「どこから来て、どこへ行くか……金星より先には行きたいですね」約1年ぶりとなる 新作”Faith, Hope and Charity”をリリースしたZOTHIQUEインタビュー。

聞き手:梵天レコード
2015年7月26日 秩父ladderladderにて
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東京拠点のサイケデリック・ドゥーム/スラッジ・バンドZOTHIQUEが約1年ぶりとなる三枚目のアルバム“Faith, Hope and Charity”をリリースした。独自の世界観を保ちつつ、各メンバーの血であり、バンド・サウンドの構成要素たるドゥーム、スラッジ、ハード・ロック、サイケ、ハードコア、ノイズ、アンビエント…etcを一つに纏め上げるのではなく、それぞれを際立たせるという手法を用いて紡がれた本作は、味わい深く何度も繰り返し聴きたくなる傑作だ。形骸化したドゥームやスラッジに飽いている人にこそ強くお勧めしたい。
東京のストーナー・バンドGUEVNNAとフランスのスラッジ・バンドAGUIRREとの10日間ツアー最終日に、メンバー全員から話を聞くことができた。

尚、結成の経緯や1st、2ndアルバム等についてのインタビューは現在発売中のペキンパー第五号に掲載しておりますので、そちらも是非ご拝読ください。

※本文中にホイヘ・ルイス・ボルヘス著「円環の廃墟」とアーヴィン・S・コッブ著「信仰と希望と愛と」のネタバレが含まれています。ご注意ください。

――今日はAGUIRRE、GUEVNNAとの10日間ツアーの最終日ですが、やってみてどうでしたか?

Shusuke Shimonaka(Vocal and Guitar)
10日間連続のツアーはメンバー全員初めてで、なかなか感慨深いな、と。7ヶ月間ブランクがあって、ライブの感覚を取り戻しながら。

Jah Excretion(Bass and Drone)
去年5日間、DRAGGED INTO SUNLIGHT(UK)とツアーした時は5日目とかバテバテで、今回は10日は無理かと思ってたけど意外と大丈夫。ツアーすることに慣れてきたというか。去年も2回やってるし。

Darklaw(key, Noise, Buckground Vocal)
途中バテバテだったけど取り戻してましたね。

Koji Ueno(Drums)
まだやり足りない感じが。

――ツアーに合わせて約1年ぶり、三枚目のアルバム”Faith, Hope and Charity”がリリースされました。これまで1年に1枚のペースでアルバムをリリースしていますが、これは意図したことなのですか?

Shusuke
今回のツアーの話を去年から頂いていて、どうせならそのタイミングで出そうと思って。去年もたまたまRoad to HellからDRAGGED INTO SUNLIGHTとのツアーの話がきていて。アルバム出すならそのタイミングに合わせよう、という去年とまったく同じような流れです。あと、やっぱりコンスタントに作品出して行くのは大事だと思うので。意図していたといえば、ある程度そういう狙いはあったと思います。

――今回のアルバムから作曲に各メンバーがクレジットされていますね。

Shusuke
今までの曲は殆ど僕が作るかもしくはDarklawが部分的に作曲を担当して、それを全員でアレンジしていくという流れだったんですが、今回は楽曲ごとのテーマ(題材)をまず決めた上で、それぞれのメンバーが楽曲のアイデアを持ち込むという形をとりました。曲によって作曲者のスタイル、雰囲気の違いが如実に出てるかな、と。

――メンバーのキャラが立ってるなと思いました。誤解を恐れずに言えばバラバラの曲なんですけど、ZOTHIQUEのバンドカラーで統一されているというか。

Shusuke
バラバラのミュージシャンの集合体なんで、そこが際立ちましたね。

――クラシック・ロックのアルバムに近いような感覚があって。The Beatlesじゃないですけど、ポールの曲、ジョンの曲、みたいな。

Shusuke
確かにちょっと昔っぽいですね。

Jah
でも、自分の好きな感じを作るというよりは、あくまでもZOTHIQUEで、っていうのは考えていたけど。

――1曲ずつコメントをお願いできますでしょうか。1曲目はJahさん作曲の”Venus I”。

Jah
シュウ君からVenus(金星)っていうテーマで曲を作って欲しいっていうことで。なので、金星に旅立つ、金星に行けちゃうぐらいな曲を、みたいな感じで。

Shusuke
金星っていう存在に、ものすごく魅かれていて。気温400度ぐらいのとんでもない惑星です。単なる想像ですが、そこに人智を超えた凄まじいエネルギーや生命力のようなイメージを結びつけていました。金星をテーマにしたSF作品も好きだったので、金星をテーマに曲を作ってくれないかなっていうのが始まりで。金星良いなあって。

Jah
作る時にパソコンで金星の画像を探して、それを見ながら。

一同
(笑)

Jah
youtubeの金星の画像と一緒にアンビエントみたいな音楽が流れていて、それがリフといい感じに合って(笑)。

――次の”The Tower of White Moth”と5曲目の”The Circular Ruins”はデモ音源に収録されていた楽曲ですが、こちらは現メンバーでの再録でしょうか?

Shusuke
再録ですね。あれを録ったのは2010年とかだったので、メンバーも違うし、正式なアルバムの曲としては出していなかったのでこの際録り直してみようと。当時に比べれば表現力にも少しは幅が出てきていると思ったので。

――再録の2曲の歌詞について教えてください。

Shusuke
“The Tower of White Moth”はフィクションです。ざっくり言うと、男が無数の白い蛾の群れに追われて正気を失い、群れの中で女王蛾に誘われて自分もサナギとして生まれ変わりたいという欲求に取り憑かれていくという内容です。ひたすらグロくて不快なだけで、深い意味はありません。
“The Circular Ruins”はアルゼンチンの作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編をベースにしています。「円環の廃墟」という邦題で和訳も出ています。「自分が夢を見ているつもりが、誰かに夢見られていた」というくだりがあるんですが、存在の不確かさに対する人間の不安を如実に現しているようで、個人的に非常に好きな作品です。ZOTHIQUEとして初めて楽曲を作った時にテーマとして取り上げました。

――次の”Hijra”はDarklawさんの作曲で。アルバム中最もイーヴルな曲ですね。

Darklaw
極悪な曲をって言われて作った感じです。

Shusuke
とにかく悪いヤツを作ってくれって(笑)。

Darklaw
全然極悪じゃないのに(笑)。

――Hijra(ヒジュラー)という言葉の意味は?

