Column: Rest In Pain…「ELECTRICITY IS NOT PURE HEAVINESS」


2014年07月 著者:梵天レコード

Doom Rock(Metal),Sludge Coreといえば、重い! 遅い!が信条の音楽。

デス・メタルやグラインド・コアと同じくエクストリーム・ミュージックに分類されるジャンルだが、70 年代、もしくはそれ以前のロック、ブルース等に根差している為、ヘヴィさがすべてではない―ルーツ・ロックが根底にあるからこそ、Doom,Sludgeにはアコースティックという、もう一つの魅力的な一面があるのだ。

The Obsessed他のWinoBuzzov.enKirkなど、ドゥーム、スラッジ・バンド / ミュージシャンがアコースティックの活動を行っているケースも多い(この辺は後述)。日本ではEternal Elysiumの岡崎幸人氏が弾き語りライブを行っていることが記憶に新しい。

エクストリーム・ミュージックの歴史は、機材の発達と演者たちによる極限のヘヴィネスの追及の歴史であると言える。
Sunn O))) のライブに行けば”眼玉が震える”程の轟音が体感できるだろう。
だが、然るべき人間の手にかかれば、囁くだけで、アコギを爪弾くだけで、心に迫る “真のヘヴィネス” が生まれるのだ。

去る6月29日に西横浜 Bar El Puenteで行われたアコースティック・イベントに国内のDoom系ミュージシャンが複数参加していたので、そのレポートと併せて今回のコラムでは、アコースティックというDoom,Sludgeのあまり取り上げられることのない一面を紹介していこう。

 

Sad Smile vol.2@ 西横浜 Bar El Puente

一番手は今回のイベントの企画者でもあるInside Charmerの もっさヒロ 氏。

Inside Charmerは、重い! 遅い! 尺長い!というまさに王道ドゥーム。この日はそのInside Charmerでも光るメロディ・センスを存分に生かしたライブとなった。

オリジナル2曲とInside Charmerの曲を1曲披露。 個人的には Wino の弾き語りに近い印象を受けた。

三番手に登場したのが梵天レコードよりリリースしたドゥーム・コンピレーション“All The Witches’ Day”にも参加してくれたスラッジコア・バンドZothiqueのヴォーカル & ギターのシモナカ氏とドラムのウエノ氏(本ライブではギター)。

David Alan Coe – “River”、Hank Williams III – “Gone But Not Forgotten”、中島らも – “いいんだぜ”という、“アウトロー”・アーティストのカバー三曲を披露。

四番手の錐針(すいばり)はオルタナ~シューゲイザーの影響も感じさせるドゥーム・バンドBlack Creek Driveのギタリスト、Kusumi氏と東京のスクリーモ・バンドBackstitchのヴォーカル、蓮理氏のユニットで、この日唯一の女性ヴォーカル。ポップな楽曲を挟みつつも、女の情念渦巻くダークな楽曲を中心とした構成。歌謡曲的なドロドロした感じではなく、オルタナ~グランジ風の乾いた“黒さ”を強く感じた。
この日のライブ動画はこちら。

 

 

10 Great acoustic songs by Doom, Sludge bands/musicians.

Trip Thru Recordsの選ぶDoom, Sludge系バンド/ミュージシャンによるアコースティック・ソングBEST10(順不同)

 

Acid Bath – “Bones of Baby Dolls” from “The Kite String Pops”(1994)

Acid Bathといえば、メロディとヘヴィネスが融合したサウンド(なんてチープな表現!)が魅力ですが、解散後にギタリストのSammy Duetが結成したGoathwhoreとヴォーカルのDax Riggsが結成したバンドやソロを聴き比べると、各人のAcid Bathでの役割が見えて面白いですね。
2ndアルバム収録のアコースティック・ナンバー“Dead Girl”も名曲。こちらはDaxのバンド、Agents of Oblivionのアルバムにロック・ヴァージョンで再録されています。
Daxの書く歌詞も素晴らしいので、是非聴きながら読んで頂きたい。

 

Cathedral – “Solitude”(Black Sabbath cover)from “Masters of Misery”(1997)

フルートを加えた、ComusMellow Candleが大好きなLee DorianらしいアレンジのBlack Sabbathカバー。
何よりLeeのディープな歌声が素晴らしい。

 

Wino – “Adrift” from “Adrift”(2010)

ドゥーム神ワイノ。もはや説明は不要ですね。聴いて咽び泣け!
Conny Ochsとのコラボ盤も必聴。

 

K. Lloyd – “Never Try” from “Solow”(2010)

スラッジコア・バンドBuzzov.enのヴォーカルKirk Lloyd FisherのBuzzo.ven解散後のソロ(Buzzov.enは2010年に再結成)。Buzz-Ovenとはまた一味違った、やさぐれ感たっぷりの彼の歌声を堪能できるアウトロー・ブルース。Kirkは、Eyehategod, Down, The Mystic Krewe Of ClearlightのJimmy Bower、Soilent GreenのBrian Pattonらと共にサザン・ブルース・プロジェクトK. Lloyd & The Disciplesとしても活動。

 

Waldsonne – “Pain of Senses” from “Wanderer”(2008)

ロシアのヘヴィ・サイケ・ストーナー・バンドThe Re-stonedのギタリスト、Ilya Lipkinが在籍するアシッド・フォーク・バンド。歌っているのはIlyaの奥様Veronika Martynova。The Re-stonedはEarthless辺りを思わせるインスト・バンドだが、Jefferson Airplane – “Today”、Pink Floyd – “Julia Dream”をアシッド・フォーク風にカバーしている(“Plasma”(2013)収録。こちらも歌っているのはVeronika Martynova)。

