「ドゥームに帰するなら、どんなことでもできるんだ」19年ぶりの新作をリリースした“血まみれ農夫”Blood Farmersインタビュー

2014年 インタビュー:梵天レコード
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The photos taken by Maija Lahtinen

――血まみれ農夫が帰ってきた。禍々しい六本の鋤を携えて
我らは逃げることも、隠れることもできない
我らは皆、サングロイド族の女王に供される血の生贄に過ぎないのだ

――応じて頂きありがとうございます。そして、“Headless Eyes”のリリースおめでとうございます。“Blood Farmers(邦題:鮮血の美学)”から実に19年ぶりですが、今、どのように感じていますか?

Eli Brown(以下ELI)
正直言って、ようやく出せた、という安堵感だね! 多くの人がアルバムを楽しんで、受け入れてくれて本当に嬉しいよ。作業は膨大だったが、その分、みんなが気に入ってくれている。
プロジェクトの近くにいすぎると、人々の反応について伝えるのは難しいが、みんな本当に気に入ってくれている。

Dave Depraved(以下DAVE)
アルバムの評判が良くていい気分だ。何年も経っているのに、俺たちに興味を持ってくれてすごく嬉しいよ!

――アルバムのサウンドはホラーに取り憑かれた、血みどろのドゥームロックで、Blood Farmers以外の何物でもありません。あなたはまだBlood Farmersに対する明確なビジョンを持っているように思えます。スタイルを変えるぐらいなら、新しいバンドを始めるべきだと思いますか?

ELI
Blood Farmersのビジョンは、俺たちがバンドを始めた1989年、まだオリジナル曲をやる前から持っていたもので、ホラー映画とBlack Sabbathを融合させて、不気味な体験を創り出そうというDaveのコンセプトだ。 もし俺たちがサウンドを変えるとしたら、それはBlood Farmersとは呼ばれないだろう。同時に、このジャンル、そして俺たちのビジョンの中には音楽的、音響的にとても幅広い眺望があるんだ。俺たちはこのレコードでそれを証明したと考えている。ドゥームに帰するなら、どんなことでもできるんだ。すべてが血みどろではないよ!
俺が言いたいのは、かけ離れ過ぎたことだってできたんだ。例えば、もしBlood Farmersでディスコ音楽をやっていたら、うまくいかなかっただろう。
俺は他にもバンドをやっているが、勿論異なるスタイルだ。もっと時間があれば、他のジャンルの音楽も作りたいね。ディスコも含めて!

――アルバムはどこでレコーディングされたのですか? レコーディング・プロセスはどのようなものでしたか?

ELI
ニューヨークにあるStudio 584でレコーディングを開始して、ドラムとベーシック・ギターを録音した。全てが完成したのは、俺たちが週末に使用していた友達のスタジオだ。
デカいスタジオを使用する金は無かったが、ヴィンテージの機材をたくさん使えたんだ。最近のスタジオでは貴重な、本物のリバーブ・ユニットもあった。俺たちのサウンドをよりヴィンテージなものにしてくれたよ。
俺は、俺たちが考えられる限りのことをやりたかった。DAVEの作った膨大な数のトラックがそのチャンスを与えてくれた。レコーディング、ミキシングの間に出来ること、試せることをとことん追求したんだ。

ミキシング中、ずっとトラックをキープするのは大変だった。ほとんど俺のせいだけど、この作業の難点は時間が掛かり過ぎることだ。俺もDAVEも完璧主義者だから、良くない部分があるとリミックス、再録をしなければならない。
全ての作業に関われて本当に嬉しいよ。どんなバンドも、ここまでオープンな状況でレコードを作ることはできないだろう。
19年ぶりにアルバムを作れたことに今でも驚いているよ。

 

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“Headless Eyes”
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“Blood Farmers”

――デイヴィッド・ヘス(注1)のカバー、“The Road Leads to Nowhere”はこのアルバムにおけるサプライズですね。何故この曲をプレイしようと思ったのですか? この曲はBlood Farmersの新たな一面を見せてくれますね。

DAVE
ずっとこの曲をカバーしたいと思っていたんだ。俺の大好きな映画のテーマソングだからね!
『鮮血の美学』(注2)のメイキングについての本を書くときに、彼について調べなければならなかったんだ。後年、『鮮血の美学』のサウンドトラックCDを彼と一緒にプロデュースした。これは俺なりの彼へのトリビュートだよ。彼が生きている間にこの曲を聴いて欲しかったな。
Blood Farmersヴァージョンは映画のオープニング・クレジットを改編したものだが、すべてに異なったアレンジを施した。オリジナルを参照した部分もあるが、同じ音ではない……俺はもっと陰湿でサイケデリックにしたかった。

俺は他の映画音楽とフリークアウトしたギターのアレンジをやっていて、いつか発表したいと思っている。

(注1)デイヴィッド・ヘス(David Hess)。アメリカ人俳優。1942生。『真夜中の狂気』、『ヒッチハイク』などで知られる。後述の『鮮血の美学』では音楽も手掛けている。2011年、心臓発作のため逝去。

(注2)『鮮血の美学』(原題:The Last House On The Left)。ウェス・クレイヴン監督。1972年公開。TV放映時のタイトルは『白昼の暴行魔part2』。郊外に住むコリンウッド夫妻の一人娘であるマリーとその友人のフィリスが4人の男に強姦された揚句、惨殺されてしまう。やがて犯人と遭遇した夫妻は恐ろしい復讐を開始する。
不良グループのリーダーを演じたデイヴィッド・ヘスは音楽も担当。

 

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2000年発売の『鮮血の美学』メイキング本。著者David A. Szutkin(Daveの本名)。米アマゾンではレビュー7件すべてが五つ星。

――他の収録曲について、コメントを頂けますか?