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Shusuke
ヒジュラーはインドとかバングラデシュにいる両性具有、女装したオカマなんですけど、子どもが生まれた時とか結婚式とかに手を叩きながらワーッて駆け寄ってきて踊ったり。忌み嫌われてるんですけど、神聖な存在という。昔、そっちの方に旅行してた時にヒジュラーと出くわすことが多くて、鮮烈な印象が。ヒジュラーも生命力の塊のような存在だと感じていたので、アルバムの題材の一つとして使いました。昔から暖めていた存在ではあったんですけど。

――次の曲はアルバム・タイトルにもなっている”Faith, Hope and Charity”。Kojiさんの曲ですね。この曲はドゥーミィというか、BLACK SABBATH的な雰囲気ですね。

Koji
ありがとうございます。元々はテーマをもらったと思うんだけど、そういうテーマをイメージして曲を作るっていうのができなくて。ただ単に頭の中に降ってきたリフをそのまま曲にして、これしかできなかったって渡して(苦笑)。

Shusuke
コウジさんの好きな音楽性が現れてると思いますね。

Koji
シュウ君の持ってきたテーマにねじ込むのはちょっと無茶かな、と思ったんですね。でも、極悪とかカッコいい曲は他のメンバーが作るだろうから、ちょっと違うのがいいかなって。

Shusuke
もともと”Faith, Hope and Charity”(信仰, 希望, 慈愛) というのは宗教的な言葉で、カソリックにおける三大美徳を現しているんですが、楽曲の内容は1930年代に執筆されたアーヴィン・S・コッブというミステリー作家の作品「信仰と希望と愛と」という小説をベースにしています。
米国で悪さをして逃亡生活を共にしていたイタリア人、スペイン人、フランス人の三人組が各々、最も忌み嫌っていた形で死を迎える顛末を描いた作品です。
ギロチンで死ぬのが嫌だった男は、エレベーターで首を切られる。もう一人は、グランドキャニオンのがけ崩れに閉じ込められて終身刑。もう一人は牛の革でグルグル巻きにされて絞首刑。物凄く印象に残っている作品です。生きようという生命のエネルギーが伝わってくるものがあって。

――アートワークにはキリスト教的なモチーフが使われていますが。

Shusuke
あれは偶然ですね。今年の5月にGUEVNNAのサポートギタリストとしてデンマークに行った時に、現地の人に勧められて立ち寄ったアシステンス墓所という場所で何気なく撮影した写真が気に入ったので、アートワークに使いました。

――”The Circlar Ruins”を挟んで、次が”Amyotrophy”。これは作曲がシモナカさんでハードコア・パンク風のファストな曲ですね。

Shusuke
2nd(”ZOTHIQUE“)ではズルズルの方向に行ったけど、速い曲やってみようよ、やらない理由は無いでしょってことで。Amyotrophyは筋萎縮という病名です。
徳洲会という大病院グループの理事長の徳田虎雄という人がテーマです。ALS(筋萎縮性側索硬
化症)を発症して眼球だけしか動かせない。ある本をきっかけにその人のことを深く調べるようになったんですが、とにかくその人の生き様にものすごく衝撃を受けて。
今でも眼球の動きだけで日本全国+世界で200の病院をコントロールしてるという恐ろしい人です。その生命エネルギーの凄まじさ、生命力を楽曲としてバンドで表現したかったんです。この曲に限りませんが、ZOTHIQUEというバンドの楽曲のテーマは全て僕が着想しています。それを自分を含むそれぞれのメンバーに投げかけて、フィードバックとして戻ってきたサウンド、リフやノイズをバンド全体で練り上げて形にしていくというのが慣習になっています。
作りかけてできなかった曲もあります。今回のアルバム全体としてのテーマは、生命のエネルギーというか。前作は死の匂いがする、(今回は)その反動というか。

――前作とは真逆の雰囲気を感じました。前作は聴いていると息が詰まってくるような。それが良さでもあったのですが。

Shusuke
多分、息が詰まってたんだと思います(笑)。人生に詰まってた(笑)。

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――次がJahさん作曲の”Nomadic”。

Jah
これもシュウ君からテーマと、中国のチベット自治区と西成でフィールド・レコーディングしてきた音をもらって、これでドローンっぽい曲を使って作って欲しいってことで。

Shusuke
“Nomadic”は遊牧民という意味で。ツアーもそうだけど、色んな所に行くわけですよ。根無し草のように渡り歩くというか。そういう生活の在り様を、実際に録ってきた音と合わせて表現できればいいな、と。

――次の”Valley of Tears”はアルバム中最も異色な曲ですね。歌詞の内容はセンシティヴなも
のですが。

Shusuke
ああいうカントリーというか、歌モノというか、やってみたかった。ZOTHIQUEでやるのはどうなの?まあ、やってみるか、と。

――あの曲があるのと無いのとで、アルバムに対する印象が大分違うと思うんですよ。

Shusuke
正直、自分でもどういう風に受け止められるかわからないので。去年の12月に母親が亡くなって。ツアーとかしながら介護生活をしていたんですよ。淡々と葬式を挙げて、淡々と居なくなって、淡々と新しい生活が始まった中で、何かふと浮き出たというか。開放感と悲しみが一体になってこみ上げてきた時に思いついた曲ですね。それをZOTHIQUEでやるのはどうかと考えたこともあったんですね。でも、やらないよりはやった方がいいか、と。

――僕は以前、シモナカさんとコウジさんがやったアコースティックのライブを見ていたので、割とすんなり受け入れられました。※こちらの記事参照。

Shusuke
アウトロー・カントリーとか中島らもとか、元々すごく好きなんで。やってることとあまり違和感無いつもりなんですけど、異色と言ったら異色かもしれないですね。

――ラストの”Venus II”は”Venus I”(reprise)的な曲ですね。

Jah
“Venus I”と”Venus II”は繋がってたんですよ。アルバムに入れるにあたって考えていく中で二つに分かれたんですけど、元々は15分ぐらいの曲だった。長い曲が作りたくて。マリファナ騎士団が聖地エルサレムを目指すSLEEPの”Jerusalem”……金星まで行くわけだから、それを超えたいな、と。それが分かれた。

Shusuke
金星から始まって、金星に終わる。ループするというか。無限ループ。

――一回目聴き終わった時と二回目に聴く時とでは印象が大きく変わるような気がしたのですが。

Shusuke
そこまで聴いてくれたら嬉しいですけど(笑)。

Jah
あれは同じリフをずっと繰り返してるだけだから、それが1曲になった時に成立するのかちょっと不安でしたけど、成立したんでそれぞれのメンバーの力がいい感じに出たんだな、と。