 Weedeater – “Woe’s me” from “16 Tons”(2002)

Sourvein,Bongzilla,Buzzov.enの“Dixie” Dave Collins(Vocal, Bass)がBuzzov.en解散後に結成したバンド。
バンド名通りの怪しい煙がモックモクのスラッジコアから唐突に現れるブルース・ナンバー。
右手にウィスキー、左手にジョイントを構えて聴きたくなるような一曲。

 

Magnus Pelander – “Stardust” from “Magnus Pelander”(2010)

「これ、60年代の作品じゃないの?」と思わせてしまうほどヴィンテージな作風で衝撃のデビューを飾った、スウェーデンのドゥーム・ロック・バンドWitchcraftのヴォーカル、MagnusがWitchcraft停滞中に発表したソロ。
Witchcraft史上最もサイケ色の強い3rdアルバム”Alchemist”の日本盤ボーナストラックに収録されたRoky Erikson(アメリカのサイケデリック・バンド、13th Floor Elevatorsの元フロントマン) – ”Sweet Honey Pie”のカバー路線をさらに推し進めたような牧歌的アシッド・フォーク。2012年発表のWitchcraftの4thアルバム“Legend”は、一転してメタル色を強めた作品となっている。

 

 

Corrupted – “月光の大地” from “Se Hace Por Los Suenos Assesinos”(2004)

 

 

 

 

 

 

 

仙人が俗世を憂いているかのようなHevi氏の歌声と物悲しいアコギのみで構成された、17分に及ぶCorrupted史上最も異色なナンバー。正座して聴きましょう。
2011年リリースの4thアルバム“Garten Der Unbewusstheit”ではこの曲をアレンジした“Gekkou no Daichi”が収録されている。こちらはアコースティックなのは最初と最後の数分間のみ。

 

Southern Isolation – “Southern Man I Am” from “Southern Isolation” (2001)

Downの“Where I’m Going”にしようかと思ったが、意表をついてこちらで。
Pantera, Down, Superjoint Ritual等のPhil Anselmoと、Philのブラック・メタル・プロジェクトViking CrownNecrophagiaでキーボードを担当していたStephanie Weinsteinによるユニット。Philはプロデュース、作曲はすべてStephanieが担当。 「南部の男(ひと)、その手で私を連れ去って」 「俺は南部の男さ」と惚気るデュエット・ナンバー。いやあ、いいカップルだねえ。離婚したけど。
Philにアコースティックでアルバムを作って欲しいと思うのは筆者だけだろうか。

 

Trouble – “Rain” from “Unplugged”(2009)

初期はドゥームメタルの最重要バンドであり、90年代以降はハード・ロック色を強め、”Manic Frustration”などのマスターピースを創り上げたTroubleのアコースティック・アルバム。この曲は“Manic~”収録曲の再録ヴァージョン。
Eric Wagnerは脱退し、現在のヴォーカルは元Exhorder他のKyle Thomas。Eric WagnerはBlackfingerを結成して活動中。

 

番外編 EXTRA

Doom, Sludgeではないが、その界隈とも繋がりがあるバンド/ミュージシャン。

Hexvessel – “I am The Ritual” from “Dawnbearer”(2011)

ブラック・メタル・バンドDodheimsgard等で知られるイギリス人ミュージシャン、Kvohstを中心に結成されたサイケデリック・フォーク・バンド。Kvohst以外はフィンランド人のメンバーで構成されている。Roadburn Festival 2013内でElectric Wizardがキュレートした“Electric Acid Orgy”に出演、Lee Dorianが絶賛するなどドゥーム系ミュージシャンからの支持が厚い。現時点の最新作”Iron Marsh”(2013)にはPursonのRosalie(オノ・ヨーコのカバー!)、Blood CeremonyのAliaがゲスト参加している。

 

Chelsea Wolfe – “Spinning Centers” from “Unknown Roms: A Collection Of Acoustic Songs”

カリフォルニア出身の女性ゴシック・フォークSSW。
カリフォルニア出身とは思えない、呪術的かつ鬱屈としたサウンドは、“ドゥーム・フォーク”、“メンヘラ・フォーク”とも形容される。
彼女もRoadburn Festival 2012に出演、わが国ではDaymare Recordsが2012年に1st,2ndの国内盤をリリースし、GodfleshSunn O)))Deafheaven等が出演したLeave Them All Behind 2012で来日。

 

番外編その2 EXTRA Part.2

完全なるおフザケ。

Acoustic Wizard – “Vinium Sabbathi” from “Please Don’t Sue Me vol.2”

Electric Wizardの曲をアコースティックでカバーするという、キマってる時に思いついたことをそのままやっているとしか思えないプロジェクト。「お願いだから訴えないで」というタイトルからも明らかなお遊びプロジェクトだが、やってることは至ってマトモ(?)、というか、かなりイイ。

 

Trippy Wicked – “Killfornia” (Church of Misery cover)

英国のストーナー/ドゥーム・バンドTrippy Wickedのメンバー二人がyoutubeにアップしている、アコギとウクレレによるドゥーム/スラッジ・バンドのカバー。チャーチのこの曲以外ではEyehategod, Weedeaterなどをカバーしている。ウクレレが意外とハマっている。