Gut Shot
ELI
2009年の終わりごろ、DAVEから電話で、ニューヨークへ行っていくつかリフをレコーディングしたいと言われた。当時はBlood Farmersの新しいレコードを作るなんて考えはなかった。それを思いついたのは2008年に日本ツアーを行った後だよ。俺はエンジニアで、DAVEがベース、TADがドラムをプレイした。彼がこの曲をプレイし始めた時に、Blood Farmersの新しいレコードが生まれると思ったんだ。
俺はオープニングのミッドテンポのリフとラストの速いパートが大好きだ。この曲はDAVEが昔と同じぐらい、多分それ以上に優れたリフを書く事が出来ると教えてくれた。

Headless Eyes
ELI
この曲は何年か前、“Permanent Brain Damage(邦題:血まみれ農夫の侵略)”が再発された頃だったと思うけど、DAVEに“HEADLESS EYES”(未公開:1971年米)という映画をチェックした方がいいと言われたんだ。俺の大好きな奇妙で不気味なヴァイブがあって、俺たち二人ともBlood Farmersの曲にピッタリだと思った。何年か後にレコーディグを始めた時、これがタイトルトラックになると思ったね。俺たちは曲を書いて、一つにして、聴いて、それから恐らく一つのリフを残して捨てた。曲全体では異なる時期に四回書いたよ!これは今まで俺たちが作った曲の中でベストの一つだ。俺たちがどんなバンドかを完璧に捉えている。

The Creeper
ELI
この曲は俺たちが2009年に集まった時の最初のセッションをレコーディングしたものだ。俺はドラムもレコーディングしているんだ。素晴らしいヴァイブとベース・プレイがあるね。DAVEは俺より優れたミュージシャンだから、俺がベースを弾いていたらここまで良くはならなかっただろう。レコーディングの時、残りのベースは彼が弾くべきだと彼を説得したんだ。ライブでは俺が弾くけどね。
この曲でのTADのプレイも素晴らしいよ。彼はバンドに入りたがったから、自然の流れとして彼が次のドラマーになった。今までDAVEと同じぐらいホラー映画にのめり込んでいるやつが居たことがなかったから、それが大きな利点だな!

DAVE
ELIの言った通り、この曲はライブ・ジャムとしてスタートしたものだ……俺のお気に入りの一曲だよ。

Thousand Yard Stare
ELI
DAVEが曲のタイトルと、中間部冒頭の落ちて行くようなリフを思いついた。俺はトラウマから心を閉ざしてしまう状態とはどんなものかについて考えながら歌詞を書いた。多くの憂鬱な事について考えたよ。歌詞はとても憂鬱な人物を描いたものだ。

DAVE
俺たちの曲はすべて憂鬱な人物を描いたものだよ!

Night of the Sorcerers
ELI
この曲がどんな風になるのか思いつく前に、2011年のヨーロッパ・ツアーでプレイしたのはおかしな話だね。俺たちはもっとサウンドトラックのような感じにしたかったんだ。この曲のプロダクションも誇りに思っているよ。とても多くの要素が含まれているからね。俺たちの友人、Theoがキーボードで参加してくれて、多くの要素を加えてくれた。
DAVEも素晴らしいキーボードのメロディとエフェクトを加えてくれている。俺たちとは大分タイプの異なる曲だが、他の曲と並べても充分ドゥームだと思うよ。
俺たちには決まった曲の書き方は無いんだ。この曲はそのことを証明しているね。

DAVE
俺はこの曲のみんなのコラボレーションが好きだよ。とてもエピックだ。中間のパートはTADが書いた。

――DAVEはGrindhouse Releasing(注3)で働いているそうですが、今でもホラー、エクスプロイテーション映画を掘り下げているのですか?

DAVE
ああ、俺は1999年からGrindhouse Releasingで働いていて、今でも映画を愛しているよ。
俺が劇場配給に関わった作品は、『処刑軍団ザップ』、『食人族』、『人喰族』、『ブラッドピーセス/悪魔のチェーンソー』、『死霊のはらわた』、『マニアック』、『GONE WITH THE POPE』、『マニアック・コップ』、『マニアック・コップ2』、『チャールズ・マンソン』、『ゾンビ』、『AN AMERICAN HIPPIE IN ISRAEL』MGMで『鮮血の美学』のリリースや特典映像のプロデュースにも関わっている。今は『食人族』のBlu-rayのリリースと、この国の独立系映画館への配給をプロモートしているんだ。
Grindhouse Releasingの直近のBlu-rayタイトルには、『狂ったメス』、『THE BIG GUNDOWN』そして、呪われた60年代の映画『泳ぐひと』が含まれている。

(注3)Grindhouse Releasingはアメリカ、ハリウッドを拠点とするカルト映画レーベル。Daveは劇場配給/パブリシティを担当しているようだ。

――ミュージシャンとしてどんなバンド/アーティストに影響を受けていますか? またバンドをスタートするきっかけは何だったのでしょうか?

ELI
俺たちが初めて会った時、共通していたのはRushBlack Sabbathだった。
俺は当時無名だったCactus, Dust, Spooky Toothといったバンドのそれなりのコレクションを持っていて、DAVEはBlue CheerのVincebus Eruptumを持っていた。
1989年当時、これらの作品はメタルの世界の連中にはクールだと思われていなかったんだ。

DAVEがSaint Vitusのアルバムを手に入れて、俺たちはたっぷりハッパを吸った。
DAVEがホラー映画をコンセプトにしたバンドでBlack Sabbathのカバーをやることを思いついて、俺が歌う事を提案した。
当時NYに住んでいたDAVEの従兄、PHILがバンドでプレイしていて、そのバンドではSabbathのカバーをやっていたんだ。だから俺たちのリズム・セクションは即席だった。
“Permanent Brain Damage”に参加しているPhilとEricとは数年間一緒にプレイしていた。彼らはHordes of Mungoというバンドをやっていて、彼らにとっては弟とサイトプロジェクトをやっているようなものだったんだ。見る見るバンドが形になっていくのはクールだったよ。
Sabbathカバーだけのギグを何回かやってから、DAVEがオリジナル曲を書き始めた。最初に作ったのが、”Scream Bloody Murder(Veil of Blood)”、その次が”Bullet In My Head”だった。曲を書き始めると俺は、何と言うか、「ちょっと待てよ、これ、すごくいいじゃないか」って感じだった。それからはもう少し真面目に取り組むようになったんだ。
俺たちがオリジナルをやり始めた頃は、みんなを怒らせて、フラストレーションを発散させる良いやり方に思えた。

25年を経た今でも、パワフルなサウンドとDAVEのクールなリフを楽しんでいるよ。

DAVE
Black SabbathSaint Vitusが俺たちに火を付けたんだ。俺たちの作曲・演奏にダイレクトに影響を与えているよ。それと、60,70年代のロック、Hendrix, Blue Cheer, Cactus, BOC, Mountain, Hawkwind, Dust, Grand Funk, Bloodrock, James Gang, Johnny Winter, ZZ Top, Buffalo ――俺たちとは異なるサウンドだけど、当時も今も彼らは俺たちのお気に入りだ。

――最近はどんなバンド/ミュージシャンのアルバムを聴いていますか?