――今回のアルバムを聴いて、ZOTHIQUEってゴリゴリの低音を出すことに意識は無いのかな、と思ったんですよ。サイケデリック・ドゥーム/スラッジに分類されるとは思うんですけど、その手のバンドと比べると。

Shusuke
俺自身は重低音を聴かせる、ということにはそこまで拘っていません。自分はこのバンドで作品を作り続ける上では、テーマやストーリーに最も重きを置いています。それがどう表現されるかっていうことに対しては正直、流れに任せています。バンドとして仕上がったものが結果であって。世界観とかテーマに関しては話は尽きないんですが、最終的にアウトプットされる音については他のメンバーとの化学反応に委ねています。

Jah
俺はどっちかというと重低音を効かすことを意識してたんで、そう感じなかったってことは俺の力不足かな(苦笑)。

Darklaw
すいません、ミックスに失敗しました!次のは重いですよ! ※Darklaw氏はレコーディング/ミキシング・エンジニアも兼任。

Shusuke
(笑)。何に重き置くかは人によって違う。「重い」とか「ヘヴィ」の定義も主観的なものだと思うので。音源を聴く環境や機材にもよるじゃないですか、アンプとかスピーカーとか。そこまでは……計り知れないというか、どういう風に聞こえてるかは正直わからない。

Jah
人それぞれ捉え方が違うから。

Darklaw
ここで言うのもあれだけど、ライブとかをウチは録音していった方がいいかもしれない。今回のツアーはすごい厳しかったんだけど、重さの出し方を拘って。

Shusuke
ライブはまた別で。音源の話ですよ。

Darklaw
あ、音源?それは俺のミックスの間違いだよ(笑)。ちょっとキラキラしちゃったんですけど。

Shusuke
そこは好みなんですよ。俺は別にキラキラしてると思ってないし。むしろキラキラしているのは悪いことじゃないでしょ?

Darklaw
だけど、今回はロックを録りたかったのはありましたね。ロックっぽいエッジ、クラシック・ロックに近いミックスにはしたかったのかもしれない。低音を出すのは……出せたんですけど、埋もれちゃうんですよ、他の音が。うちはカラフルだから、あまりベースを出し過ぎると。今回はロック・アルバム。

――Kojiさんはどうですか?

Koji
すごいミックス良いと思いますよ、今回。重低音を効かせて、っていうのは僕は特に。というよりも、結構前から流行ってる音って、メタルでもドゥームでもゴリゴリの低音を思い切り出して振り切った感じの、そういう音が好まれる傾向にあると思うんですけど、僕はそういうのに疲れちゃうというか。これ以上はハードにならない。そういう音作りって淘汰されていって、元に戻すというか、限りなくフラットな音とか、もっと言えばステレオじゃなくてモノラルでも……

Darklaw
マジか(笑)。

Koji
いいんじゃないかってぐらい……なのかもね(笑)。自分の中で勝手に思ってることですけど。そうしましょうっていう話じゃなくて(笑)。レコードをモノラルで聴いたりとか。二個から出さないで一個で出すのもいいんじゃないかなってぐらいに思ってる。今回仕上がってきたミックスもそういう感じに近づいてるなと僕は思ってる。

Darklaw
1stと2ndはガッツリやったから3rdはね。3rdアルバムはさ、ロック・バンドなら遊び心が出てくるというかね。

――メタルの世界では3枚目のアルバムは重要ってよく言いますよね。SLAYERの”Reign inBlood”とか。初期衝動と円熟さがちょうどいい具合になるとか。

Shusuke
結果としてそうなってればいいかな(笑)。3枚目だからってのは意識してないですね。

Darklaw
俺はメタルよりもサイケ・ロックって感じする。3rdが一番サイケっぽくなって、そこから落ち着いちゃう(笑)。これは遊び過ぎた、みたいな。そんな感じする。

――メンバーのみなさんが楽しんでるようにも感じました。

Jah
前のアルバムみたいにライブで何度か演奏した上で録音したんじゃなくて、曲を作ってスタジオで作り上げてライブでやることなくレコーディングしたんで、楽しんでというよりは力入ってた。リラックスしてレコーディングした感じではない。

Shusuke
曲を録ってからそれをライブでやるって流れだったんで、今までとは少し勝手が違った。結果的に安定感は無いですけど(笑)、これから仕上がっていく(笑)。

Darklaw
どうなっていくんだろう(笑)。

――ZOTHIQUEとしてどこまで行けるのか試しているような部分もあるのかなと。それこそ”Valley of Tears”とか。

Shusuke
どうなるかは俺たちにもわからないんで。今が楽しいから。カチっと決めて行くより、色んなことができるのが。これから「なにこれ?」みたいになるかもしれないし、「いいよ、それで」みたいな曲ができるかもしれない(笑)。どこから来て、どこへ行くか……金星より先には行きたいですね、とりあえず。銀河系は出たいな(笑)。銀河系の外の惑星の話とか。

Jah
で、アース(地球)に戻ってくる(笑)。

Shusuke
戻ってこれるかわかんないけど(笑)。Darklawさん、今回の(アルバム)何度も通しで聴くと良いって言われますよ。何回も聴くと。

Darklaw
何回も聴いてるよ。聴かないとしょうがないじゃない(笑)。実は今回の好きよ。

Shusuke
なんかギラギラ、キラキラしすぎてるんじゃないかなって言ってたから。

Darklaw
それはさっきも言ったけどエンジニアだから、自分ができてないことをしてる。世界観として聴きこめばサイケ・アルバムだよ。ドゥーム・アルバムだと思ってないもん。理想通りだよ。さっきメタルの話が出たけど、メタル最近聴いてないし。普通に音楽アルバムとして耐え得るものであれば何だっていいのであって。

Shusuke
俺も好きなメタルバンドはいるけど、ヘヴィーメタルをガチで深く深く聞き込んでいるわけじゃないから。

Darklaw
そう言われると、やっぱりロックなんだなって。サイケ・ロック。あまり意識がないんだよ、ドゥームとか。

Shusuke
ジャンルとしてそう呼ばれてるからそういう風に捉えられるのはあるかもしれないけど……もちろん影響も受けているし。

Darklaw
むしろドゥーム好きな人たちが聴く方が飽きるんじゃない?バラエティがあり過ぎて。

Shusuke
そもそもドゥーム、スラッジっていう「ジャンル」をやっているっていう意識がない。

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Photo by Ayako (@ayako66)

