「アートワークのマリファナは、メンバーの一人が自家栽培したものだよ」 オランダのDoom/Stonerバンド Toner Lowインタビュー



2014年2月 聞き手:梵天レコード

98年結成、オランダのベテランDoom/Stonerバンド、Toner Lowのインタビュー。昨年、バンド史上最高傑作と言える“III”をリリース。 これは本当に凄い一枚。 地を這うようなヘヴィ・ドローンから始まり、遥か高みへ、Sleep“Dopesmoker”のキャラバンが目指した、あの地へと向かっていく。
安直過ぎるジャケも、伊達や酔狂などではなく、彼らが“本物”である証しだ。
ギタリストのDaanに話を聞いた。

 

――時間を取って頂きありがとうございます。調子はいかがですか?

Daan (以下 D )
とても良いよ。先週は少し風邪を引いて疲れていたけど、今は良くなり始めて、いつも通りいい気分だ。

――Toner Lowの歴史を教えて頂けますか?

D
勿論。1998年の3月に3人のメンバーで、異なる音楽的アプローチによって結成された。ストーナーロックにギターロックをミックスさせたようなサウンドで、ヴォーカル・オリエンテッドでギターが三人いた。

1999年後半に、ベーシストが7zuma7(オランダのカルト・レトロ・ロッカー)に加入して、ギタリストの一人がベースに転身した。そのあと、メンバーが二人抜けて、ベーシストが戻ってきた。2007年の12月からは同じラインナップだよ。

俺たちは3枚のフル・アルバムをリリースして、多くのギグをやって、Electric Wizard、Acid King、Borisといったバンドと共演してきた。

――出身はどちらですか?

D
俺たちはオランダのライデン周辺の出身で、今もそこに住んでいるよ。

――ミュージシャンとしてどんなバンド/アーティストに影響を受けましたか?

D
ミュージシャンとして答えるのは難しいけど、80年代半ば頃は、俺たちみんな十代のスラッシャーだったんだ。
85~86年頃、俺は、Slayer“Show No Mercy”、“Hell Awaits”、Exodus“Bonded By Blood”をよく練習していたよ。
Gary Holt、Jeff Hanneman、Mike Torrao(Possessed)が当時のギターヒーローだった。

Toner Lowとしては2001~2002年頃のSleep、Electric Wizard、Acid King、High on Fireから大きく影響を受けている。

――最近はどんなバンド/アーティストのアルバムを楽しんでいますか?
読者におススメがあったら教えてください。

D
俺は30年代のブルースからエクストリーム・メタルまで、あらゆる種類の音楽を聴くんだ。ガレージ・バンドや60年代のインストゥルメンタル・サーフ・ミュージックも好きだ。

今、ヴィニール・コレクションのA面を逆アルファベット順に聴いている。ちょうどHallows Eve“Monument”のA面を聴き終わったところだよ。ギター・サウンドとヴォーカルが素晴らしいね。次はセカンドだ。最近のメタル・バンドだと、DarkthroneとNecrophagiaの新しいアルバムが気に入っている。

勿論、気に入っているdoom、sludge、stoner のバンドもいるよ。Conan、Pombagira、Suma、Rorcal。
それと、Buried at The Seaをチェックするのも忘れずに。

――アルバム“III(※1)のリリースおめでとうございます。反応には満足されていますか?


ありがとう。Doom/Stonerシーンからの反応にはとても満足しているよ。彼らのレビューで何度か「画期的リリース」と評された。アルバムを遅れさせないように完成させるのは大変だったよ。

 

(※1) III 2013年リリース。

 

――どこでレコーディングしたのですか?レコーディング・プロセスはどうでした?

D
2013年1月に、ユトレヒトにあるスタジオMoskouでベーシック・トラックをレコーディングした。そのあとレイデンにあるSissysoundスタジオで仕上げた。この作業はドラマーのJohnと元ベーシスト/ヴォーカルのDeef、ライブ・エンジニア/サンプル担当のDirkが長い時間を掛けて仕上げてくれた。だけど、とても早く仕上がったよ。6週間だ。4月と5月にギグがあって、プレスに4~5週間掛かるから急がなければならなかった。

Jackはアルバムを仕上げるために、ひとりで400~500時間作業をしたんだ。彼の作業には、各楽器のトラックの選択とミックス、各曲のバランス調整、サンプルやエフェクトの追加と作成、多くの異なるスタジオ・ミックスの作成とレコーディング、それに勿論、すべてのミックスを聴いてベストの曲を決定することも含まれている。

――“III”は素晴らしいアルバムですね。地球から宇宙、宇宙から精神世界へのサイケデリックな旅のようです。アルバムの全体的なテーマは何なのでしょうか?それとも、聴き手にそれを見つけて欲しいですか?