ELI
俺は60,70年代の音楽の無限のサイクルにハマってるんだ。今はDamnation of Adam Blessingをまたよく聴いている。
俺が最後に素晴らしいと思った新譜はGates Of Slumber ― “The Wretch”だ。Ogreの新作もグレイトだね。

DAVE
同感だ。Gates of Slumber – “The Wretch”は素晴らしいアルバムだね。Ogre – “The Last Neanderthal”も大好きだ。
俺はSIEGENightstickのRobert Williamsとよく一緒に過ごすんだ。だから(Nightstickの)“Blotter” と“Death To Music”はずっと聴いているよ。

Grindhouse Releasingが『食人族』のサウンドトラックのリマスターCDを発売したから、Riz Ortolaniの素晴らしい音楽もよく聴いている。

――読者に何かおススメはありますか?

ELI
今の時点だと、俺がおススメできるようなものはないな。最近は何でも簡単にアクセスできてしまうからね。
昔はヘヴィな音楽にハマってるヤツや、誰も知らないようなバンドを見つけるのはとても難しかったけど、今ではすべてがダウンロード、ストリーミングできてしまう。
俺が出会った二十歳のキッズは俺と同じぐらいバンドを知っていたよ。だから、俺が誰も聴いたことがないバンドを教えてあげられるとは思わないな。

DAVE
もしBlood Farmersのファンで、他の作品を聴きたいと思っているなら、俺はThe Disease Conceptと“Liquor Bottles and Broken Steel” EP、“Your Destroyer”. LPを作ったんだ。それから、PATAC RecordsのBlowflyというバンドの“Black in the Sack”という作品にThe Meatmen、俺たちの友人で偉大なSludge, DoomバンドFistulaのメンバー、Tesco Veeと一緒に”黒い安息日”をプレイしている。

――“Blood Farmers” と “Permanent Brain Damage”はLeaf Hound Recordsから再発されましたが、これはどのような経緯だったのですか? Daveは“Bullet In My Head”が大嫌いで、アルバムから外したがったという話を読んだことがあるのですが。

DAVE
いや、嫌ってなんかいないよ。俺が書いたんだから! どこでそんな話読んだんだ?
俺たちはこの曲を三回レコーディングして、2枚のCDS、デモ、コンピレーションで発表した。
俺はただ、同じことはやりたくないと言っただけだと思うよ!

(編注)ディスクユニオン発行のフリーペーパー『DOOM STONER HEAVY ROCK DISC GUIDE 2008』収録の小林氏へのインタビューにて。以下そのインタビューより引用。
「ギターのデイヴが1st大嫌いで、(中略)曲も“Bullet In My Head”が大っ嫌いで、それを抜かせばリリースするとか言ったりして」

ELI
トレノ・コバヤシが2001年頃に、レーベルを始めるからBlood Farmersのアルバムを日本でリリースしたいと連絡してきた。俺は数年かけて” Permanent Brain Damage”をスタジオで修正していたんだ。俺にとってはミキシングを学ぶためのプロジェクトのようなものだった。

作品が蘇ったのは素晴らしいことだった。おかげで、ダビングされたクソみたいなカセットよりも多くの人の手に渡った。その後、Hellhoundのアルバム(“Blood Farmers”のこと)をオリジナルテープからリマスターした。アルバムを作っていた時は、レコーディングのことは何も知らなかったし、デジタル・オーディオはまだ新しかった。Hellhoundに送ったのが第四世代のオーディオだったとは気付かなかったんだ。

帯とボーナス・トラックの付いたCDを見るのはクールだった。Leaf Hound Recordsは本当に素晴らしかったよ。トレノは俺たちを無名のバンドから世界中で聴かれるようなバンドにしてくれた人物だと思っている。彼が元気でいることを願っているよ。彼がどこにいようとね。
これからという時にレーベルが停止してしまったのはとても残念だ。彼はRise Above Recordsのカタログを手に入れていたし、俺はLeaf HoundとアメリカのRelapse Recordsとの契約の交渉を手伝っていたんだ。

――あなた達はDoom Age Festival出演のため、2008年にOgreと共に来日しましたね。私は東京で拝見しました。何か思い出はありますか?

ELI
日本に行くことはBlood Farmersでやり遂げた究極の出来事だった。バンドを始めた頃は、20年後に日本ツアーをして、今より半分の年齢の時に作った曲をプレイできるなんて夢にも思っていなかった。日本をツアーできたことに今でも驚いているよ。俺たちがやってきたすべての作業、すべての失望にはそれだけの価値があったんだと思わせてくれた。日本で出会った人たちのどんな些細なことでも俺たちには衝撃だったからね。また日本へ行きたいよ。

DAVE
あのツアーでLeaf Hound Recordsのトレノ、Church of Misery, Eternal Elysium, Ogreと過ごせたのは最高の思い出だよ!もっといろいろ覚えていられたらと思うけど、記憶が曖昧なんだ。
OgreのRossとWillは自分達のバンドと同じようにBlood Farmersでもプレイしてくれた。彼らに感謝とクレジットを捧げるべきだな! Rossは俺の従兄だから家族旅行でもあったんだ。

俺は富士山を見て、畏敬の念に打たれたんだ。本当に素晴らしかった。東京での公演は今までで最高の観客とフィーリングで夢中になったよ!
また日本に戻れたらと思うよ。そうすれば、次はもっと多くのことを覚えていられるからね。

 

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ELIが提供してくれた2008年来日公演時の写真

――Blood Farmersの次の予定はありますか? ファンはツアーを心待ちにしていると思いますよ!

int 018 b 009 - 「ドゥームに帰するなら、どんなことでもできるんだ」19年ぶりの新作をリリースした“血まみれ農夫”Blood FarmersインタビューELI
また日本に行きたいよ!
俺はResurrection Productionsと共に小さなリイシュー・レーベルを始めているんだ。俺のお気に入りの初期ヘヴィ・ミュージック、Randy Holdenの“Population II”を貴重な写真とデラックス・パッケージでリイシューする。偉大なクラシックや未発表のものまで、色々と控えているよ。

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

ELI
俺たちに会いに来てくれたり、CDを買ってくれる全ての人に感謝している。
俺たちの音楽を聞いてくれる世界中の人に感謝しているよ。

DAVE
バンドをサポートしてくれてありがとう! また日本でプレイできる日が来ることを願っているよ!