――ドゥーム、スラッジを意識して聴くと拍子外れかもしれませんね。

Darklaw
エンジニアとして、そういうやつをこういうカラフルさ、音質でやってみたいけどね。物珍しいじゃん。天骨さん(川保天骨、本誌編集長)のバンド、太陽肛門もドゥームっちゃドゥームだけどサイケだよね。

――本人の根っこにあるのはドゥームよりもそっちでしょうね。

Shusuke
トランスとかも。

――トランスも好きだし、サイケ・ロックも好きな人ですね。

Darklaw
いるでしょ、そういうバンドって。

――ドゥームの元祖、BLACK SABBATHも曲がバラエティ豊かですよね。バラードみたいな
曲もやってるし。

Darklaw
シンセ使うしさ、ひどいよね(笑)。

――(笑)。ドゥーム・バンドってSABBATHのそういう部分をあまりやらないなと思って。

Darklaw
SABBATHだって当時は単なるハード・ロックだしね。ブリティッシュ・ロック。THE PRETTY THINGSの”Parachute”ってアルバム、すごいカッコいいのよ。ドゥームに近い。元々ブルース志向で渋くやってるから。サイケに飽きてハード・ロックになる時期なのよ。でもまだサイケの色が残ってる時代。メタルに行く直前のさ、サイケとかハード・ロックの間のバンドがすごいカッコいいの。JERICHOとか。

――HIGHWAY ROBBERYとか。

Darklaw
HIGH TIDEとかさ。そういうのが一番好きだから。BUDGIEとか。あの辺のロックって一貫性もあって音質もちゃんとしていて。3rdはそれに近いと思うよ。そういう感じにしたかった。Kojiさんの曲、結構好きだよ。

――Kojiさんはどうですか?今後について。

Koji
どんどんこれからブルージーに……嘘だけど(笑)。

Darklaw
ユウ君(Jah Excretion氏のこと)の曲ってJESUっぽくない?

Jah
俺、スラッジもドゥームもロックも殆ど聴かないんで。SLEEPとか、それぐらいしか聴いてない。何を意識したっていうのはないですけど、単純に自分の中で気持ちいい、トランシーな感じで。

Darklaw
トランシーな感じ(笑)。今回はツアーに出て楽しくなったね。

Jah
ライブしてない時期が半年間あったから、やっぱりバンドはライブだなって。

Shusuke
ライブをやらなきゃ何も始まらない。今年はあえて制作期間とライブ活動期間を極端に分けてみたんだけど、やっぱりなあっていうのが。

Jah
シュウ君が旅で録音してきた音を使うとか、人間臭さが出てるのがZOTHIQUEだから。ライブが多分、一番それが出る。もちろん悪い時もあるけど。

Darklaw
ウチはすごいと思うよ(笑)。

Shusuke
悪い時は本当に悪いんで。

Jah
でも、それも含めてZOTHIQUEだなと思う。

Darklaw
ロック・バンドだよね。

Shusuke
ギチギチに計算して仕上がったものをキチンとやろう、という気はさらさら無いんで。時にグチャグチャになったり、時にキラキラしてたり。そういう部分も含めて面白がってもらえれば。

――最後に、今後の予定を教えてください。

Shusuke
今年から来年にかけてはまだまだ続くんですよ、旅が。韓国、中国、九州、あともしかしたら四国も…南の方へ、12月以降に。またどこかへ行きます。とにかく旅をしてライブをやって、その後はまだわからない。

――サンクスリストのOur Unending Journeyというフレーズは印象的ですね。

Shusuke
普段ずっと(メンバーと)一緒にいるわけじゃないので、特に今回みたいに10日間連日でツアーに出ることは非日常の連続ですごく面白いですね。これが永遠に続いていくんじゃないかっていう錯覚に陥ることもあります…どこからやってきてどこに向かうのか、いつかは戻ってこれるのか。これからの旅路も楽しみです。
最後に、今回のツアーメイトだった東京のGUEVNNAとフランスのAGUIRRE, 各地でサポートしてくれた関係者の方々、遊びに来てくれた方、対バンの皆さんに心から感謝しています。ありがとうございました。

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新たな方向性を提示した”Conspiracies”EPをリリースした 東京拠点のスラッジ/ストーナー・バンドGUEVNNAインタビュー!

インタビュー・文:梵天レコードint 024 b 001 - 新たな方向性を提示した"Conspiracies"EPをリリースした 東京拠点のスラッジ/ストーナー・バンドGUEVNNAインタビュー!

Doom/Stoner/Sludgeを特集したペキンパー第五号がおかげさまで好調です。
インタビュー、コラム、ディスク・ガイドを通して国内外問わず数多くのバンドを紹介しましたが、
注目すべきバンドはまだまだいます。
国内に関して言えば、まずその筆頭にGUEVNNAの名を挙げたい。
2011年結成以降、国内外での積極的なライブ、音源リリースを重ね、
この度、初となる単独音源にして新たな方向性を提示した4曲入りEPを発表。
7月にはフランスのAGUIRRE、盟友のZOTHIQUEとのツアーも控えている彼らに話を聞いた。

――まずは結成の経緯からお願いします。

Ryo (Vo)
2011年に、僕がずっと好きなBONGZILLAIRON MONKEYみたいな路線の音楽をやりたいなと思い、その2バンドが好きという条件でメンバーを集めて結成しました。Raizo (G)は昔やってたバンドで一回一緒にやったことがあるバンドのギターで、MELVINSのTシャツ着てたのかな? それを覚えていて、まずは彼に声をかけて。Komi (B)も元々知り合いづてで、短期間だけど一緒にバンドをやっていたことがあって。所謂ドゥーム、スラッジ、ストーナーといったジャンルをお勉強してるかどうかはどうでもよくて、BONGZILLAIRON MONKEYが好きであれば他はどうでもよかった。ドラムもその条件でメン募に出したら初代ドラムが来て。それでなんとなく始まりました。

――デモを作ったのはいつですか?