D
まあ、俺たちのアルバムの中で最も深みのある一枚だと思うよ。それに、多くの側面を持っている。だけど、テーマについて語るのは難しいな。聴き手や聴くときのムードによって異なると思う。

――アートワークについて何が言えますか?マリファナ(Grass)はToner Lowにとって不可欠なものですか?

D
俺たちのファースト・アルバムには“Grass(※2)という曲があって、これは“Devilbots Designed To Assimilate”というタイトルでも知られている。

多くのバンドはSmokerだが、俺たちは“III”のアートワークのようにあからさまにしたことはない。

ちなみに、アートワークのマリファナはメンバーの一人が自家栽培したものだよ。

 

(※2) Grass 2015年リリースのファースト・アルバム“TONER LOW”に収録。

 

――“III”のヴィニール盤には日本式の帯がついていますね。あなたのアイディアですか?

D
Jack のアイディアだよ。
Loudness――ああ、彼らがまだ活動している事は知っているよ――のような80年代の日本のハード・ロック・バンドへのトリビュートとして付けたんだ。このアルバムは店頭でも帯がついた状態で売られている。CDにも帯はついているよ。

――なぜ“II(※2)以降の曲名はすべて数字なのですか?
IV”という曲が存在しないのはなぜですか?

D
2007年にbassplayer/vocalistのDeefが辞めた時、俺たちは“II”の曲を作曲中だった。いつ、なぜ曲名を数字にすることにしたのか自分でもわからない。だけど、Deefが去って、新たなラインナップになったことがきっかけだった。俺たちは数カ月、ヴォーカルを入れるか入れないかで迷って、入れることにした。だが、数字はそのままだった。

俺は“III”でそれを変えたかった。Karma to Burn――彼らも曲名が数字だ――が活動を再開したからね。だから、曲名に“Phase”をつけた。

IV”は俺たちがリハーサル・ルームでプレイしていた曲で、2007年6月にMoskouスタジオでレコーディングした。
7インチ・スプリットに6分の曲を収録する予定だったんだけど、ドラムのリズム・フロウが気に入らなくて、完成させられなかった。

レコーディングの最終日、俺たちにはもう2曲、未完成の曲があった。1998年の曲の書き直しで、タイトルのないジャムっぽい曲だ。同じようにVelvet Underground“Venus in Furs”のカバーも未完成だ。

 

(※2) II 2008年リリース。

 

――音楽産業は大きく変化しました。ソーシャル・メディアや、フリーDL.、etc……
あなたがバンドをスタートした時に想像できましたか?また、Toner Lowにはどんな影響を与えていますか?

D
俺たちの前bassplayer/vocalist、Deefに感謝。Deefはインターネットのポテンシャルを見抜いていた。俺たちは2002年からRoadkillrekordz.com内にオフィシャル・サイトを持っている。彼はオランダの音楽系サイトにも情報を書きこんでいたんじゃないかな。当時はそれがインターネットの最も賢い使い方だったと思う。だけど、2006年にスウェーデンのDoomバンドSumaのベーシスト、JohanがMyspaceというサイトがあると教えてくれた。2006年9月に2つ目のサイトを持って、今はもっとあるよ、ハハ。

インターネットはバンドの名前と音楽を広めることや、アンダーグラウンドのバンドが海外でのギグをオーガナイズすることを容易にしてくれていると思う。俺たちのファーストがリリースされた頃は、何百というオーガナイザー、クラブにメールを――勿論BCCを使って――送らなければならなかった。これがもし電話だったらと想像してくれよ。

――カセット、CD、デジタル、ヴィニール。あなたはどんな形で音楽を聴く事を好まれますか?
また、その理由は?

D
SlayerやMacabreといったバンドの作品は可能な限りヴィニールで買っている。彼らの作品はすべてヴィニールで持っているからね。だけど、CD もOK だ。Jack は本物のVinyl type of guyだよ。

――2014年の予定はありますか?

D
ああ、まず春頃に俺たちのDIY レーベルRoadkill Rekordzから アルバム“II”をヴィニール、CD、 カセットで再発するんだ。
同じ時期にUKのPombagira他とオランダでプレイする。ギリシャ、イタリア、ドイツ、スイスでもギグをやるよ。

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

D
読んでくれてありがとう。Doom on!

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