 

 

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時代を駆け抜ける恍惚ドラマー! 通称ナベさん! 渡辺昭司 Watanabe Shouji インタビュー

2013年 写真・聞き手 川保天骨

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※このインタビューは『ペキンパー第参号』に掲載されたものです。

知る人ぞ知るフリージャズのドラマーとして還暦を超えた現在でも都内ライブスタジオで精力的にライブをこなしている渡辺昭司さん。彼が単なるミュージシャンではない事はこのインタビュー記事と付録DVDに収録した映像を見てもらえば読者にも分かってもらえると思う。面白い! カッコイイ! そして男の色気がある! ペキンパー読者にぜひその存在を知ってもらいたく、ご登場願った次第。

※インタビュー記事は実際のインタビューを分かりやすくまとめたもので、実際に本人がしゃべった言葉通りではありません。あくまでもインタビュー映像の補足ですので、ぜひ映像をご覧ください!

――今日はよろしくお願いいたします!

渡辺
こちらこそ。よろしくお願いいたします。

――今日はナベさんの昔の話、特に70年代、ナベさんが若者だったころの事を聞きたくて。というのも、私は1970年生まれなんですが、70年代の音楽とか映画、演劇、マンガなど、とにかくあの時代に創作されたモノに凄く惹きつけられるんですよ。60年代でも80年代でもない。とにかく70年代的なものに目がないんです。ナベさんは70年代から現在まで音楽をやり続けてるわけですけど、70年代当時の状況についてお聞かせください。

渡辺
福生に住んでて、バンド組んだんですよ。そこから始まってますね。

――70年代にバンド組むってどういう感じなんですか?今と違いますか?

渡辺
違いますね………。もっとバカでした。なりふり構わずっていう感じで。………、今の人は格好つけてる感じが多いでしょ。

――その当時は、どんな人たちが周りにいたんですか?

渡辺
その当時、福生って特別な場所だったんですよ。米軍ハウスがあって、絵描きさんとかバンドマンとかヒッピーみたいなのとか沢山住んでるんですよ。そういう場所に住んでましたから刺激的でしたね。あの頃はフランス哲学っていうのが学生のシンボルだったんですよ。憧れっていうのもありましたが。サルトルの『存在と無』とか、その辺は分かんないんだけど読んでましたね。ミッシエル・フーコーとかね。一時的ですけどね。それがフリージャズに向かう起点になったかもしれないですね。

――フリージャズですか。なべさんはドラムなので、色々な人と組めますよね。

渡辺
僕はでも、10何年かドラムやめてたんですよ。30後半からだいたい50になるぐらいまで叩いてないです。南米から帰ってきて、再び叩き始めたんで、ブランクがあるんです。

50歳で南米に渡る!

――南米はどうでした?

渡辺
南米いる時はよく現地の人と間違われましたね。

――ナベさん、インディアンみたいな風貌ですもんね。

渡辺
おばあちゃんの祖先をたどると、ちょっとだけ入っているらしいですね。

――ナベさん若い時はモテたでしょ?

渡辺
モテはしなかったけど、自分から女の子にアタックしてましたね。飲みに行ってきれいな子がいたら「きれいだね」って言うし、デートしたいと思ったらデート申し込む。断られても特に気にしないですね。未だに言っちゃうんですよね。こんな還暦過ぎてんのに。

――そうですか~。そういう風に中々言えない人が多いんじゃないですか?

渡辺
それはね、バカじゃないんですよ。自分が自分の事バカだと思ってれば、どんな事言われたって大丈夫でしょ。でもその前に本当にキレイだって思ったら言ってるからね。嘘ついてきれいだって言ったらバレますよ。僕は本気になって言いますからね。きれいだって。あと、自分がいい男だって思わない事ですね。『僕なんかこんなもんだ! でも君はきれいだね!』その気持ちを持ってるといいですよ。

――なんか、ナベさんお恋愛教室みたいになってますね。

渡辺マイカのキングストンで知り合った友達でサンディーっていう女の子がいたんです。僕は安いコテージに泊ってたんですが、やってきて「あんた、ドラム叩けるなら、来なさい」ってそのままアメリカ人専用のホテルに連れていかれて、そこのバンドのドラムに入れられたの。ゲストで。すごくいいホテルでね、現地の人は入れないような高級ホテル。ドラム叩いてればタダで酒飲めるって言うんで、そりゃあ、叩きますよ。帰りにね、チップと一緒に特殊なタバコくれたりね。そのサンディーって女の子と次の日町にいたら、地元のラスタマンみたいなのが「マッシュル~ム、マッシュルーム」ってブラックマッシュルーム売りに来るんですよ。「ナンボだ?」って聞いたら「1ドルでいい」って言うんで「サンディー、今日はマッシュルームの日にするか!」ってなってマッシュルーム買って、そのまま二人で海を見てた事がありましたね。

――海見てたんですか………。

渡辺
その日の夕方からね。海が津波ですよ! もう! 正気に戻ったのは次の日の夕方ですから。

――丸一日トリップですか!

渡辺
ジャマイカでね、ポリスステーションの前でね、ラスタマンが葉っぱ売ってんですよ。ポリスとしてはそんな奴を捕まえても留置所でタダメシ食って釈放なんだから、捕まえない方がいいって感じなんですね。それで、近づいて行くと「ガンジャ、ガンジャ」って言うから「テイスティング プリーズ?」って。一発で効いた。「買った~!」ってね。そんな感じ。

――すごいですね、それは。

渡辺
まあ、でも30年ぐらい前ですから、今はもっと厳しくなってるかも知れませんね~。

まだまだ話は尽きないのだが……
ナベさんのナマな声がもっと聞きたい人は、ペキンパー第参号付録DVDをぜひ見て欲しい。

 

マジカル・パワー・マコとの音楽活動

ナベさんはマジカル・パワー・マコがバンド形態で活動していた1970年代初頭、行動を共にしていた。

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この雑誌記事は日本版「ローリングストーン」誌(1975年11月号)でその活動が取り上げられた時の記事。当時の雰囲気が凝縮された写真や記事が満載されていた。

 

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「ローリングストーン VOL.25」
(1975年11月号)の表紙。

 

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マジカル・パワー・マコ

 

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ナベさんの若いころの写真。

「幸運な事に、僕はIdes of Geminiの記事を書く必要が無いからね」“ドリーミィ・ドゥーム” Ides of Geminiインタビュー

2014年4月 聞き手:Trip Thru Records
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本日はIdes of Geminiのインタビュー。
“ドリーミィ・ドゥーム”とも形容される彼らは、2012年にNeurosisが運営するNeurot Recordsからアルバムをリリース。昨年にはGhostの北米ツアーに同行、今後に注目が集まっている。
バンドのギタリストで、Revolver, Decibelといった大手メタル系雑誌でジャーナリストとして活動してきた経験を持つ(ドキュメンタリー映画『サッチ・ホークス・サッチ・ハウンズ』にも出演している)J.Bennettに話を聞いた。