Ryo
2012年かな。スタジオ一発録りのチープなデモです。作ったのは200枚ぐらいだったかと。

int 024 m 002 - 新たな方向性を提示した"Conspiracies"EPをリリースした 東京拠点のスラッジ/ストーナー・バンドGUEVNNAインタビュー!
“Demo” (2012)

――その後にフランスのAGUIRRE、イタリアのBLACK TEMPLE BELOWとのスプリットですね

Ryo
AGUIRREは、僕がCOFFINSにいた時、2011年のヨーロッパ・ツアーの時に彼らとアメリカのSOURVEINとサポートで一緒に周って、そこで仲良くなってコンタクトを取るようになりました。デモを作ったからスプリットをやりたいねって話になって、Aguirreに持ちかけたら「是非やろう」と。で、スプリット出したから一緒にヨーロッパ・ツアーしたいねってなって2014年にヨーロッパ・ツアー。ヨーロッパ・ツアーをやったから今度はジャパン・ツアーをってことで7月にやります。BLACK TEMPLE BELOWとのスプリットはイタリアのレーベルからコンタクトがあって、その時はうちも余裕があったからじゃあやりましょう、と。

int 024 m 003 - 新たな方向性を提示した"Conspiracies"EPをリリースした 東京拠点のスラッジ/ストーナー・バンドGUEVNNAインタビュー!
AGUIRRE/GUEVNNA – Split(2014)
int 024 m 004 - 新たな方向性を提示した"Conspiracies"EPをリリースした 東京拠点のスラッジ/ストーナー・バンドGUEVNNAインタビュー!
BLACK TEMPLE BELOW/GUEVNNA – Split(2015)

――そして、この度リリースされた“Conspiracies”EPですね。

Ryo
プロモーションも兼ねての初単独音源だったらEPかなと。4曲で起承転結の構成も練りやすいし、そのほうが聴く人にとっても分かりやすいかなと思いました。

――国内外でライブをやって、音源も出して、ここまで出来ているバンドは少ないですよね。

Ryo
僕らは単純にライブとツアーが好きなんですよね。だからバンドメンバーもそれなりに動ける人じゃないとっていう条件はあります。日本は世界に300近くある国の中の一つでしかないし、例えばヨーロッパやアメリカならこういった音楽の「本場」だし、マーケットも大きいわけじゃないですか。だからその辺をターゲットにしない理由がないですよね。なるべく国内、海外問わずにツアーして、作品もコンスタントに出していきたいと思っています。

僕の感覚だと、例えば東京から大阪に遠征するのと海外に行くのってそんなに変わらない。言語が変わって、文化が違って、飛行機がしんどいぐらいかな。

――国内でここまで活発に動いているのってGUEVNNAとZOTHIQUEぐらいですよね。

Ryo
Church of MiserySete Star Sept幾何学模様……彼らは1ヶ月単位でツアーしているので、それに比べたら僕らなんてまだまだ活発じゃないと思いますよ。ZOTHIQUEは前から知り合いで、独自の音楽をやっているし、フットワークも軽くて、仲も良いです。3月の2回のライブと5月頭のコペンハーゲンにも(Shusuke氏(Vo&G)がサポート・ギターで)来てくれて。7月のAguirreとのジャパンツアーも一緒に周りますし、個人的にもサポートして行きたいバンドですね。

――ツイン・ギター編成になったきっかけは?

Ryo
始めた当初は「BONGZILLAとIRON MONKEYが大好きなんだー!」以外何も考えていませんでしたけれど、スラッジだとかそういうジャンルで括っちゃうと既に世の中いいバンドがいっぱいいるわけじゃないですか。同じことをやって良い物が作れるか、というのもあったし、個人的に昔のポップスとかディスコが好きなので、ある時から、あくまで結成当初の核を保ちつつ好きなことをやれたらいいかなと思うようになりまして。

で、そう考えたときに、メロディラインがもう一つ欲しくなったんですけれども、選択肢が二つあって。僕がギャーギャー声をやめて普通に歌うか、ギターをもう1本増やすか、だったんですけど、クリーンで歌うとこのバンドを始めた時の核の部分がキープできないと思ったので、じゃあツイン・ギターにしようと。実際、厚みも増したし、出来ることが増えましたね。あと、純粋にメンバーがいっぱい居た方が楽しいです(笑)。

――”Conspiracies” EPの話を聞かせてください。今までの音源と比べてストーナー寄りになった印象を受けました。

Ryo
自分達なりの核を保ちつつ、やりたいことをやった結果ですね。ディスコみたいなノリの良い曲が好きなんだから、ノリの良い曲作ればいいじゃないってことで。かなりキャッチーになってると思います。

1曲目は「コーヒーのCMみたいな曲作ろうぜ!」という思いつきで作ったので、日曜の朝にコーヒー飲みながら聴いてもらえれば相当ツボにはまるはずです。音作りに関しては、前のスプリットの国内外のレビュー等を読むととにかく「ヘヴィだ!」っていう印象が強かったみたいで。正直ヘヴィであることにそんなに拘りはないんですよ。だからEPではかなり低音抑えて、音圧バッキバキみたいなのもやめて。ライブでも元々「圧殺重低音」みたいな音は出しているつもりはなくて、「気持ち良いかどうか」というのを重視しています。

int 024 m 005 - 新たな方向性を提示した"Conspiracies"EPをリリースした 東京拠点のスラッジ/ストーナー・バンドGUEVNNAインタビュー!
“Conspiracies” EP

――さきほどチラっと出ましたし、facebookにも書いてありますけど、影響を受けた音楽にOld School Discoとありますね。そんなバンド初めてなんですけど。

Ryo
80年代以降の打ち込み中心のテンポも速くてビートも強いダンスミュージックも好きなんですが、それよりもそれ以前のゆったりめのディスコミュージックが好きで。BONGZILLAにしてもロックしててノレて踊れるっていうのが一番だから、自分なりにそういうのをを見出して行きたいな、と。でも、スラッジ、ドゥーム、ストーナーのバンドが原点回帰して昔風のロックサウンドをやるのはありがちじゃないですか。

――今は特に多いですね。

Ryo
そもそも僕がそこまでそういったルーツのロックを聴きこんでいるわけじゃないので、そういうのはやろうとしても出来ないですね。あくまで自分が好きなものだけを上手く取り入れるという感じで。

あと、よくドゥームって言われるんですけど、まったくもってドゥームじゃないんですよ。そのジャンルの音楽が放出してるものってあると思うんですけど、ドゥームだったら神秘的なものだとか、邪悪で悪魔的なものだとか。(GUEVNNAは)歌詞だってそういう内容じゃないし。アートワークも。

――”Conspiracies” EPのアートワークもアーバンな感じで、ドゥームっぽさは無いですね。

Ryo
「ドゥームとは何か」のお勉強じゃないですけれど、BLACK SABBATHにそこまで入れ込んでないんですよ。好きだしかっこいいとは思うけれど、あの時代の良いロック・バンドのひとつというか。BLUE OYSTER CULTを聴いて良いなって思うのと同じ感覚。影響を受けているとすれば、SABBATHから影響を受けたバンドに影響を受けてるんじゃないでしょうか。リフ構成にしてもなるべくSABBATHっぽくないようにはしてるつもりなんですけれど(笑)

――テンポが遅いとどうしても”ドゥーム”、”ドゥーミー”と表現されがちですからね。

Ryo
遅い、もしくはチューニングが低くてちょっとゆったりしてればドゥームって言われちゃう。どう思われてもいいっていうのはあるんですけど、ドゥームじゃないし。スラッジの病的だとか、人間の悪の部分をさらけ出すみたいなものない。GUEVNNAはもっと別のものを放出してるから。

――やってる側からしたらジャンルなんてどうでもいいことですからね。”Conspiracies”EPには歌詞が掲載されていませんが、これは意図したことでしょうか?

