセージを!

KS
俺が主に使っているベースは日本の1976年製Greco SB-850なんだ。もう一本見つけられたらなあ。大好きなんだ。
それから、息子が生まれた時、俺はCorruptedのTシャツを着ていたんだ。
彼らはCoffinsとUSツアーをするべきだよ。最高にヘヴィだろうな。

 

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