――時間を取って頂きありがとうございます。初めに、Ides of Geminiの成り立ちを教えてください。

J.Bennett(以下J)
2010年にSeraと僕で始めた。彼女の前のバンドBlack Math HorsemanがオランダのRoadburn festivalでプレイするはずだったんだけど、アイスランドで火山の噴火が起きたせいで飛行機が飛べなくなってしまった。
その時、僕はBlack Math Horsemanのローディだったんだ。僕らは文字通り、離陸するのを待っていた状態だったんだけど、引っ張り出されてキャンセルになった。
ロスにある家に足止めされていた時、Seraと曲を作った。その時の曲がファーストEP The Disruption Writ’s (※1)だよ。

 

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(※1) The Disruption Writ’s 2013年リリース。

 

――あなた達の出身はどこですか?現在の拠点は?

J
Sera(vocals and bass)はNorth CaliforniaのSanta Cruz Mountains、Kelly(drums)はDetoroit、僕はMassachusetts出身。今はみんなロサンゼルスに住んでいるよ

――Ides of Gemini以前にバンドでプレイしたことはありますか?

J
Kellyと僕はないけど、Seraはいくつかのバンドでプレイしていた

――ミュージシャンとして、どんなバンド/アーティストから影響を受けていますか?

J
SeraとKellyについて僕の口からは言えないな。僕はPhilip Lynott, Richard Pryor, Harry Crewsの作品が好きだよ。

――あなたはジャーナリストとして長く活動されてきましたね。その経験はバンド活動に役立っていますか?

J
ジャーナリストとして働いて、バンド活動に非常に参考になっている人々と出会えたよ。だけど、ジャーナリストとして得た経験で最も役立っているのは、僕が好きじゃない事、Ides of Geminiとしてやりたくない事についてのクリアなビジョンだ。
多くの可能性を与えてくれた事には今も感謝しているよ。

――2012年にVermapyreとのスプリット(※2)をリリースされましたね。どのような経緯でしたか?

J
Vermapyreとのスプリットは、ロサンゼルスでDewid Hellionに彼のバンドIntegrityについてインタビューした後日に決まったんだ。僕らは音楽について語り終えて、作業に取り掛かった。彼にIdes of Geminiの曲を送ったら彼が気に入ってくれて、彼の新しいプロジェクトVarmapyreと一緒にスプリットを出さないかと提案してくれた。彼はMagic Bullet RecordsのBrent Eyeatoneにリリースの約束も取り付けてくれた。

 

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(※2) Vermapyre & Ides of Gemini “split” LP 2012年リリース。

――Ides of Geminiはブラック・メタルと関連付けられる事が多いですね。また、誰かが“Dreamy Doom”とも形容していました。ご自身ではIdes of Geminiのサウンドをどう説明されますか?

J
僕は自分の音楽については説明しないよう努めている。幸運な事に、僕はIdes of Geminiの記事を書く必要が無いからね。僕らの音楽を説明するのは、他の人の仕事だよ。

――作曲のプロセスについて教えてください。グループによる総合的なものですか? それとも個人の手によるものですか?

J
総合的なものだ。でも、ほとんどのパートは各人が個人で書いている。通常、僕が最初にギター・パートを書いてから、Click Trackで基本的なアレンジを加える。それから、KellyとSeraが自分達のパートを書いて、みんなで練習して仕上げる。

――昨年、Ides of GeminiはGhostと北米ツアーをしましたね。どうでしたか?

J
とても素晴らしかったよ。Ghostの連中はスーパー・クールで、僕たちにとても良くしてくれた。宝くじを当てたような、大勢の観客の前でプレイしたんだ。毎晩、500~1500人規模の会場で、ほとんどのショウはソールド・アウトだった。
観客はあらゆる年齢層の人がいたよ。僕らは前座だったから、多くの感受性豊かな人たちの前でプレイできた。またとない経験だったね。機会を与えてくれたGhostにとても感謝している。

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――最近はどんなバンド/アーティストのアルバムを楽しんでいますか?読者におススメがあったら教えてください。

J
Tears for Fearsの”The Hurting”が好きでよく聴いているけど、これは古いな。
最近のだと、In Solitudeの新作(Sister)とThe Uncle Acid and The Dead Beatsの新作(Mind Control)、Persekutorというバンドの7インチを聴いているよ。

――あなたは多くの形式で作品をリリースしています。カセット、CD、デジタル、ヴィニール。あなたはどんな形で音楽を聴く事を好まれますか?

J
状況によるね。家にいる時は可能な限りヴィニールで聴いているよ。だけど、ツアーなどで家を離れている時は、カセットや誰かのipodで音楽を聴いている。僕たちみんな、この三つの形で音楽を聴くのが好きだと言えるかな。

――2014年の予定はありますか?

J
来週から9月にリリースする新しいアルバムのレコーディングに入るんだ。秋にツアーを開始出来たらいいなと思っている。その合間に、ラスベガスのDoom In June festivalでプレイするんだけど、サプライズで新しいアルバムから何曲かやる予定だよ。

――最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

J
日本に行ってプレイすることが僕たちにとってひとつの大きな夢なんだ。そのうち実現出来ることを願っているよ!

 

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「ドゥーム・シーンは有名になりたがっているヒップスターやポーザーで溢れていると思うね」 オランダの“Blasphemous Boogie”バンド Acid Deathtrip

2014年4月 聞き手:Trip Thru Records

int 010 b 001 - 「ドゥーム・シーンは有名になりたがっているヒップスターやポーザーで溢れていると思うね」 オランダの“Blasphemous Boogie”バンド Acid Deathtrip 今回はオランダのAcid Deathtripのインタビュー。
オランダのデス/グラインド系バンドのメンバーによって結成された5人組で、2013年にEPをリリース。
そしてこの度、梵天レコード内のレーベルTrip Thru Recordsより6月6日に発売予定の
Doom/Stoner/Sludgeコンピレーション“All The Witches’ Day”に参加してくれたバンドだ!
Skullhog, Blind to FaithのメンバーでもあるドラムのRobが答えてくれた。

――時間を取って頂きありがとうございます。初めに、Acid Deathtripの歴史と、現在のラインナップを教えてください。

Rob Nabbe(以下R)