Ryo
大阪のDevriさんという方に頼んでアートワークを描き込んで貰っているんですけど、表現、アウトプットするのはそこまでにしたいんですよ。

歌詞まで載せちゃうと「こういうこと歌ってて、こういう音で、こういうバンドなんだ」ってわかっちゃうから、そこまでしたくないんです。例えば映画を見ても観終わった後に「これはなんだったんだろう?」みたいな謎が残るものが個人的に好みで「あの場面はこういうことだったんじゃないのか?」と自分なりに考えて結論を出すのが好きなんですよ。謎ばっかりだとこれまた好きじゃないんですけれど(笑)、今回のEPで言えばアートワークですんごい表現しているんです。あれは僕がこういう構図で、こういう感じで描いてくださいってメールで長々と注文を出して、それをDevriさんが完璧に表現してくれている。だから歌詞は載せなくていいやって。

歌詞は英語なんですけど今回は殆どのところをかなりハッキリと歌っているつもりなので、結構聴き取れると思いますんで頑張って聴き取ってください(笑)。

――”I know you just wanna get stoned”は聴き取れました(笑)。

Ryo
それはみんな言ってる(笑)。Bongzillaみたいにハッパ大賛美がテーマのバンドじゃないので、文面通りの意味合いのフレーズではないんですけれどね。1曲毎に一枚の絵っていうスタンスはこれからも単独作品においては続けていきます。来年、ファースト・アルバム出すんですけれど、全8曲だったら絵が八枚ですね。

CDになってから良いアートワークの作品が減ったと思うんですよ。僕はアナログレコード至上主義ではないですけれど、レコードジャケットは紙で出来ててデカくて、絵を眺めながら音楽に浸れる。

それがCDでプラスティック・ケースになって、アートワークに魅力がないものが多くなったなあと。なので音楽だけじゃなくトータルの芸術活動という意味でジャケット、アートワークにはこだわっていきたいですね。

あと、うちは単独作品に関してはBandcamp等のデジタルダウンロードは今後もやらないつもりです。やっぱり現物を買って欲しいし。時代とは逆行してるし、Bandcampなんかで上手くやればそっちでも金が稼げるとは思うんですけど、そこは単なるこだわりですね。

――作曲はどのようにしてますか?

Ryo
基本、僕がおおまかなものを作ってます。リズムセクションもこういう感じで、って注文出して。そこからパート毎に好きな事やってもらって、曲にしています。

今後はツイン・ギターになったのもあるし、僕は本当にベーシックなものだけを作って、あとはもっとみんなに好き勝手やってもらうようにしようかなと思っています。

――Goさんにお聞きしますが、加入の経緯は?

Go(G)
INSIDE CHARMERというバンドでやっていて、GUEVNNAとは以前からよく共演していて。

CHARMERのドラムが辞めて活動が止まっていたところに白羽の矢が立って。電話でいきなり「もしもし」じゃなくて、「Goちゃん、GUEVNNA入って!」って(笑)。

――第一声が(笑)。

Go
それがデンマーク前で。即答で「いいよ」と。

Ryo
Goちゃんがちゃんと弾けるギタリストなのは知ったんですけれども、ミュージシャンとしてフットワークが軽いというのが大きいですね。弾ける人は沢山知っているけど、バンドとしてまともに活動できる人が少ないので。

Go
ライブがやりたいから。何もしないで生活するのがつまらない。GUEVNNAだとライブがある。自分が弾ける場所を与えてくれたから。

Ryo
泣くところだね。ここはRyo(泣)て入れておいてください(笑)。

――今月、デンマークのフェス”Heavy Day In Doom Town”に出演されましたが、いかがでしたか?

Ryo
本当にアンダーグラウンドのDIYで、たくさんのボランティアの人たちがいて成り立ってるフェスで。コペンハーゲンのビル3棟ぐらいあるスクワットで。演奏後のお客さんの反応もすごく良かったです。

――BONGZILLAとも共演しましたね。

Ryo
BONGZILLAはね、すごかったですよ。ストーナーとかスラッジ云々じゃなくて、ロックンロール。
グルーヴが違う。何故自分があのバンドが好きなのか再確認しました。

ずーーーっとハッパ吸ってて。演奏前もずっと吸ってて、ステージ上がってからも一曲毎に吸ってて「人間こんなにハッパ吸えるんだな」って思いましたね(笑)。会場が本当に臭くて(笑)。

僕らがライブ終わった後、(GUEVNNAの)物販のところにBONGZILLAのメンバーが来て「すげぇよかったぜ!」って言ってくれて。これはもうね、僕らにとって彼らはルーツバンドですからね。めちゃくちゃ嬉しかったです。その後も彼らと色々話したり、色々でしたね(笑)。

――最近、気に入ってるバンド、音源などありましたら教えてください。

Ryo
スウェーデンのHORISONT。アルバム持ってて元々好きで、デンマークでライブ観たんですがめちゃくちゃハードロックでかっこよいです。あとイギリスのPURSON。そんなところかな。

――みなさんが影響を受けたバンド/アーティストのアルバムを何枚か教えてください。

Ryo
BONGZILLA – “Gateway”、IRON MONKEYの1st (“Iron Monkey”)と2nd (“Our Problem”)、DURAN DURAN – S/T、KILLING JOKE – “Night Time”と”Democracy”、THE DOORSTHOU – “Summit”、VISION OF DISORDER – “From Bliss To Devastation”、まだまだあるけどパッと思いつくのは……あ、THE JESUS LIZARD全部。

Temi(Ds)
MELVINS – “Stoner Witch”。MELVINSが一番好き。あとはIMMORTALの……アルバム(笑)、SHERBETS – “Vietnam 1964″、平沢進 – “救済の技法”。そんなもんですかね。

Komi(B)
QUEENS OF THE STONE AGE – “R指定”、ZZ TOP – “Tres Hombres”、SHOCKING BLUEのベスト、CYPRESS HILLの1st (“Cypress Hill”)、曲だとJo CokerのTHE BEATLES – “With a Little Help from My Friends”のカバーは1日何十回も聴いたりします。あとはGRAVES AT SEA憂歌団が好きです。

――Raizoさんは?

Temi
ガンズでしょ?

一同
(笑)。

Temi
“Appetite for Destruction”を毎日聴いてるっていう噂を……(笑)。

Raizo (G)
……(苦笑)。kamomekamome – “ルガーシーガル”、TOOL – “AENIMA”、DEATH CAB FOR CUTIE – “We Have The Facts And We’re Voting Yes”、Hi-STANDARD – “GROWING UP”、あとデトロイト・テクノのDerrick May

――Goさんは?

Temi
まずガンズでしょ?

Go
ガンズの”Use Your Illusion 1″、”2″と……(笑)。ギター的にはEXTREAMの”Pornograffitti”、最近聴いてるのはLYNYRD SKYNYRDの2nd (“Seconed Helping”)、GUEVNNA的にはSLEEP – “Holy Mountain”、あとはOBITUARY – “Cause of Death”、MOUNTAINの”Mississippi Queen”。

Ryo
あ、追加でJUDAS PRIESTの”Scream for Vengence”と”Stained Class”。あとARCH ENEMYの”Burning Bridges”。

Temi
あれは最高だよね。曲が最高。あ、MARILYN MANSON入れるの忘れてたよ! ”Mechanical Animals”が一番好き。

Ryo
僕は”Portrait of an American Family”が好き。DEAD MEADOW – “Feathers”、QUEEN ELEPHANTINE – ” Garland of Skulls”、KHANATEの……全部!

――では最後に、今後の予定、目標を教えてください。

Ryo
7月にAGUIRRE、ZOTHIQUEと10日間ツアーをして、その後はアルバムの曲作りしながらライブこなして。来年アルバムを出したタイミングでまたヨーロッパ・ツアーに行けたらな、と。次のライブは6月20日(土)に横浜のEl Puenteと6月22日(月)に渋谷Ruby Roomでやります。

GUEVNNA | Facebook
https://www.facebook.com/guevnnaband

int 024 b 006 - 新たな方向性を提示した"Conspiracies"EPをリリースした 東京拠点のスラッジ/ストーナー・バンドGUEVNNAインタビュー!

Aguirre(Bordeaux)×GUEVNNA×Zothique Japan Tour
7.17(Fri)@MORGANA Kokubunji
7.18(Sat)@DANCE HALL BENIBANA Hikone
7.19(Sun)@PEPPERLAND Okayama
7.20(Mon)@SOCRATES Kyoto
7.21(Tue)@HOKAGE Osaka
7.22(Wed)@HUCK FINN Nagoya
7.23(Thu)@EL PUENTE Yokohama
7.24(Fri)@BUSHBASH Koiwa
7.25(Sat)@SUNASH Shizuoka

7.26(Sun)@LADDERLADDER Chichibu

「スローに、ヘヴィにやれば、必ずレースに勝つのさ」 セントルイスの激重Doom Trio、Fisterインタビュー

2014年2月 聞き手:梵天レコード

FIST1186778 10151514618761065 1935400887 n 700x394 - 「スローに、ヘヴィにやれば、必ずレースに勝つのさ」 セントルイスの激重Doom Trio、Fisterインタビュー本日はセントルイスのSludge/Doom Trio、Fisterのインタビューをお届けします。

昨年、2枚目となるアルバム“Gemini”をリリース。
スラッシュ~ブラック・メタル風の疾走パートやObituary~Coffins風デス・メタルの要素を飲み込んだ聴く者を圧殺せんばかりの激重ドゥームだ。
だが、このバンドは決してメロディを軽視していない。

本作ではピアノ、バイオリン、チューバ、トロンボーン等が巧みに使用され、静寂と美しい旋律が、暗闇の中の一条の光のように現れる。とんでもない傑作だ。
Kenny Snarzyk(Ba&Vo)がユーモアたっぷりに答えてくれた。

――本日はありがとうございます。日本のインタビューは初めてですか?

Kenny Snarzyk以下KS
ああ、初めてだよ。

――Fisterの成り立ちを教えてください。

KS
Marcus Newsteadと俺はルームメイトだった。お互い違うバンドにいたんだけど、アパート(3424 Hartford Ave)に山ほど機材があってね。俺たちは退屈しのぎのレコーディング・プロジェクトとしてスタートしたんだ。
ドゥーム、ブラック・メタルへの崇敬に、皮肉っぽいユーモアをミックスしたものだった。最初は全然シリアスではなかったね。

――Fisterの現在のラインナップを教えてください。

KS
Kirk Gatterer: Drums,
Marcus Newstead: Guitars and vocals,
Kenny Snarzyk: Bass and vocals.

――他にバンドをやっているメンバーはいますか?

KS
MarcusはDaybringerでギターを弾いている。Stomachacher.というソロ・プロジェクトもやっているよ。彼は“ER”という末尾にハマっているんだ。彼のバンドはどれもキラーだよ。Kill-ER。
俺はSsothm, Black Dwarf, Seahorseというプロジェクトをやっているけど、Fisterがメイン・バンドだ。Kirkは特に何もやっていないな。

――Fisterというバンド名の意味、由来は何ですか?

KS
そのまんまだよ。元々、Fisted Sisterって名乗っていたんだけど、ちょっと馬鹿っぽいなって思って、最初のデモのタイトルにしてからはその名前は使うのをやめたんだ。

――Fisterを聴いたことが無い読者のために、どんなサウンドか説明していただけますか?

KS
ドゥーム。ブラック、デス・メタル等の要素も確かにあるけど、基本的にはドゥームだね。スローに、ヘヴィにやれば、必ずレースに勝つのさ(※1)

(※1)「ゆっくり、着実にやれば、必ず競争に勝てる。Slow and steady wins the race」という諺のもじり

 

――どんなバンド、アーティストに影響を受けていますか?

KS
難しい質問だな。俺たちは色々な音楽を掘り下げているから。
バンの中では、Alannah Myles(※2)から Warren Zevon(※3)まで色々聴くんだ。
Ozzy, Judas Priest, Def Leppardもバンの中でよく聴くよ。楽しい音楽は、運転の退屈さを紛らわせてくれるからね。
最近のだと、Yob, Craft, Deathspell Omega, Corrupted, Warning, Asunder (RIP)が今の俺たちがやっていることに大きな影響を与えているよ。

(※2) 1990年にグラミー賞を受賞したカナダの女性ロック歌手。
(※3)シカゴ出身の男性シンガー・ソングライター。

 

――アルバム(“Gemini”)のリリースおめでとうございます。反応には満足していますか?