勿論。Acid Deathtripが活動を始めたのはここ数年だけど、バンドのメンバーはHC/Grind/Metal アンダーグラウンド・シーンの”ベテラン”なんだ。ラインナップは不変で、みんな90年代初期からバンドで活動している。俺たちの古い、そして現在のバンドをいくつか挙げると、Insult, Bile, Mangled, Collision, HSML, The Bastards, Suppository, Blind to Faith, Skullhog, Starve, Left For Dead (カナダ)。

HSMLは俺たちが2000年代始め頃にプレイしていたSludge’n Roll バンドで、2003年にLP/CDを一枚、2005年頃にスプリットをリリースした。

数年前にHSMLのメンバーで再びジャムをやるようになったことでAcid Deathtripが結成されたが、今は新しいヴォーカルがバンドに全く異なったヴァイヴを齎しているよ。

ラインナップは、
Bobby – Vocals
Boris – Bass
Grizzly Rob – Guitars
Willem-Jan – Guitars
Rob Nabbe – Drums

現在はオランダのReflections recordsからLP/CD、 cassette E.Pをリリースしている。(※1)
Hangman’s Chairとのスプリットも二カ月以内にそこからリリースするよ。

 

int 010 m 002 - 「ドゥーム・シーンは有名になりたがっているヒップスターやポーザーで溢れていると思うね」 オランダの“Blasphemous Boogie”バンド Acid Deathtrip
(※1) Acid deathtrip 2013年リリース。

――Acid Deathtripを聴いたことが無い読者のために、どんなサウンドか説明して頂けますか?

R
俺たちのサウンドはよくStonerrock, Death’n Roll, DoomrockかSludge’n Rollと説明されるが、俺たちは的外れな分類から離れて、”Blasphemous Boogie”と呼んでいる。

“Blasphemous Boogie”がどんなサウンドかと聞かれたら、heavy Rock and RollとDoomに、各メンバーが受けたDeath metalからSludgeまでの影響のミクスチャーと答えるね。
特に、Bobのヴォーカルはサウンドに異なるツイストを与えている。(どんなサウンドかは)みんなに決めてもらいたいよ。

――Acid Deathtripというバンド名の意味、由来は何ですか?

R
名前は文字通り、ドラッグによる自殺を意味している。
コンピに収録した曲(“Deathtrip”)の歌詞が、俺たちの名前について説明しているよ。

――ミュージシャンとして、どんなバンド/アーティストから影響を受けていますか?

R
影響を受けたリストを作ればエンドレスだな。
アルバムを二枚挙げるとしたら、Entombed “Wolverine Blues”とIron Monkey “Our Problem”

――Acid Deathtripの歌詞は何に影響を受けていますか?

R
歌詞はBobと俺で、殺伐としたものになるまで煮詰めて書いている。奇妙で、多くはネガティヴな歌詞に、ユーモラスなツイストを散りばめたものだ。
歌詞はバンドや人物に影響を受けたものではなく、多くは確たる書き方から生まれたものだ。歌詞のヴァイヴは、音楽から作り出された結果だね。

――あなたはどこの出身ですか? Acid Deathtripの現在の拠点はどこですか?

R
俺たちはオランダのHorstという場所のバンドだ。

――あなたはSkullhogとBlind to Faithのメンバーとしても知られていますが、メイン・バンドはどれですか?

R
全部が俺のメイン・バンドだよ。どのバンドもプロジェクトだと考えたことはないが、Blind to Faithは年に数回しかショウをやらないし、ショウか新しいアルバムを作りたい時にしか集まってリハーサルをやらないから、そう見えるかもな。だからBTFはAcid DeathtripとSkullhogのスケジュールの妨げにはなっていないよ。
Acid Deathtripはライブやリハーサルをやるようになってからは最もアクティヴなバンドだ。
複数のバンドに参加することはキツい時もあるが、どれも俺のはけ口で、違ったスタイルの音楽をプレイできることを楽しんでいるよ。うん、どれもいいよ。

――オランダの音楽シーン、最近のドゥーム・シーンについて、あなたはどう思っていますか?


R

様々な場所から多くのバンドが出てきているが、Acid Deathtripは“ドゥーム・シーン”の中だけでプレイすることに集中していない。出来る限り多様なショウでプレイしたいと思っているよ。
“worship the riff”(陳腐でくだらないフレーズだ)なクールなバンドがたくさん出てきている。

90sスタイルのugly-ass Sludgeが好きならThrow Me In The Craterがオススメだ。
完全にPessimiser/Bovine recordsスタイルだよ。
彼らはデモをLPにプレス(あるべき姿だ)して、NoothgrushとRoadburnなど短いユーロ・ツアーを行うよ。

No Gods No Mastersはsmoked out riffsにメタル・コア・タイプのチャギングがあるSludgeバンドだ。何かでIron MonkeyとCro-Magsの名前が挙がっていたけど、俺が彼らのライブを観て、素晴らしいデモを聴いた時はBongzillaとIron Monkeyが思い浮かんだよ。

あと、Swamp MachineはToner Low, Herderなどと並んで有名になっているね。
ダウンチューンされたスローな音楽が好きなら、これで十分だろう。

ファストな音楽も同じように良いよ。メタルだと、VillainyとEntrapmentが俺のお気に入りだ。

とは言っても、ドゥーム・シーンは有名になりたがっているヒップスターやポーザーで溢れていると思うね。
俺の意見では、スラッジはパンクに属するもので、グラビア雑誌やitunes、流行りのフェスは似合わない。
ドゥーム・メタルはメタル・シーン全体の一部で、弱く、つまらなくなっている。
あまりに多くのバンドが、少なすぎる喜びと、わずかな客数のショウ、わずかなレコード・セールス、無関心、何でもいいが
……その結果として、すべての余剰と完全な負担を背負っている。

アンダーグラウンドからゆっくりと新しい、エキサイティングなバンドが誕生しているのを知るのは良いよ。特に、最近のデス・ メタルはね。

――“All The Witches’ Day”に参加して頂きありがとうございます。何かコメントを頂けますか?

R

誘ってくれてありがとう。みんな曲をチェックして、気に入ってくれたら、whorebook、つまり、facebookからメールしてくれ。

――コンピに参加しているバンドで、知っているバンドはありますか?