KS
ありがとう。俺たちは安心して結果に満足していると言えるよ。“Gemini(※4)には多くの時間を費やした。これ以上良くすることはできない。同じような作品を作る事はもう二度とできないだろう。作曲中、レコーディング中、俺の人生にはとてもネガティヴなことがたくさん起きた。それが大きく表れているよ。

 

int 005 m 004 - 「スローに、ヘヴィにやれば、必ずレースに勝つのさ」 セントルイスの激重Doom Trio、Fisterインタビュー
(※4) Gemini

――一曲だけ選んで聴いてもらうとしたら、どの曲を選びますか?

KS
全部聴いて欲しいね!“Gemini”はアルバムとして書いたんだ。どれも俺の好きな異なったタイプの曲だ。それに、どれもヘヴィだよ。

――Fisterのサウンドはヘヴィなだけではなく、静寂、平穏、美しさがあります。あなたはどう思っていますか?

KS
意図的にそうしているよ。ずっとトボトボ歩き続けるなんてことはできないだろ。退屈だよ。俺たちは良い曲を書きたかったんだ。聴き手を罰するだけじゃなくて。
それがドゥームの大きなパートだと思うよ。ミニマリズムが雰囲気作りに役立つんだ。それがヘヴィなパートを黙示録的なサウンドにする。

――私は“Gemini”のアートワークが大好きです。デヴィッド・クローネンバーグ監督の『戦慄の絆』(※5)ですね。タイトル(※6)とも関連しています。あの映画は好きですか? 私のオール・タイム・フェイヴァリットです!

KS
『戦慄の絆』は俺の大好きな映画だよ。俺はデヴィッド・クローネンバーグを崇拝していて、彼のやる事は全部フォローしている。個人的にあの映画から大きな衝撃を受けたんだ。
それがコンセプトだよ。俺があの映画を見た時に感じたのと同じ不安を、聴き手に感じさせるようなアルバムを作りたかった。ダークで、哀しくて、完璧だ。

 

(※5) 1988年制作のカナダのサイコ・スリラー映画。原題:Dead Ringers。デヴィッド・クローネンバーグ監督。ジェレミー・アイアンズ、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド出演。一組の一卵性双生児の産婦人科医の兄弟が1人の美人女優に出会った事から、アイデンティティーの均衡性を崩して起こる悲劇を描く。双児の産婦人科医が共に診療室で死亡していたという、実際にあった事件からインスピレーションを得て製作された。※ウィキペディアより引用、改変。
(※6)“Gemini”は「双子座」の意。

 

――あなたのお気に入りの映画は何ですか? 特定の映画やTVショウに影響を受けていますか?

KS
この質問には上で答えたな。
だけど、『ブレイン・キャンディ』(※7)が俺のオール・タイム・フェイヴァリットのコメディだってことは言っておかなきゃな!

(※7)1996年制作のアメリカ映画。原題:Kids in the Hall: Brain Candy。ケリー・メーキン監督。デヴィッド・フォーリー出演。科学者たちが開発した、気持ちがハッピーになるうつ病の超特効薬。発売されるや、悩み多き現代人の間で大ブームとなるが、副作用を起こすことが判明してしまい…。(「VIDEO INSIDER JAPAN」データベースより)

 

――“Bronsonic”という曲について教えてくれますか?素晴らしいタイトルですね!

KS
heh…俺たちがスタートした頃、変なことを色々やっていたんだ。俺たちはチャールズ・ブロンソンが死んだ後、悪魔になったってストーリーを作った。“Bronsonic”という曲/アルバムはそのことについてだよ。あと、Bathoryへの愛だね。Fisterがまだ100%明確にバンドではなかった頃だ。
何年か後、ある曲に“Deaf Wish”(※9)って名付けたんだ。ただ単に、タイトルをすぐ思いつくとは思えなかったから。

 

int 005 m 003 - 「スローに、ヘヴィにやれば、必ずレースに勝つのさ」 セントルイスの激重Doom Trio、Fisterインタビュー
(※8) BRONSONIC 2013年リリース。

(※9)ブロンソン主演の映画『狼よ、さらば(原題:Death Wish)』(74年)のもじり。

 

――最近はどんなバンド/ミュージシャンのアルバムを楽しんでいますか? おススメがあったら教えてください。

KS
ヘヴィなのだと最近は、Primitive Man, Pallbearer, Ulcerate, Skelptarsis, Indian, Conan, Rwake, Seahag, Failed, In The Company Of Serpentsにハマっているよ。
あと、The Lion’s Daughterは今でも俺のオール・タイム・フェイヴァリットだ。生きている間に一度ぐらいは一緒にツアーしてみたいな。

――あなたの地元のシーンについて教えて頂けますか?

KS
セントルイスかい? とても素晴らしいよ。バンドはキラーだし。メタル・シーンからは今も芽が出続けている。住民は深刻な事として受け止め始めているようだけど。

――一緒にツアーしたいバンドはいますか?

KS
Yobとツアーしたいね。1年半前、彼らとNorskaと一緒にプレイしたのは大きな喜びだった。あの日のショウは生涯の思い出だよ。あの日、俺たちは新しい友達ができたんだ。その縁で今、Norska(※10)とのスプリットを作っているんだ。

 

int 005 m 002 - 「スローに、ヘヴィにやれば、必ずレースに勝つのさ」 セントルイスの激重Doom Trio、Fisterインタビュー
(※10) Equinoctial オレゴン州ポートランドのSludge/Doomバンド、Norska(ベーシストはYobにも在籍)とのスプリット。2014年2月リリース。

――音楽を作り続けるためのモチヴェーションを、単語五つ以内で表現してください。

KS
音楽のない人生は退屈だ(Life without music is boring)。

――日本のバンドを知っていますか?

KS
Dude, Yes。 Corrupted, Gallhammer, Boris, Church Of Misery, Coffins, Eternal Elysium, Dot.。
みんな素晴らしいバンドだ。大ファンだよ。

――Fisterの最新のニュースはどこで知る事が出来ますか?

KS
http://fisterdoom.com と、俺たちのfacabook http://facebook.com/fisterdoom で。

――最後に、日本のdoom-mongersにメッセージを!

KS
俺が主に使っているベースは日本の1976年製Greco SB-850なんだ。もう一本見つけられたらなあ。大好きなんだ。
それから、息子が生まれた時、俺はCorruptedのTシャツを着ていたんだ。
彼らはCoffinsとUSツアーをするべきだよ。最高にヘヴィだろうな。

 

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