R
ああ、Starveは勿論知っているよ。GuevnnaもRyo(Guevnna, 元Coffins)を通して知っている。Conanもいくつか作品を聴いたことがあるよ。他のバンドは、きっと俺を驚かせてくれるだろう。

――Acid Deathtripの次の予定を教えてください。


R

Reflection RecordsからパリのHangman’s Chairとのスプリットを二カ月以内に出すよ。
それから、新しいフル・アルバム用の曲を書いて、レコーディングして、オークランドのSerpents of Dawnとのスプリットをリリースする予定だ。

あとは、ライブを再開して、このバンドでツアーできたらと思っている。

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。


R

日本の仲間、Ryo, Tak, Uchino, Satoshiに感謝を伝えたいよ!UGH!!

 

この記事を英語で読む。 Read this article in English.

 

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「Red FangやDanava、Lord Dyingといったバンドのおかげで、 ポートランドはヘヴィな音楽を愛する街として認知され始めているね」ポートランドのストーナー・ロック・トリオSons of Hunsインタビュー

[:ja]
2014年4月 聞き手:梵天レコード

int 009 b 001 - 「Red FangやDanava、Lord Dyingといったバンドのおかげで、 ポートランドはヘヴィな音楽を愛する街として認知され始めているね」ポートランドのストーナー・ロック・トリオSons of Hunsインタビュー

今回はポートランドのストーナー・ロック・トリオSons of Hunsのインタビュー。
ポートランドといえば、Red FangやYobなど、刺激的なバンドを多数輩出している街だ。
そこから新たに登場したSons of Huns。前述のバンド達のように、どこかひねくれた、一筋縄ではいかないサウンド。それがポートランド“らしさ”なのかもしれない。

ドラムのRyan Northropが答えてくれた。

――初めに、時間を取って頂きありがとうございます。そして、「ペキンパー」にようこそ!
Sons of Hunsの歴史を教えて頂けますか?

Ryan Northrop(以下、RN)
勿論。俺たちは2009年の秋頃、別のバンドで活動していた。
Peter(guitar)はShoki(bass)とバンドを組んでいた。そこではShokiはドラムをプレイしていて、俺はShokiがベースを弾くバンドでドラムをプレイしていた。
PeterとShokiのバンドの最後のショウを観に行って、俺はPeterのプレイに惚れこんで、彼にロック・バンドを組まないかって言った。
俺たちはアメリカ北西部のガレージ・バンド、The Sonicsが大好きで、彼らのような曲を書こうとしていたら、それがSons of Hunsになった。
俺たちは7インチEPと、アルバムをリリースしているよ。

――Sons of Hunsの現在のラインナップを教えてください。

RN
Shoki Tanabe (bass)
Ryan Northrop (drums)
Peter Hughes (guitar)。

――Sons of Hunsを聴いた事が無い読者のために、どんなサウンドか説明していただけますか?

RN
俺たちはアメリカ、オレゴン州ポートランドのロックンロール・バンドだ。俺たちはFuzzを愛しているよ。

――Sons of Hunsというバンド名の意味、または由来は何ですか?

RN
バンド名を考えるのは難しい。それに、俺たちは韻を踏みたかったんだ。
フン族はブルータルな民族だし、俺たちのサウンドをとてもよく表していると思うよ。

――ミュージシャンとして、どんなアーティスト/バンドから影響を受けましたか?

RN
良い事に、俺たちみんな同じようなバンドから影響を受けているんだ。Black Sabbath, The Sonics, The Monks, Motorhead……etc。

――アルバムのリリースおめでとうございます。Easy Rider Recordsからのリリースですが、どのようにして実現したのですか?

RN
インターネットで、新進気鋭の素晴らしいストーナー・ロック・レーベルがあると知ったんだ。俺たちはちょうどアルバムのレコーディングしたところだった。俺たちはどうしても良いレーベルからリリースしたかったから、Easy Rider Recordsのオーナー、Daniel Hallに音源とメールを送ったら、彼が興味を示してくれたんだ。後はご存知の通りだよ。

――“Banishment Ritual”(※1)はヴィニールでリリースされましたが、あなたたちはヴィニールのファンですか?

RN
俺たちはヴィニールの大ファンだよ。音も良いし、俺たちのファンは俺たち以上だろう。形のある、スペシャルなものを手にするんだから。

 

int 009 m 003 - 「Red FangやDanava、Lord Dyingといったバンドのおかげで、 ポートランドはヘヴィな音楽を愛する街として認知され始めているね」ポートランドのストーナー・ロック・トリオSons of Hunsインタビュー
(※1) Banishment Ritual 2013年リリース。

――アルバムのアートワークはトリッピー、スペーシーで素晴らしいですね。誰の手によるものですか?

RN
俺たちの友人、Adam Burkeだ。素晴らしいアーティストだよ。アルバム全てのアートワークを手掛けている。“Leaving Your Body 7″”(※2)も彼の手によるものだ。

int 009 m 002 - 「Red FangやDanava、Lord Dyingといったバンドのおかげで、 ポートランドはヘヴィな音楽を愛する街として認知され始めているね」ポートランドのストーナー・ロック・トリオSons of Hunsインタビュー
(※2) “Leaving Your Body 7″” 2012年リリース。

――“Super kanpai rainbow”という曲について聞きたいのですが、“kanpai”とは日本語の乾杯のことですか?

RN
そうだよ。ベーシストのShokiが日本語を話せるし、面白い名前だと思ってね。

――あなたはSFの大ファンのように思えますが、特定の映画やTVショウから影響を受けていますか?

RN
俺たちみんなSFが大好きだ。レイ・ブラッドベリやアイザック・アシモフ、H.P.ラブクラフトなどを読んで育ったんだ。

――ポートランドの音楽シーンについて教えて頂けますか?

RN
ポートランドには音楽好きのための何かがあるよ。大きな街ではないけど、大きな街に負けないくらいアートを排出しているし、影響力を持っている。

長いことポップスやインディー・ロックの街として知られていたけど、もっとヘヴィな音楽……Red FangやDanava、Lord Dyingといったバンドのおかげで、ポートランドはヘヴィな音楽を愛する街として認知され始めているね。

――最近はどんなバンド、アーティストのアルバムを楽しんでいますか? 読者におススメがあったら教えてください。

RN
Windhand, Klevertak, Christian Mistress, Danava, Lord Dying, Billions and Billionsなどを良く聴いているよ。

――Sons of HunsはRed Fang, Danavaといったクールなバンドと一緒にプレイした事がありますね。やってみてどうでしたか?

RN
期待通りの素晴らしさだったよ! 素晴らしいバンドと一緒にプレイ出来る事を幸運に思っているよ。

――ライブやツアーでの面白いエピソードはありますか?

RN
俺たちのライブを観に来れば、踊って楽しむことが出来るよ。でなけりゃ、Peterのギターが君に大目玉を喰らわすだろう。

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

RN
日本のクルー、タカコ、シンジ、シンペイ、ユウスケ、ヒデアキに感謝を伝えたいよ!
日本のファンみんなに感謝している。君たちに会って、一緒に楽しめる日が来るのを楽しみにしているよ!

この記事を英語で読む。 Read this article in English.[:en]

2014年4月 聞き手:梵天レコード

int 009 b 001 - 「Red FangやDanava、Lord Dyingといったバンドのおかげで、 ポートランドはヘヴィな音楽を愛する街として認知され始めているね」ポートランドのストーナー・ロック・トリオSons of Hunsインタビュー

今回はポートランドのストーナー・ロック・トリオSons of Hunsのインタビュー。
ポートランドといえば、Red FangやYobなど、刺激的なバンドを多数輩出している街だ。
そこから新たに登場したSons of Huns。前述のバンド達のように、どこかひねくれた、一筋縄ではいかないサウンド。それがポートランド“らしさ”なのかもしれない。

ドラムのRyan Northropが答えてくれた。

――初めに、時間を取って頂きありがとうございます。そして、「ペキンパー」にようこそ!
Sons of Hunsの歴史を教えて頂けますか?

Ryan Northrop(以下、RN)
勿論。俺たちは2009年の秋頃、別のバンドで活動していた。
Peter(guitar)はShoki(bass)とバンドを組んでいた。そこではShokiはドラムをプレイしていて、俺はShokiがベースを弾くバンドでドラムをプレイしていた。
PeterとShokiのバンドの最後のショウを観に行って、俺はPeterのプレイに惚れこんで、彼にロック・バンドを組まないかって言った。
俺たちはアメリカ北西部のガレージ・バンド、The Sonicsが大好きで、彼らのような曲を書こうとしていたら、それがSons of Hunsになった。
俺たちは7インチEPと、アルバムをリリースしているよ。

――Sons of Hunsの現在のラインナップを教えてください。

RN
Shoki Tanabe (bass)
Ryan Northrop (drums)
Peter Hughes (guitar)。

――Sons of Hunsを聴いた事が無い読者のために、どんなサウンドか説明していただけますか?

RN
俺たちはアメリカ、オレゴン州ポートランドのロックンロール・バンドだ。俺たちはFuzzを愛しているよ。

――Sons of Hunsというバンド名の意味、または由来は何ですか?

RN
バンド名を考えるのは難しい。それに、俺たちは韻を踏みたかったんだ。
フン族はブルータルな民族だし、俺たちのサウンドをとてもよく表していると思うよ。

――ミュージシャンとして、どんなアーティスト/バンドから影響を受けましたか?

RN
良い事に、俺たちみんな同じようなバンドから影響を受けているんだ。Black Sabbath, The Sonics, The Monks, Motorhead……etc。

――アルバムのリリースおめでとうございます。Easy Rider Recordsからのリリースですが、どのようにして実現したのですか?

RN
インターネットで、新進気鋭の素晴らしいストーナー・ロック・レーベルがあると知ったんだ。俺たちはちょうどアルバムのレコーディングしたところだった。俺たちはどうしても良いレーベルからリリースしたかったから、Easy Rider Recordsのオーナー、Daniel Hallに音源とメールを送ったら、彼が興味を示してくれたんだ。後はご存知の通りだよ。

――“Banishment Ritual”(※1)はヴィニールでリリースされましたが、あなたたちはヴィニールのファンですか?

RN
俺たちはヴィニールの大ファンだよ。音も良いし、俺たちのファンは俺たち以上だろう。形のある、スペシャルなものを手にするんだから。

 

int 009 m 003 - 「Red FangやDanava、Lord Dyingといったバンドのおかげで、 ポートランドはヘヴィな音楽を愛する街として認知され始めているね」ポートランドのストーナー・ロック・トリオSons of Hunsインタビュー
(※1) Banishment Ritual 2013年リリース。

――アルバムのアートワークはトリッピー、スペーシーで素晴らしいですね。誰の手によるものですか?

RN
俺たちの友人、Adam Burkeだ。素晴らしいアーティストだよ。アルバム全てのアートワークを手掛けている。“Leaving Your Body 7″”(※2)も彼の手によるものだ。

int 009 m 002 - 「Red FangやDanava、Lord Dyingといったバンドのおかげで、 ポートランドはヘヴィな音楽を愛する街として認知され始めているね」ポートランドのストーナー・ロック・トリオSons of Hunsインタビュー
(※2) “Leaving Your Body 7″” 2012年リリース。

――“Super kanpai rainbow”という曲について聞きたいのですが、“kanpai”とは日本語の乾杯のことですか?

RN
そうだよ。ベーシストのShokiが日本語を話せるし、面白い名前だと思ってね。

――あなたはSFの大ファンのように思えますが、特定の映画やTVショウから影響を受けていますか?

RN
俺たちみんなSFが大好きだ。レイ・ブラッドベリやアイザック・アシモフ、H.P.ラブクラフトなどを読んで育ったんだ。

――ポートランドの音楽シーンについて教えて頂けますか?

RN
ポートランドには音楽好きのための何かがあるよ。大きな街ではないけど、大きな街に負けないくらいアートを排出しているし、影響力を持っている。

長いことポップスやインディー・ロックの街として知られていたけど、もっとヘヴィな音楽……Red FangやDanava、Lord Dyingといったバンドのおかげで、ポートランドはヘヴィな音楽を愛する街として認知され始めているね。

――最近はどんなバンド、アーティストのアルバムを楽しんでいますか? 読者におススメがあったら教えてください。

RN
Windhand, Klevertak, Christian Mistress, Danava, Lord Dying, Billions and Billionsなどを良く聴いているよ。

――Sons of HunsはRed Fang, Danavaといったクールなバンドと一緒にプレイした事がありますね。やってみてどうでしたか?

RN
期待通りの素晴らしさだったよ! 素晴らしいバンドと一緒にプレイ出来る事を幸運に思っているよ。

――ライブやツアーでの面白いエピソードはありますか?

RN
俺たちのライブを観に来れば、踊って楽しむことが出来るよ。でなけりゃ、Peterのギターが君に大目玉を喰らわすだろう。

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

RN
日本のクルー、タカコ、シンジ、シンペイ、ユウスケ、ヒデアキに感謝を伝えたいよ!
日本のファンみんなに感謝している。君たちに会って、一緒に楽しめる日が来るのを楽しみにしているよ!

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